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ジェンダー平等を、全ての学生の “自分ごと”に。

令和7年(2025年)3月1日号

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「渋谷ジェンダー平等推進アワード2024」を受賞した、聖心女子大学グローバル共生研究所と青山学院大学スクーンメーカー記念ジェンダー研究センターの皆さんにお話を伺いました。

杉原真晃(すぎはらまさあき)さん「学生の真っすぐな姿勢は大学を動かす力があります。この取り組みをぜひ、温かく見守って、応援してください。」
聖心女子大学 現代教養学部 教育学科教授/グローバル共生研究所兼任所員 杉原真晃(すぎはらまさあき)さん
川﨑文華(かわさきあやか)さん「今後も交流を続けて、さまざまな学生の視点や経験を知ることで、学びを深めたいです。」
聖心女子大学 現代教養学部 基礎課程1年 川﨑文華(かわさきあやか)さん
下村沙季(しもむらさき)マリンさん「大学間の連携によって、学生・教職員ともに新たな知見を得られ、手応えを感じています。」
青山学院大学スクーンメーカー記念ジェンダー研究センター助手 下村沙季(しもむらさき)マリンさん
呉 暁潔(ご ぎょうけつ)さん「不平等に対するモヤモヤを一人で我慢せず、みんなで一つになって生きていきましょう!」
青山学院大学 法学部 ヒューマンライツ学科2年 呉 暁潔(ご ぎょうけつ)さん

「渋谷ジェンダー平等推進アワード」とは

「渋谷ジェンダー平等推進アワード」は、従来のジェンダーやセクシュアリティーの固定観念にとらわれず、誰もが過ごしやすい社会に寄与する取り組みを、着眼点・汎用(はんよう)性・魅力度などから総合的に評価し、表彰しています。こうした取り組みを周知することで、区全体でジェンダー平等を推進しています。
詳しくは、渋谷ジェンダー平等推進アワードのページをご覧ください。

表彰を受ける受賞者の様子
「渋谷ジェンダー平等推進アワード2024」表彰式の様子

問い合わせ

渋谷インクルーシブシティセンター〈アイリス〉 電話:03-3464-3395 FAX:03-3464-3398

キャンパスを行き来して、活発に意見交換

聖心女子大学グローバル共生研究所および青山学院大学スクーンメーカー記念ジェンダー研究センターの設立の背景と活動内容を教えてください。

杉原:聖心女子大学グローバル共生研究所(以下、グローバル共生研究所)は、本学の教育理念に基づき、グローバル共生を実践するための教育・研究・社会活動を行うことを目的に設立されました。気候変動、ジェンダー平等、子どもと戦争、難民・移民といったグローバル課題をテーマにした展示やワークショップ、セミナーを開催しています。
下村:青山学院大学スクーンメーカー記念ジェンダー研究センター(以下、ジェンダー研究センター)は、本学の源流の一つである女子小学校を創設した婦人宣教師の名前に由来していて、青山学院女子短期大学閉学後、女子教育の歴史を次世代に継承することを目的に設立されました。ジェンダーや性の多様性に関連する講義や学生のサポート、講演会やワークショップの開催、ギャラリー展示、本の閲覧・貸し出しなどの幅広い活動を行なっています。

「渋谷ジェンダー平等推進アワード2024」を受賞した大学間連携の取り組みについて教えてください。

杉原:東京レインボープライド(注1)2023で、渋谷インクルーシブシティセンター〈アイリス〉と区内3大学で協働ブースを出展したことをきっかけに、聖心女子大学と青山学院大学の連携が始まりました。それぞれが運営している読書カフェやコミュニティースペースで意見交換会を行なったり、青山学院大学から下村先生を講師としてお招きして性の多様性や性的同意についてお話しいただいたり、東京レインボープライド2024でも協働ブースを出展したりと、さまざまな場面で連携しています。活動は不定期ですが、キャンパスが近いため、両大学を気軽に行き来しながら交流を重ねています。
下村:ジェンダー平等にとどまらず、さまざまなグローバル課題の研究に取り組む聖心女子大学と連携させていただくことで、学生・教職員ともに新たな知見を得られ、大きな手応えを感じています。今後は、学生同士の交流をもっと深めていきたいです。
川﨑:受賞を聞いた時は、純粋にうれしかったです。同じ大学の学生とジェンダー問題を考えることも有意義な学びになりますが、異なる大学で異なる教育を受けてきた学生ならではの視点や経験を知ることで、より学びが深まると感じています。
(注1)性的マイノリティーに関する日本最大規模のイベント。令和5(2023)年は区と青山学院大学ジェンダー研究センター、聖心女子大学グローバル共生研究所、津田塾大学による協働出展を行い、令和6(2024)年は実践女子大学も加わった協働出展を行なった。

仲間と集い、学び、語り合える場がある安心感

自身が通う大学にジェンダー平等を推進する施設があることをどのように感じていますか?

川﨑:講義や文献からは読み取れない細やかな情報や当事者の声を反映した展示・ワークショップなどを通じて、机上の学びだけでなく、自分の頭と心を用いた深い学びと視点を得られていると感じています。今年度から学生主体のイベント企画も行なっていて、先日開催した映画鑑賞会では、参加した学生からジェンダー平等に対して理解が深まったという声が聞けて、とてもうれしかったです。
呉:ジェンダー研究センターが単なる制度にとどまらず、学生が安心して利用できる場所として機能していることに大きな魅力を感じています。ジェンダーにまつわる最新の情報が得られたり、相談に乗ってくれるスタッフもいらっしゃったりと、とても居心地の良い環境です。ジェンダー関連の本も豊富に揃っていて、私はレポート作成時や学びを深めたい時によく借りています。学生同士が気軽に意見交換できたり、無料の生理用品やオールジェンダートイレなどの誰もが使いやすい環境が整っていたりする、私にとっては未来を感じる場所です。

「私」を主語にジェンダー平等を考えてほしい

ジェンダー平等でLGBTQフレンドリーなキャンパス(注2)をつくるために、どのような取り組みが必要だと思いますか?

川﨑:限られた学生だけでなく、全ての学生がこうしたキャンパスづくりに関わっているという当事者意識を育めるような企画や雰囲気づくりが必要だと思います。私自身も以前は服装やメイク、体型などのジェンダーバイアス(注3)にとらわれてモヤモヤしたり、それを無意識に誰かに押し付けてしまったりしていたことがありました。しかし、ジェンダー平等について学ぶ中でそうしたモヤモヤに名前がつき、“個”としての視点を得られ、とても生きやすくなったと感じます。自分の生活や人生の栄養となる学びが得られるので、多くの学生に関心を持ってもらいたいです。
呉:私も生まれ育った環境の中で男尊女卑に対するモヤモヤを抱えてきましたが、ジェンダー平等を学ぶ中で視野が広がり、とても勉強になっています。ただ一方で、キャンパス内ではまだジェンダー平等の考えが浸透していないようにも感じています。ジェンダー平等や性の多様性が全ての学生の教養となるように、大学側には引き続き理解を深める場を設けてもらいたいです。個人にできることは限られていますが、一緒に声を上げてくれる人が集まって、みんなで考えていけたら、環境は変えられると思います。
杉原:「大学を動かすのは学生の力」とよく言われますが、学生たちの真っすぐな姿勢は大学の教職員をはじめ、周囲の大人をも巻き込む力を持っていると思います。そんな学生たちに大学の未来を託したいと思いますし、私たちも全力でサポートしたいと考えています。
下村:学生は今の大学に足りないものを教えてくれる存在です。キャンパスをより良い環境にしていくために、教職員として学生をリードしながら、一緒に頑張っていきたいです。
(注2)ジェンダーやセクシュアリティーに起因する悩み事がなく、誰もが自分らしく過ごせる環境や制度が学内に整っていること
(注3)性別に対する社会の思い込みや偏見

学生の皆さんや区民の皆さんにメッセージをお願いします。

杉原:学生の皆さんは、ぜひ、一緒に力を合わせて、一人一人の“個”が認められる居心地の良いキャンパスや社会をつくっていきましょう。区民の皆さんには、学生たちの取り組みをぜひ、温かく見守って、応援していただけたらうれしいです。グローバル共生研究所では、区民の皆さんも参加できるイベントを開催しています。いろいろな立場の人と交流することで、学生の学びもより深まると思いますので、参加をお待ちしています。
下村:ジェンダー研究センターは学生の皆さんにとって気軽に頼れる存在でありたいと思っています。また、学生にとって身近なコミュニティーである渋谷区とも連携し、教育機関として何ができるかを考えていきたいです。当センターのライブラリーにある本は誰でも自由に閲覧できますし、さまざまな公開イベントも企画していますので、区民の皆さんも、ぜひ、お気軽にお越しください。
呉:学生の皆さんも、区民の皆さんも、さまざまな不平等がある世の中で、自分の感じたモヤモヤをぜひ、大事にしてください。悩みがあるときは区や大学のジェンダー関連施設で相談するのもいいと思います。一人で我慢せず、みんなで一つになって生きていきましょう!
川﨑:ジェンダー課題は「日本は」「世界は」といった大きな主語で語られがちです。そうした視点も必要ですが、多くの人が自分自身の生活や人生と地続きであるという当事者意識を持つことが大切だと思います。「私」を主語にして、みんなでジェンダー平等を一緒に考えていけたらうれしいです。

「渋谷のラジオ」で放送中!

杉原さん、川﨑さん、下村さん、呉さんへのインタビューは3月4日・11日に「渋谷の星」で放送します。
渋谷のラジオ87.6MHz(外部サイト)