
アスリートの力が最大限に発揮される環境をつくる。
令和6年(2024年)11月15日号
渋谷区で行われるスポーツの大会やイベントをサポートするスポーツボランティアの皆さんに、普段の活動や心に残っているエピソードなどについて伺いました。



アスリートの安全に配慮しながら、一緒に楽しむ気持ちでサポートする
皆さんの自己紹介をお願いします。
大久保:大久保眞佐子です。皆さんからは「メガちゃん」と呼ばれています。15年ほど前に、知的障がいのある人を対象とした事業「えびす青年教室」でボランティアを募集していることを知り、様子を見に行ってみたことがボランティア活動の始まりでした。緊張しながらも、楽しく参加できた経験が今のスポーツボランティアの活動につながっています。
金井:金井ナオミです。皆さんからは「ナオミ」と呼ばれています。ボランティア活動に参加したきっかけは、私が50歳の頃に開催された東京マラソンです。当時、体力面が心配で、無事に完走できるだろうかと悩んでいて、まずは大会にボランティアとして参加してみようと思い立ちました。その後、渋谷区がスポーツボランティアを募集していることを知り、応募しました。今では東京マラソン以外のスポーツの大会やイベントのボランティアにも参加しています。
山本:山本直秀です。皆さんからは「やもさん」と呼ばれています。障がいのある親戚を支えるにはどうしたらいいのだろうかと考えていたところ、パラスポーツに出会い、スポーツボランティアという役割を知りました。ボランティア活動では、実際にスタッフがパラスポーツを体験する機会もあるため、その体験を通して学んだことを親戚にも直接教えることができてうれしく思っています。
皆さんはニックネームで呼び合っているんですね。
金井:年齢や性別、アスリートやボランティアなどの立場に関係なく、全員が気兼ねなくコミュニケーションを取れるようにしたいという思いから、お互いをニックネームで呼び合っています。スポーツボランティアに参加している人たちは中学生から高齢者までの幅広い年齢層ではありますが、皆さん和気あいあいと活動しています。
スポーツボランティアの役割について教えてください。
大久保:地域のスポーツ団体の活動を支えたり、スポーツの大会やイベントが開催される際には、運営業務やアスリートのサポートをしたりすることが主な役割です。大切なのは、アスリートの皆さんが安全かつスムーズにプレーできるようにサポートすることです。例えば、パラスポーツでは、手、足、目など、さまざまな障がいのある人たちが参加するため、それぞれの障がいに合わせたサポートが必要です。そして何よりも、皆さんが楽しくプレーできるように、私たちも一緒に楽しむ気持ちで活動しています。
スポーツボランティアとして携わる大会やイベントを教えてください。
金井:渋谷区長杯車いすラグビー大会、渋谷区長杯パラ卓球大会、パラバドミントン国際大会は、スポーツボランティアのほぼ全員が参加しています。そのほか、パラスポーツ体験教室や障がい者ボッチャ教室などのイベントにも参加します。
山本:大会やイベントの対象はパラスポーツに限らず、健常者が参加するものも含まれます。スポーツボランティアとしてこれまで3年ほど活動してきましたが、私が強く実感したことは、障がいの有無を問わず、参加者全員がアスリートだということです。皆さんの実力やパフォーマンスが最大限に引き出されるような環境づくりをいつも心掛けています。
パラスポーツ選手の技術の高さや向上心の強さに心を打たれた
印象的だった大会やイベント、思い出に残っているエピソードはありますか?
山本:パラ卓球の体験会がとても印象的でした。車いすのアスリートとラリーをしたのですが、初心者の私がどこに球を打っても見事に打ち返してくれるだけでなく、打ちやすい位置に球を返してくれました。繊細なボールコントロールを間近で体感し、技術の高さに驚かされました。
金井:パラバドミントン国際大会の試合前、アスリートがゴム製のチューブを使ってウォーミングアップをしている姿を見かけたことがありました。最高の状態で試合に挑むために反復練習をされていて、その真剣な姿に心を打たれました。
スポーツボランティアとして活動する上で必要な知識や技術は、どのようにして学ぶのでしょうか?
山本:必須となる知識や技術などはありません。興味さえあれば活動に参加することができます。また、イベントでの業務内容は当日教わるため、特別な準備も必要ありません。ボランティア活動を重ねていくうちに「もっと詳しく知りたい」と思うようになったら、各地域で開催されているスポーツ指導員を養成するための講習会や研修会などを受講するのもいいと思います。
大久保:私は、現場での実践を通して知識や技術を学ぶことが多いです。特に知的障がいのある人たちは適切な接し方がそれぞれ異なるため、周りのボランティアの皆さんにも教えていただきながら、日々「習うより慣れろ」をモットーに参加しています。
令和7(2025)年には、東京都でデフリンピック(注)が開催されます。スキルアップのために、今年度はさまざまな講座を受講されているそうですね。
山本:私は手話の講座を受講しました。「正しい手の動かし方を覚えようとするよりも、伝えようという気持ちを込めてジャスチャーを工夫する方が相手に伝わりやすくなりますよ」という講師の言葉が印象的でした。聴覚障がい者の人たちは、相手の口の動きからも言葉を読み取ろうとしてくれるので、手の動きがうまくできなくても諦めないようにしようと思いました。
金井:私は無言語コミュニケーションの講座を受講しました。デフリンピックには世界各国からたくさんのアスリートが参加します。しかし、手話には国や地域によってさまざまな手法があり、世界共通のものはありません。そこで、この講座では手話を使わずにジェスチャーのみで言葉を伝える練習をしました。とても難しかったですが、楽しかったです。
(注)4年ごとに開催される「聴覚障がいのある選手のためのオリンピック」で、令和7(2025)年11月15日〜26日には、日本で初めての開催となる「第25回夏季デフリンピック競技大会 東京2025(東京2025デフリンピック)」が東京都で開催される。
アスリートやボランティア同士のコミュニケーションが活動の醍醐味(だいごみ)
スポーツボランティアのやりがいや魅力を教えてください。
大久保:私は知的障がい者の人たちと一緒に活動することが多いのですが、参加すると皆さんが近寄ってきてくれて、満面の笑みでハイタッチをしてくれます。その表情を見るだけでとてもうれしくなります。
金井:ボランティア同士のコミュニケーションも大きな魅力です。年齢や性別など関係なく皆さんと話すひとときは、本当に楽しい時間です。
山本:一度参加すれば、スポーツボランティアの楽しさやパラスポーツの迫力は、きっと伝わると思います。興味がある人はぜひ、最初の一歩を踏み出してみてほしいです。
最後に、区民の皆さんに向けてメッセージをお願いします。
山本:アスリートのプレーを観客席よりも近い場所から楽しんだり、応援したりできるなど、スポーツボランティアの活動でしか経験できないことがあります。たくさんの人たちにその魅力を知っていただきたいです。
金井:まずは気軽な気持ちでスポーツボランティアを体験していただきたいです。始めてみると、少しずつ自分の心が変わっていくことを実感できると思います。
大久保:ご自宅近くのイベントでスポーツボランティアを募集していたら、最初は見学だけでも構いませんので、一度足を運んでいただき活動の様子を見てみてください。スポーツボランティアは大会やイベントごとに募集があるため、ご自身のスケジュールに合わせて参加できます。一緒に楽しみながら関わっていきましょう。
「渋谷のラジオ」で放送中!
大久保さん、金井さん、山本さんへのインタビューは11月19日・26日に「渋谷の星」で放送します。
渋谷のラジオ87.6MHz(外部サイト)
渋谷区スポーツボランティア
区では、年間を通じてさまざまなスポーツの大会やイベントで活動し、渋谷のスポーツの担い手となるスポーツボランティアを随時募集しています。詳しくは、ホームページを確認してください。
渋谷区スポーツボランティアホームページ(外部サイト)
活動内容
パラスポーツイベントや区のスポーツ事業でのボランティア活動(運営補助や誘導案内、受け付けなど)
(注)活動によって内容が異なります。
(注)報酬はありません。
(注)交通費は自己負担になります。
応募資格
- 区内在住・在勤・在学の中学生以上の人
- 区内で継続的にボランティア活動に参加できる人
- 日本語でコミュニケーションが取れる人
(注)ボランティア経験の有無は問いません。
(注)18歳未満の人は保護者の同意書が必要です。
問い合わせ
学びとスポーツ課パラスポーツ推進係 電話:03-3463-1849 FAX:03-3463-3822

