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試行錯誤しながらやり遂げた時の、大きな達成感。

令和7年(2025年)5月15日号

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3月12日に開催された「シブヤ未来科探究フェス」で発表を行なった鉢山中学校の皆さんに、探究「シブヤ未来科」の活動内容や大変だったこと、やりがいについて伺いました。

春日大空(かすがそら)さん「電車をテーマに、楽しみながら探究できました。」
鉢山中学校1年生 春日大空(かすがそら)さん
市川彩羽(いちかわいろは)さん「フルートの基礎練習の大切さについて調べて、発表しました。」
鉢山中学校2年生 市川彩羽(いちかわいろは)さん
森 優輝(もりゆうき)さん「伝えたいことを相手に伝えるために工夫することの大切さを学びました。」
鉢山中学校2年生 森 優輝(もりゆうき)さん

探究「シブヤ未来科」とは

渋谷区立の小中学校では、6年度から探究「シブヤ未来科」の取り組みを本格的に実施しています。探究「シブヤ未来科」では、これまでの先生が教えるだけの授業ではない、子どもたち自らが学びを創り、幼児期の遊びに没頭するワクワク感や好奇心、一人一人に備わった自ら学ぶ力・創造性を発揮して、主体的に探究を進める学びが展開されています。この学びでは、渋谷区ならではの文化・芸術、自然、先端技術などのさまざまな資源を生かした体験を通して、感動や疑問、興味から生まれた問いを各教科で学んだ知識を駆使して探究することで、子どもたちが未来をより良く生きる力を身に付けることを目指しています。
(注)探究「シブヤ未来科」の具体的な取り組みについては、探求 シブヤ未来科の取り組みを紹介しますのページをご覧ください。

「シブヤ未来科探究フェス」が行われました

探究「シブヤ未来科」での探究の過程や成果を発表する「シブヤ未来科探究フェス」が3月12日(水曜日)に国立代々木競技場第二体育館で開催されました。渋谷区立の小中学校からは600人以上の児童・生徒が参加し、子どもたち一人一人が立てた問いを探究する「My探究」などについて発表が行われました。

森さんがステージで発表をしている
発表の様子

問い合わせ

教育指導課指導主事 電話:03-3463-3024 FAX:03-5458-4952

企業などで活躍する人たちとの交流から得た学び

自己紹介をお願いします。

春日:鉢山中学校1年生の春日大空です。学校からの推薦を受けて、「シブヤ未来科探究フェス」(以下「探究フェス」)に参加しました。大好きな電車について問いを深めて探究する時間は、とてもやりがいがあって楽しかったです。
市川:鉢山中学校2年生の市川彩羽です。私も学校からの推薦を受けて、「探究フェス」に参加しました。普段は見ることができない他校の取り組みを見てみたいという気持ちがあり、参加することを楽しみにしていました。
森:鉢山中学校2年生の森優輝です。電気に関するさまざまな技術によって、生活が便利になることを多くの人に知ってほしいという思いで、「探究フェス」に参加しました。

探究「シブヤ未来科」では、どのような活動をしていますか?

市川:まず4月から「探究基礎」として、探究する課題の設定や、その課題を解決するための情報収集の方法などを学びました。そして「テーマ探究」で、さまざまな企業やNPO法人で活躍する人と交流しながら、鉢山中学校のテーマである「SDGs(注1)」や「先端科学」について情報収集を行いました。その後、後期からは自分の興味・関心のあることを探究の課題とする「My探究」が始まり、自分自身で立てた課題を解決するための手だてを考えました。
森:「テーマ探究」での企業との交流では、東アフリカのマラウイ共和国に滞在されていたNPO法人の皆さんから、現地の生活について学びました。また、企業が実施している探究型プログラムに参加した時は、「公認会計士からスタートアップ起業家へ」「最先端AIで未来をつくる」など、さまざまなイノベーションに挑戦する人たちからお話を聞くことができました。
(注1)平成27(2015)年の国連サミットにて、加盟国の全会一致で採択された「持続可能な開発目標(Sustainable Development Goals)」の略称

試行錯誤したからこそ、達成感があった

皆さんの「My探究」の活動内容について教えてください。

春日:私は電車が好きなので、「電車がどこで製造され、最終的にどこで解体されるのか」というテーマで探究を進めました。調べたところ、東日本旅客鉄道株式会社(JR東日本)の電車は新潟県の車両製作所などで製造されている一方、廃車になった電車は長野県の総合車両センターなどで解体されていることが分かりました。家族旅行で長野県に行った時には、実際に総合車両センターを訪れてみました。
市川:私は吹奏楽部でフルートを担当しています。部活動では「管楽器の基礎練習であるロングトーンを続けていれば、肺活量が増えて安定した音が出せるようになる」と教わりますが、単調な練習を続けることに効果があるのか疑問を持っていました。そこで、30日間毎日フルートでロングトーンを続けて、実際に音の変化があるのかを測定してみることにしました。結果は、2週間が経ったころから音程が安定し始め、1か月後には音量が上がるようになりました。
森:私は、テレビの実験番組をきっかけに「電気の働き」に興味を持ち、電気をうまく使えば私たちの生活がもっと豊かになるのではないかと考え、電気の特性を応用した技術であるレールガン(注2)、ワイヤレス給電(注3)、イオンクラフト(注4)などについて調べました。電気が持つさまざまな特性を調べるうちに、電気は応用次第で、家電を小型・軽量化したり、消費電力を抑えたりと、これまで以上に生活を便利にするものであることが分かりました。
(注2)電気を通しやすい2本の棒に電流を流すことで、棒の上に置いた弾を発射する装置
(注3)電線やコードを使わずに電力を送る技術
(注4)ビーフェルド=ブラウン効果という現象を利用した、放電によって風を起こす装置

「My探究」の活動をする中で大変だったり、やりがいを感じたりしたことはなんですか?

春日:大変だったことは、鉄道模型を使って廃車になった車両が運ばれる様子を再現したことです。とても精密に作ったので、分解される様子も再現することができました。細かい作業でしたが、とても楽しかったです。
市川:フルートの練習を続けることで演奏の上達を体感しただけでなく、実際に音程や音量のデータにも数値として表れた時にやりがいを感じました。吹奏楽部の部員からも「音が大きく出るようになった」「うまくなった」と言われて、うれしかったです。

探究「シブヤ未来科」の学習の中で、楽しかったことは何ですか?

春日:自分の趣味である鉄道模型を使って「My探究」ができたことと、「探究フェス」での研究発表が楽しかったです。特に発表では、自分の好きなことや興味のあることを多くの人に伝えるために、聞く人の視点を持つことが大切だと学びました。
市川:楽しかったことは、「テーマ探究」で行なったSDGs学習のためのボードゲームです。みんなで協力しながら環境・社会・経済に関するミッションをこなしていくゲームを通じて、楽しみながら社会課題について学ぶことができて、SDGsに対する理解が深まりました。

「探究フェス」での発表を終えた感想を聞かせてください。

森:もっとうまく発表ができたのではないかと、少し悔しい気持ちがあります。時間制限があり、伝えたいことを全て発表できたわけではなかったので、次回はもう少し端的にポイントをまとめて発表したいと思います。
春日:我ながらよくやったという気持ちです。発表前は緊張していましたが、いざ始まると「リハーサル通りに発表すればいい」「なんとか乗り切れるはず」と自分を励ましながら、やり遂げることができました。

自分の好きなことを探究する楽しさを改めて実感

探究「シブヤ未来科」を通して学んだことは、今後どのようなことに役立つと思いますか?

市川:私は高校に進学しても吹奏楽部を続けたいと考えているので、今回、基礎練習の大切さを改めて知ったことは、今後の部活動にも役立つと思っています。これからもロングトーンの練習を続けることで、フルートの演奏技術をより高めていきたいです。
森:どのように表現すれば相手に自分の考えが伝わるかを考えながら発表した経験は、進学や就職をしてからも役立つと思います。「相手は分かってくれるはず」という前提ではなく、相手にその分野に対する知識がなくても理解してもらえるように工夫することが大切だと感じました。

今後、探究「シブヤ未来科」で探究してみたいことはありますか?

市川:来年もフルートについて探究したいです。フルートの練習はロングトーンだけでなく、タンギング(注5)やリズム練習、三度音程(注6)の練習など、さまざまなものがあるので、来年は今年よりもレベルアップした探究をしてみたいです。
森:私も引き続き電気に関する技術について探究したいです。そして来年はさらに探究を深め、専門家の人たちにインタビューをしてみたいと思っています。
(注5)管楽器を演奏する際の舌を用いた演奏法の総称
(注6)二音間の音の隔たりを度数で表す。三度音程はドからミのように三つの音を挟むもののこと。

区民の皆さんに向けてメッセージをお願いします。

春日:「My探究」に取り組んでいた時間は、自分の好きなことについて調べたり深く考えたりすることができて、とても楽しかったです。皆さんもぜひ、生活の中で自分の好きなことを探究してみてください。きっと新しい発見があると思います。
森:「My探究」で好きなことを調べたり、実際に装置を作ったりしたことは、本当に貴重な経験でした。探究「シブヤ未来科」の授業で、こういった機会をもらえたことに感謝しています。
市川:探究「シブヤ未来科」での学習を通して、自分の好きなことを突き詰めることの楽しさを改めて感じました。皆さんも何か興味を引かれることに出会ったら、とことん突き詰めてみてください。きっと、世界が広がる楽しさを実感するはずです!
(注)この記事の取材は、令和7年3月に行われました。

「渋谷のラジオ」で放送中!

春日さん、市川さん、森さんへのインタビューは5月20日・27日に「渋谷の星」で放送します
渋谷のラジオ87.6MHz(外部サイト)