
防犯・交通安全対策を見直して、新生活も安全に。
令和7年(2025年)5月1日号
この春、新たに着任された渋谷・原宿・代々木の警察署長の皆さんに、街の安全を守る警察の取り組みや身近な防犯・交通安全対策について伺いました。



管轄する地域により異なる事件や事故、相談の傾向とは
自己紹介をお願いします。
髙橋:渋谷警察署長の髙橋です。子どもの頃に見た刑事ドラマに憧れて、警察官を志しました。平成3年の警視庁入庁以降、捜査部門や管理部門、薬物銃器対策課などを経て、今年2月に渋谷警察署長に着任しました。
竹内:原宿警察署長の竹内です。同じく今年2月に原宿警察署長に着任しました。私が警察官になったのは、「悪いことは正さないといけない」という正義感からです。平成元年の入庁以降さまざまな部署を経験し、令和4年2月から5年8月までは代々木警察署長も務めました。
羽根:代々木警察署長の羽根です。私は、父の背中を追って警察官になりました。警視庁に入庁したのは平成6年で、鑑識係や外事情報分析官などを経て、今年2月に代々木警察署長に着任しました。
それぞれの地域で多い事件や事故、相談について教えてください。
髙橋:渋谷駅周辺を含む渋谷警察署管内では、酒に酔って路上で寝込んでしまった人が財布などを盗まれる被害や飲酒を起因としたトラブル、電動キックボードが関与する事故が他の地域と比べて多く発生しています。
竹内:原宿警察署管内は、竹下通りをはじめ大型商業施設やブランドショップなど、大小さまざまな商店が軒を連ねているため、万引き被害が多く発生しています。また、明治通りと表参道では物件事故(注)も多く発生しています。
羽根:代々木警察署管内は、3署の管轄区域で最も居住者が多い地域ということもあり、自転車盗難や万引き、近隣のトラブル、騒音やごみの投棄などの相談が多いことが特徴として挙げられます。甲州街道、山手通りなどの大きな道路では交通事故も多く発生しているため、交通安全対策にも力を入れています。
(注)人がけがをしない交通事故
地域と連携して行う啓発活動とパトロール
安全安心な街づくりのために取り組んでいることを教えてください。
髙橋:渋谷警察署では、渋谷駅や恵比寿駅周辺の繁華街エリアにおいて、違法な客引きやスカウトの取り締まりをしています。その他にも、交通事故防止対策として、悪質な交通違反の取り締まり、年齢や学年に応じた交通安全教室を実施しています。また、子どもの健全育成活動や非行防止対策の一環として、小中学生を中心としたクリーンキャンペーン(清掃活動)や薬物乱用防止教室、大学生や専門学校生に向けた闇バイト関与防止の働きかけも行なっています。
竹内:原宿警察署では、地域住民や商店街と連携し、パトロールを頻繁に行なっています。交通事故防止の観点では、特に高齢者や子どもたちが交通事故に巻き込まれることを防ぐため、原宿交通安全協会と共に啓発活動や自転車教室などを実施しています。
羽根:代々木警察署では、地域の皆さんと連携して行なっている取り組みが二つあります。一つは地域の犯罪被害防止を呼びかける「わんわんパトロール」です。町会の人が犬の散歩やウオーキングをする際に警察官が同行し、歩きながらパトロールを行うもので、情報共有や防犯意識の高まりにつながる取り組みです。パトロールをしていると自然と人が集まってきて、いつも終わる頃には人数が増えています(笑)。もう一つは、学習塾を母体とした交通安全ボランティアの結成です。令和6年12月から始まった、警視庁では新しい取り組みになります。最近は放課後に一人で塾に通う小学生も増えているため、日頃から交通ルールについてしっかりと指導し、見守ることが大切だと思っています。
増加する特殊詐欺、強盗、「ながらスマホ」事故に注意
区民の皆さんが気を付けるべきことはありますか。
髙橋:特に気を付けていただきたいのは特殊詐欺です。最近はSNSやマッチングアプリを使用した投資詐欺・ロマンス詐欺、警察官をかたる特殊詐欺が非常に増えていて、手口も巧妙化しています。ご高齢の人だけでなく、20代から30代の若い人も被害に遭っていますので、十分注意をしていただきたいです。とにかく、お金の話が出てきたらいったんやり取りをやめて冷静になることが大切です。一人で悩まず、身近な人や最寄りの警察署に遠慮なく相談していただければと思います。
羽根:特殊詐欺は「自分も被害に遭うかもしれない」という防犯意識を持つことが大切です。例えばスマートフォンのショートメールに記載されているURLはすぐにクリックしないようにするなど、基本的なことに注意するだけでも多くの被害が防げます。また、子どもの交通安全対策は、保護者自身が一番身近なお手本になります。ぜひ、保護者の皆さんが率先して交通ルールを守ることを心掛けていただきたいです。
竹内:スマートフォンを利用している人は、歩きながらスマートフォンを操作する「ながらスマホ」をしないように注意していただきたいです。過去には、「ながらスマホ」により、周囲に注意が行き届かなくなって交通事故に巻き込まれたり、不審者に後ろをつけられているのに気が付かず、危うく家に侵入されそうになった事案もあります。特にイヤホンをしながらの「ながらスマホ」は非常に危険ですので、ぜひ、やめていただきたいです。
最近増えている「闇バイト」による強盗事件を防ぐためにできる対策はありますか?
髙橋:まず、どんな人から電話がかかってきても、自分の資産や家族状況について話さないでください。そのようなことを尋ねる電話がかかってきた時は、すぐに警察へ通報してください。警察官をかたる電話も多いのですが、警察が個人の資産状況などを問い合わせるようなことや、現金の振り込みを依頼することは絶対にありません。自宅の電話を常に留守番電話に設定することも一つの対策になると思います。
竹内:強盗の侵入を防ぐためにも、来訪者には必ずドアチェーンを付けたままで対応しましょう。また、最近では「屋根が壊れている」などと不安をあおってリフォームを勧める「リフォーム詐欺」も増えているので注意してください。無料点検などの飛び込み営業はきっぱりと断る、その場で点検させない、契約しないことを心掛けましょう。困った時はすぐに最寄りの警察署に相談してください。
羽根:空き巣や強盗の犯人は、いつ、どこから、皆さんを見ているか分かりませんので、とにかく隙を与えないことが大事です。たとえ自宅がマンションの高層階であっても、家に多額の現金を保管しない、家にいる時やゴミ捨て時にも玄関や窓に鍵をかけるといった防犯対策を徹底しましょう。防犯カメラやセンサーライト、補助錠といった防犯グッズの設置も有効です。警視庁のホームページでも各種注意喚起を行なっていますし、警視庁防犯アプリ「Digi Police(デジ ポリス)」ではエリアごとの防犯情報なども配信していますので、ぜひ、ご活用ください。
令和7年度の重点目標を教えてください。
髙橋:渋谷警察署では、特殊詐欺対策に加え、薬物犯罪の対策にも力を入れていきたいと考えています。最近は、軽い気持ちで大麻をはじめとした薬物に手を出す若者が増えているため、大麻は非常に有害なものだということを正しく理解してもらえるよう、薬物乱用防止教室などの啓発活動に力を入れていきたいです。
竹内:原宿警察署では、万引きと特殊詐欺被害防止を重点目標に掲げています。パトロールの強化に加え、制服の警備員を多く配置していただくなど、お店側にも協力をお願いしていきたいと考えています。
羽根:代々木警察署では、特殊詐欺被害防止と自転車の盗難防止に力を入れ、さまざまな対策を講じていきます。また、昨年は残念ながら交通死亡事故が3件発生してしまったため、「交通死亡事故0(ゼロ)」も重点目標として掲げています。
区民の皆さんにメッセージをお願いします。
髙橋:区民の皆さんが安全を実感し、安心して暮らせるように、また、渋谷を訪れる人が犯罪や事故に巻き込まれることがないように、地域の皆さんと連携し、街の安全の確保に努めていきたいと思います。
竹内:区民の皆さんの声をくみ取りながら、区内3署で力を尽くして区の安全を守っていきたいと考えています。
羽根:子どもから高齢者まで、さまざまな人が暮らし、訪れる、活気ある渋谷の街の安全をしっかりと守っていきます。警察の活動へのご理解とご協力をよろしくお願いします。
「渋谷のラジオ」で放送中!
髙橋署長、竹内署長、羽根署長へのインタビューは5月6日・13日に「渋谷の星」で放送します。
渋谷のラジオ87.6MHz(外部サイト)
警視庁防犯アプリ「Digi Police(デジ ポリス)」

都内の犯罪発生情報や防犯情報を確認できる警視庁の防犯アプリです。
主な機能
マップ機能
「マイエリア」や「マイ地点」を登録することで、その地域の犯罪発生状況を地図上に表示できます。
痴漢撃退機能
画面表示や音声で助けを求めることができます。また、被害者にスマートフォンの画面を見せることで、声を出さずに助けが必要かを確認できます。
防犯ブザー機能
画面をタップしてブザー音を鳴らすことができます。
ココ通知機能
あらかじめ登録した人に現在地やメッセージなどの情報を通知できます。
エリア通知機能
子どもへの声掛け事案や痴漢が連続しているエリアなどに入ると、お知らせを受け取れます。
(注)機能について詳しくは、警視庁ホームページを確認してください。
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