
「頭脳スポーツ」としてのマージャンを広めたい。
令和7年(2025年)8月1日号
「ハチ公杯 渋谷区世代間交流麻雀大会」や「健康麻雀クラブ」などに携わる渋谷麻雀業組合のお二人に、マージャンの魅力や地域での活動について伺いました。


マージャン(麻雀)とは?
マージャン牌(パイ)(注1)を使って役(注2)を作り、その得点を競うテーブルゲームです。プロリーグ「Mリーグ」の発足やオンラインゲームの普及などにより、年齢を問わず競技人口が増加しています。認知症予防、集中力の維持、コミュニケーションの促進、論理的思考力や判断力の育成など、さまざまな面で効果が期待され、改めて「頭脳スポーツ」としての魅力が見直されています。
(注1)数字や漢字が描かれた、マージャンの駒(札)。
(注2)得点の対象となる特定の牌の組み合わせ。30種類以上あり、それぞれ点数が決まっている。

相手の表情から手の内を見極め、戦略を立てていく面白さ
自己紹介をお願いします。
岡山:渋谷区と連携し、マージャンの普及活動を行なっている渋谷麻雀業組合会長の岡山康行です。今年で満83歳になります。マージャン歴は55年で、27歳の時に両親の経営する店を継いだことがきっかけで、マージャンに関わるようになりました。全国麻雀段位審査会七段と講師資格を生かして、区内で開催される大会や教室などに携わっています。
鈴木:渋谷麻雀業組合の理事を務める、鈴木恵理です。私は幼い頃から父や兄がマージャンで遊ぶ姿を見て育ち、18歳で上京した際、岡山さんのお店の求人を偶然見つけて働き始めたことがきっかけで、マージャンを始めました。現在は全国麻雀段位審査会五段を生かして、講師としても活動しています。
マージャンの魅力について教えてください。
岡山:配られた牌からどのような役を作るかを考え、相手の手の内を推測しながら自分で判断していく過程がとても刺激的で面白いです。原則4人で行うゲームなので、展開が複雑で、あらゆる可能性を想定しながら戦略を立てていきます。思い通りの役が完成したときの達成感は格別です。
鈴木:マージャンは心理戦でもあります。相手の表情やしぐさから手の内を推測したり、自分の手を読まれないように振る舞ったりなどの駆け引きが魅力です。相手の表情を注意深く見て、聴牌(テンパイ)(注3)したことを察知したり、自分が聴牌したときにはポーカーフェイスを心掛けたりと、水面下のやり取りがとても面白いですね。
(注3)あと1枚のマージャン牌で得点できる状態になること。
マージャンを通じて得られる福祉的・教育的な効果について教えてください。
岡山:高齢者にとっては、脳の活性化や認知症予防に役立つと思います。マージャンは、どのような役を作るかを考えたり、相手の待ち牌(ハイ)(注4)を予測したり、点数を計算したりと、常に頭を使うゲームです。さらに、仲間と交流する機会にもなるので、地域のつながりが広がるきっかけにもなります。また、子どもたちにとっては、思いやりや協調性、礼儀などを学ぶ良い機会になります。複数人で行うゲームだからこそ、ルールやマナーを守る中で周囲への配慮が自然と身に付きます。
(注4)得点するために必要な残り1枚のマージャン牌のこと。
「頭脳スポーツ」として、誰もが楽しめる
「ハチ公杯 渋谷区世代間交流麻雀大会」とは、どのような大会なのでしょうか?
岡山:子どもから高齢者まで、幅広い年代が参加できる渋谷区主催のマージャン大会です。令和5年度から始まり、今年は12月14日に第3回の開催を予定しています。かつては賭け事のイメージが強かったマージャンですが、今ではチェスや囲碁、将棋などと同様に「頭脳スポーツ」として親しまれていて、毎回たくさんの応募をいただいています。親子や夫婦での参加も多いですね。過去には、ゲストとしてMリーグの選手も参加しました。
鈴木:大会にはプロと対戦したいという子どもたちが多く参加しています。キラキラした目で対戦している姿はとても印象的で、大会中に役満(注5)が出た時は会場全体が大いに盛り上がりました。参加者の皆さんにとって、心に残る体験になったのではないかと思います。
(注5)正式名称は「役満貫(ヤクマンガン)」。マージャンにおける最も得点の高い役で、非常に難易度が高い。
毎年11月には「楽しい青空マージャン&チャリティ三角くじ」を開催されているそうですね。
岡山:テントの下にマージャン卓を設置して、青空の下でマージャンを楽しむイベントです。「渋谷区くみんの広場 ふるさと渋谷フェスティバル」にて毎年開催しています。初回は平成3(1991)年に、雲仙・普賢岳の大火砕流の被災地への義援金を募る目的でスタートしました。以降30年以上にわたって、ボランティア活動として収益を被災地や社会福祉協議会に寄付しています。毎回、多くの参加者が集まり、とても盛り上がっています。
鈴木:小さい頃から毎年参加してくれていた子が18歳になり、「就職が決まって引っ越すので、今年が最後になります」と報告してくれた時は、ずっと成長を見守ってきただけに、感慨深くて思わず目頭が熱くなりました。子どもから大人まで、毎年楽しみにしている人がたくさんいますので、これからも大切に続けていきたいです。
「健康麻雀クラブ入門コース」について教えてください。
岡山:渋谷ハチコウ大学クラブ活動の一環で、渋谷区に住んでいる60歳以上の人を対象に、渋谷・千駄ヶ谷・幡ヶ谷の3地区で開講しています。脳の活性化を図るだけでなく、参加者同士のコミュニティーの輪を広げることも目的としています。勝ち負けよりも、皆さんで和気あいあいとマージャンを楽しみ、「今日も楽しかった」と感じていただけることが何よりも大切だと考えています。
小中学生向けの「初心者麻雀講座」も始まったそうですね。
岡山:今年度から新たに始まった取り組みで、7月から小中学生を対象にマージャンの基礎やルールを学ぶ初心者向け講座を開講しています。マージャンのルールやマナーは講師が丁寧に指導しますので、安心してご参加いただけます。難しい漢字が読めなくても、計算が苦手でも大丈夫です。私たちが基礎からしっかりと教えますので、一緒に楽しく学びましょう。
鈴木:最初は役を覚えるのが少し大変かもしれませんが、時間をかければ誰でも必ず楽しめるようになります。間違えてしまうことがあっても、気負わずに楽しみながら取り組んでもらいたいです。
大切なのは、全員でゲームを楽しむこと
活動をする中で、大切にしていることを教えてください。
岡山:マージャンは、さまざまな人たちが集まって楽しむゲームです。だからこそ、「人に優しく、自分に厳しく」をモットーに、皆さんが気持ち良く楽しめるように日々心掛けています。
鈴木:講師として大切にしているのは、相手の立場に立って伝えることです。どこでつまずいているのか、どのように勝ちたいと思っているのかなどを理解した上で、寄り添いながら丁寧にアドバイスするようにしています。
今後、マージャンを通じて実現したいことや、新たに挑戦したいことを教えてください。
岡山:将来的には、誰もが気軽にマージャンを学び、楽しめる拠点をつくりたいと考えています。「頭脳スポーツ」としてのマージャンをもっと身近な存在にしていきたいです。
鈴木:渋谷区だけでなく、他の地域とも共同で大会を開催してみたいです。地域の枠を超えて交流が広がれば、より多くの人にマージャンの魅力を伝えられるのではないかと思っています。
区民の皆さんにメッセージをお願いします。
鈴木:大会や講座などを通じて、皆さんと楽しい時間を共有し、元気をもらっています。今後もマージャンの魅力をより多くの人に伝えていけるように活動を続けていきますので、興味のある人はぜひ、気軽に参加してください。
岡山:少しでも関心のある人は、この機会にぜひ、マージャンを始めてみてください。マージャンを通じてより刺激的で楽しい毎日を過ごすことができるようになるはずです!
「渋谷のラジオ」で放送中!
岡山さん、鈴木さんへのインタビューは8月5日・12日に「渋谷の星」で放送します。
渋谷のラジオ87.6MHz(外部サイト)
第3回ハチ公杯 渋谷区世代間交流麻雀大会
日時
12月14日(日曜日)11時〜17時
場所
区役所本庁舎15階スペース428
対象
区内在住・在勤・在学で小学生以上の人(注)小中学生の参加は保護者の同意が必要です。
定員
192人(抽選)
参加費
1,000円
申し込み方法
10月1日から渋谷区ポータル内渋谷区世代間交流麻雀大会のページ(9月24日更新)の申込フォームで
(注)詳しくは、しぶや区ニュース10月1日号に掲載予定の募集案内を確認してください。
問い合わせ
渋谷区世代間交流麻雀大会実行委員会事務局(渋谷ハチコウ大学クラブ事務局内) 電話:03-3464-5171 FAX:03-3464-5172
学びとスポーツ課学び支援係 電話:03-6451-1417 FAX:03-6451-1428
