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相手に寄り添い、異文化を理解し、サポートする。

令和7年(2025年)1月15日号

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通訳ボランティアとして、区役所や区内のイベントなどで活動するお二人に、普段の活動内容や通訳時に心掛けていること、活動におけるやりがいについて伺いました。

西原小百合(にしはらさゆり)さん「文化の違いを踏まえながら、分かりやすく、ゆっくりと丁寧に説明するように心掛けています。」
通訳ボランティア 西原小百合(にしはらさゆり)さん
矢地(やち)いずみさん「言葉の通訳だけではなく、日本文化の魅力も伝えることができて、うれしく思いました。」
通訳ボランティア 矢地(やち)いずみさん

日本語が不慣れな人をサポートする通訳ボランティア

お二人の自己紹介をお願いします。

西原:通訳ボランティアを始めて14年ほどになります。以前、航空会社で客室乗務員として勤務していた経験から、人のお世話をしたり、英語を使ったりする経験とスキルが地域の役に立つのではないかと思い、通訳ボランティアに応募しました。
矢地:私は普段、高校で英語の教師をしていて、前から自分のスキルを地域活動に役立てたいと思っていました。渋谷区に転入した際に、英語を使って活動しているボランティア団体を区に問い合わせたところ、通訳ボランティアという仕事を紹介していただきました。以来、20年ほど通訳ボランティアとして活動しています。

通訳ボランティアの活動内容を教えてください。

西原:大きく分けて3つの業務があります。メインとなる一つ目は、区役所内での庁内通訳です。日本語が不慣れな人が区役所を訪れた時に、お話を伺い、住民税の納付、国民健康保険や保育園の申し込みなど、さまざまな手続きのお手伝いをしています。二つ目は翻訳業務です。例えば、大使館や姉妹都市などへ送る挨拶文や文化事業への招待状、区内に設置されている公示文書、啓発動画の字幕などを翻訳しています。三つ目は案内業務です。「渋谷区くみんの広場 ふるさと渋谷フェスティバル」や「能楽鑑賞会」、旧朝倉家住宅で開催されるお茶会などに各国の大使をお招きする際に、通訳をしたり、日本文化について説明したりします。また、区が主催するイベントに参加する区民の皆さんの通訳も行なっています。

通訳ボランティアには、どのような人たちが参加しているのですか?

西原:家族の海外赴任に同行して外国で数年過ごした人や、海外の大学で日本文化を教えていた人、商社に勤めていた人などが参加しています。中には、英語に興味があって、長い間独学で学んでいた人もいます。

相手の立場に立ち、気持ちに寄り添った通訳を

日本語が不慣れな人の通訳対応をする時、心掛けていることは何ですか?

矢地:相手を思いやり、寄り添う気持ちでご案内することです。日本の税制度などが全く分からないまま区役所にいらっしゃる人もいますので、“言葉だけの通訳”をしてしまうと、どうしても受け入れられない部分が出てきます。きちんと理解していただけるように、制度の仕組みや成り立ちの理由まで説明したり、図を使って丁寧に解説したりしています。
西原:文化の違いを踏まえながら、分かりやすく、ゆっくりと丁寧に説明するように心掛けています。特に気を付けているのは、「NO」とお伝えする時です。要望に応えられない場合は、単に「それはできません」と言うのではなく、「担当者はあなたのためにしっかりと調べましたが、現時点ではお力になれないようで、とても残念に思っています」というように、言葉を選んで伝えています。

まさに相手に寄り添うお仕事なんですね。

西原:日本語が不慣れな人は、不安な気持ちで区役所にいらっしゃいます。そんな時に私たちが寄り添い、受けるべきサービスをきちんと受けられるようにお手伝いすることが、大きな役割の一つだと思っています。

通訳ボランティアのやりがいや魅力を教えてください。

矢地:私にとっては、ちょっとしたお手伝いだと思うようなことでも、皆さんがとても喜んでくださるんです。私自身、海外で生活していた時は言語が全く分からずに、いつも不安でした。少しでもサポートしてくれる人が現れると、感謝の気持ちでいっぱいになりましたね。皆さんも同じ気持ちなのかなと思うと、この活動をやっていて良かったと感じます。
西原:ある時、税金の督促状が届いた人が来庁されました。この時の督促状は全て日本語で書かれていたため、日本語を読むことのできないその人は内容が全く分からずに強い不安を感じて、顔がこわばっていたんです。そこで、内容をゆっくりお伝えして区の担当者につないだところ、とても安心した表情に変わっていきました。特にお金に関することは不安が募るものだと思います。解決のめどが立って「ありがとう」と言っていただけると、とてもやりがいを感じますね。

ボランティア活動を通して、これまでに印象的だったエピソードを教えてください。

西原:私はパパ・ママ入門学級(注)でも通訳をしているのですが、イベントが終わってから数か月たった時、参加者の一人とたまたま区役所で再会しました。無事出産を終えて、出生届の提出にいらっしゃっていたところでした。「あの時、おなかにいた子どもが生まれましたよ」と、赤ちゃんの写真を見せてくれた時は、本当にうれしかったです。その人の人生の大事な場面で寄り添うことができたことを、とても幸せに感じました。
矢地:旧朝倉家住宅で開催されたお茶会で、駐日大使の通訳をする業務がありました。その時、お茶のお点前(てまえ)の意味や懐紙(かいし)の使い方などを簡単に説明したところ、「日本文化の奥深さや季節を大切にする気持ち、思いやりの心などに感銘を受けた」と、とても感動してくださったんです。言葉の通訳だけではなく、日本文化の魅力をお伝えすることができて、うれしく思いました。
(注)妊娠している人やそのパートナーを対象に、これからの子育てや、地域で子育てをするための仲間づくりに役立つ講座。区内の各保健相談所で開催。

機械では対応しきれない問題を、人を介した通訳で解決する

現在、ボランティア活動の中で課題に感じていることはありますか?

西原:近年では、さまざまな国籍の人が来庁するようになりました。皆さんが話す言語も多岐にわたるため、通訳ボランティアだけでは対応が難しい場面があります。その点をどのようにカバーしていくかが課題だと感じています。
矢地:渋谷区では、簡単な手続きであれば、通訳タブレットを通じて問題を解決できることが増えてきました。ただ、中には複数の困り事を抱えている人もいて、じっくりお話を伺わなければ解決策を導けないケースも多々あります。通訳タブレットでの対応と人間による対応、それぞれの良さを生かして、より良いサービスを提供していけたらと思います。

最後に、区民の皆さんへメッセージをお願いします。

矢地:日本語が不慣れで、普段の生活やいろいろな公的手続きでお困りの人がいらっしゃいましたら、安心して区役所にお越しください。寄り添いながら、お話を伺います。
西原:日々、皆さんの生活全般に関わる課題解決に向けて、ささやかながらお手伝いをしています。ほかにも文化交流にも力を注ぎ、日本文化の魅力をお伝えする業務も行なっています。このような活動をしている通訳ボランティアの存在を、皆さんに知っていただけたら幸いです。

「渋谷のラジオ」で放送中!

西原さん、矢地さんへのインタビューは1月21日・28日に「渋谷の星」で放送します。
渋谷のラジオ87.6MHz(外部サイト)

渋谷区の多言語対応について

区では、通訳ボランティアのほか、17言語の通訳が可能な通訳タブレットを配置するなど、多言語での来庁者対応を行なっています。また、区の公式ウェブサイト「渋谷区ポータル」は、日本語初級者、子ども、障がいのある人にも分かりやすい「やさしい日本語」や、121言語に対応した多言語自動翻訳で閲覧することができます。

通訳ボランティアや通訳タブレットについて

問い合わせ

文化振興課交流推進係 電話:03-3463-1142 FAX:03-5458-4938

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広報コミュニケーション課広報係 電話:03-3463-1287 FAX:03-5458-4920
詳しくは、渋谷区公式サイト 渋谷区ポータルをご覧ください。