地域と踊り手と観客が一体となる、初台阿波踊り大会。
令和6年(2024年)9月1日号
初台阿波踊り大会を運営する実行委員会、初台商盛会、初台連の皆さんに、大会の魅力や見どころのほか、その準備や練習の様子について伺いました。
初心者から経験者まで、みんなが楽しく踊る「初台阿波踊り大会」
初台阿波踊り大会はいつごろから始まったのでしょうか?
小林:50年ほど前までは、初台地区の夏祭りとして盆踊り大会を開催していました。商店街で子どもたちが踊る、規模の小さなお祭りでしたね。当時の初台商盛会(注1)の会長が「もう少し活気あるお祭りにしたいが、何かアイデアはないだろうか」と考えていたところ、ある商店の店主が高円寺で見た阿波踊り(注2)の魅力を熱く語ってくれて、初台でもやってみようということになりました。そして昭和45(1970)年、第1回初台阿波踊り大会が開催されました。
滝本:その後、商店の店主や子どもたち、地域の企業に勤める人たちがそれぞれ連(注3)をつくって参加し始めました。当初はみんな見よう見まねで踊っていましたが、練習を重ねて腕を上げ、今では1万人近くの観客が来てくれるほど規模が大きくなり、見どころの多い大会になりました。
(注1)初台駅南口から300メートルほど続く商店街で、初台阿波踊り大会を主催している。
(注2)東京高円寺阿波おどりのこと。
(注3)阿波踊りを踊る団体のこと。
初台阿波踊り大会の魅力は何だと思いますか?
小川:初台阿波踊り大会には初台地区の連だけではなく、ほかの地区から参加してくれる連もたくさんあるので、非常に見応えがあるんですよ。それから初台の阿波踊りは誰でも参加可能で、子どもから大人までみんなが楽しめるようなアットホームな雰囲気が、大きな魅力だと思いますね。
中井:初台阿波踊り大会はいい意味で緩さがあり、阿波踊りを踊ったことのない人でも誘いやすいんです。初めて踊るにはちょうどいいと思います。私も初めて参加した時は、2日間の練習だけで本番に臨みました。それでも先頭で踊ることができ、その楽しさに魅了されましたね。
中村(理):初台阿波踊り大会の日程は毎年9月22日・23日と決まっているため、この地域で生まれ育った子どもたちが社会人になっても、お祭りに参加することで同窓会ができるんです。ほかの年代の友達に再会できるのも、魅力の一つになっています。
それぞれの連が個性を発揮して踊る光景は圧巻
初台阿波踊り大会では、「初台連(注4)」の皆さんが踊りを披露されると伺いました。初台連の特徴を教えてください。
中村(剛):初台連は、親子での参加が多いですね。子どもたちに「地域のコミュニティーに参加させたい」「地域の大人との関わりを経験してほしい」と考える親御さんが多いようです。そのため、初台連は年齢層が広く、3歳くらいの子どもから80代までいらっしゃいます。
(注4)初台阿波踊り大会で中心となる阿波踊りの団体。初台商盛会をはじめとした初台地区の人たちを中心に構成されている。
例年、いくつの連が参加していますか?
中村(剛):2日間の開催で、延べ20連ほどが参加しています。1連の人数はさまざまで、多いところでは約80人います。初台連は、大会当日のみ踊る人も含めると130人ほどになります。毎年、飛び入り参加する人がいらっしゃって、未経験者や外国人観光客のほか、阿波踊りの本場・徳島の踊り手も来てくださるんですよ。
初台阿波踊り大会の見どころを教えてください。
中村(剛):阿波踊りには通りを進みながら踊る「流し踊り」のほか、それぞれの連が作った輪の中で踊る「輪踊り」というものがあります。初台阿波踊り大会は輪踊りでフィナーレを飾りますが、各連が構成や演出など趣向を凝らした踊りを披露してくれるんです。どの連の輪踊りも個性があふれていて、まさに圧巻の光景です。
小川:阿波踊りと一言で言っても、うちわを持つ踊りや、ちょうちんを持つ踊り、編みがさを深くかぶり、げたを履いて舞うように踊る女踊り、足袋を履き、腰を低く落として踊る男踊りなど、いろいろな踊りがあるんです。おはやしもシーンによって音が変わります。連によってその構成はさまざまなので、阿波踊りは本当に個性が光る踊りなんですよ。
皆さんは大会当日までどのような準備をするのでしょうか?
滝本:毎年3月ごろから準備が始まります。地元の人や企業へのお声掛けから始まり、招待する連への連絡、練習場の確保、衣装準備、広告宣伝、会場設営、当日の交通整理や警察との連携など、準備することは盛りだくさんです。初台商盛会のみならず、近隣小学校のPTAやボランティアの皆さんにもご協力いただいています。
小川:初台連にはなかなか練習に行けない人もいますので、練習では毎回、初心者が身に付けるべき基礎の動きを行います。また、初台阿波踊り大会だけでなく、ほかの地区の阿波踊りにも参加するメンバーがいるので、年間を通して練習しています。練習日は月に2回程度で、6時間設けています。
中畑:私はおはやし担当で大きな太鼓をたたくので、なかなか家では練習できません。日々の隙間時間に“エア太鼓”で練習をしたり、段ボールをたたいてリズムを復習したりしています。体育館で練習する時には思い切りたたいていますね。
初心者・経験者を問わず、楽しく踊るためにはどのような心掛けが大切だと思いますか?
中井:とにかく笑顔が大事だと思います。実際に阿波踊りを踊ってみると、体がきつくて笑顔を保つのが大変です。男踊りですと、スクワットを長い時間続けるような動きをします。それでも、初台阿波踊り大会は踊り手と沿道にいる観客との距離が非常に近いので、笑顔を絶やさないように、阿波踊りの楽しさを皆さんと共有できたらいいなと思います。
初台阿波踊り大会ならではの雰囲気を会場で
今年はどんな大会にしたいですか?意気込みをお聞かせください。
小林:例年通りにぎやかになるように、実行委員会、初台商盛会、初台連など、全員で初台阿波踊り大会を盛り上げていきたいと思います。
滝本:実行委員会の人手が足りず、さまざまな準備がしっかりできるかどうか不安なところも多々ありますが、無事開催できるように頑張りたいと思います。多くの人に協力していただくために、実行委員会の勧誘活動にも注力していきたいですね。
区民の皆さんに向けて、メッセージをお願いします。
中村(剛):来場する皆さんに秋の夜長を楽しんでいただけるように、精いっぱい大会を盛り上げていきますので、ぜひ、参加していただければと思います。
小川:阿波踊りには「踊る阿呆(あほう)に見る阿呆」という掛け声があります。皆さんにもそんなふうに楽しんでもらえたらと思います。また、私たちと一緒に踊りたいという人がいらっしゃいましたら、気軽にお声掛けください。
中畑:初台阿波踊り大会はとても面白いお祭りです。毎年多くの人が楽しそうに沿道から声援を送ってくれます。阿波踊りを見たことがある人もない人も、皆さんお誘い合わせの上、ご参加ください。
中井:初台の阿波踊りは、どこから撮影しても絵になります。ちょうちんの明かりと商店街の街灯が、踊り手の汗をキラキラと輝かせる光景は最高です。雰囲気だけでも味わっていただけたらうれしいです。
中村(理):初台阿波踊り大会の魅力は、地域の手作り感だと思います。それゆえに大変なこともありますが、安全安心で楽しく開催し、伝統文化を未来につなげていけるように踊りたいと思います。
滝本:実行委員会は着々と準備を進めており、開催まであと一歩というところまでやってきました。地域の皆さんと一緒に、開催に向けて仕上げていきたいと思います。
小林:今年も大会が成功するように、実行委員会、初台商盛会、初台連、町会などが地域一丸となって頑張ります。区民の皆さんもぜひ、初台阿波踊り大会にいらっしゃってください。
「渋谷のラジオ」で放送中!
小林さん、滝本さん、中村(理)さん、中井さん、中畑さん、小川さん、中村(剛)さんへのインタビューは9月3日・10日に「渋谷の星」で放送します。
渋谷のラジオ 87.6MHz(外部サイト)
初台阿波踊り大会
今年で52回目を迎える初台地区のお祭りで、毎年9月22日・23日に開催されています。阿波踊りが初めての人でも、気軽に参加できるお祭りです。
日時
9月22日(日曜日・祝日)・23日(月曜日・休日)18時30分〜21時(注)小雨決行
場所
初台商盛会(初台駅南口すぐ)
初台商盛会ホームページ(外部サイト)
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