
LGBTQ+の適切な知識を学べる場を増やしたい。
令和8年(2026年)3月1日号
「渋谷ジェンダー平等推進アワード2025」を受賞した、渋谷教育学園渋谷中学高等学校のLAMBDA Coalitionの皆さんに、これまでの取り組みや活動目標などについて伺いました。




渋谷ジェンダー平等推進アワード
「渋谷ジェンダー平等推進アワード」では、従来のジェンダーやセクシュアリティーの固定観念にとらわれない、誰もが過ごしやすい社会に寄与する取り組みを、着眼点・汎用(はんよう)性・魅力度などから総合的に評価し、表彰しています。こうした取り組みを周知することで、区全体でジェンダー平等を推進しています。
詳しくは、渋谷ジェンダー平等推進アワードのページをご覧ください。
問い合わせ
渋谷インクルーシブシティセンター〈アイリス〉 電話:03-3464-3395 FAX:03-3464-3398

LAMBDA Coalition(ラムダ コアリッション)
渋谷教育学園渋谷中学高等学校の高校生が中心となって活動するLGBTQ+(注1)に関する啓発団体です。ワークショップを通じて、LGBTQ+への理解を広める活動を行なっています。LGBTQ+への意識を向上させると共に、当事者の若者が関わることのできる安全な場所をつくり、LGBTQ+に関する議論を日本や他の国でも広めることを目標としています。詳しくは、LAMBDA Coalition公式Instagramを確認してください。
(注1)レズビアン(女性として女性が好きな人)、ゲイ(男性として男性が好きな人)、バイセクシュアル(好きになる人が同性の場合も異性の場合もある人)、トランスジェンダー(生まれたときに割り当てられた性別と、自認する性別に違和を感じる人)、クエスチョニング・クィア(自分の性のありようについて迷っている、決められない、もしくは決めたくない人)の頭文字をとった、性のありようを表す言葉に「+」を付けることで当てはまらない多様な性を表現した言葉
LAMBDA Coalition 公式Instagram(外部サイト)

LGBTQ+の当事者が暮らしやすい社会をつくりたい
自己紹介をお願いします。
河村:LAMBDA Coalitionで活動している、渋谷教育学園渋谷中学高等学校の高校3年生の河村すずです。部活動は女子サッカー部と英語ディベート部に所属していました。
菅野:高校3年生の菅野紘子です。私は英語ディベート部、模擬国連部、ボランティア部に所属していました。
寺島:高校3年生の寺島圭信です。私はテニス部、軽音部、模擬国連部に所属し、軽音部では、洋楽ロックのカバーをよくしていました。
韓:高校2年生の韓シアです。英語ディベート部の部長を務めています。既に引退した先輩たちのように、後輩を引っ張っていこうと頑張っています。
LAMBDA Coalitionに参加しようと思ったきっかけを教えてください。
寺島:中学生の頃、趣味のコミュニティーでLGBTQ+当事者たちと知り合いました。交流する中で、「LGBTQ+の人たちは、自分とほとんど違いがないんだ」と知る一方で、たくさんの当事者たちが社会的な差別や非難を受けている現実があり、疑問を抱くようになりました。その後、誰もが暮らしやすい社会づくりに貢献したいと思うようになり、LAMBDA Coalitionに参加しました。
韓:以前暮らしていたアメリカのカリフォルニア州から日本に帰国した時、日本は他国に比べてLGBTQ+に対する理解が進んでいないと感じました。ちょうどそのタイミングでLAMBDA Coalitionが新メンバーを募集しているのを知り、参加しました。
菅野:私は中学生の時に自分自身がLGBTQ+であることを自覚しましたが、その時、周りに知識を持つ人がおらず、また安心して話せる空間もないことに気付きました。自分についてもっと知りたいと思っていたところ、先輩にLAMBDA Coalitionを紹介いただく機会があり、中学3年生の時に参加することにしました。
河村:中学1年生の頃、親友が当事者であるとカミングアウトしてくれたのをきっかけに、LGBTQ+について真剣に学ぶようになりました。そして、日本ではLGBTQ+に関する教育が正式に導入されていないということに問題意識を強く感じるようになり、高校2年生の時、参加することに決めました。
中学1年生の授業への導入を目標にワークショップを開催
「渋谷ジェンダー平等推進アワード2025」を受賞した感想を聞かせてください。
韓:受賞したことで、より多くの人にこの活動を知っていただけて、うれしかったです。私たちの取り組みがLGBTQ+のコミュニティーにどのような影響を与えるのだろうかと不安を感じていた部分もありましたが、受賞したことで新しいモチベーションにつながりました。
寺島:今回の受賞が、高校生でもLGBTQ+に関する啓発活動を行えるということを多くの人に伝える機会になり、本当にありがたく思いました。この経験が、私たちのこれからの活動の追い風になることは間違いありません。
「渋谷ジェンダー平等推進アワード2025」を受賞した取り組みについて教えてください。
菅野:中学1年生の時に特別授業の一環としてLGBTQ+に関する授業を受けたことをきっかけに、令和6(2024)年にLAMBDA Coalitionの活動の一環として、LGBTQ+に関するワークショップを始めました。たった15分間でしたが、たくさんの気付きを得ることができて、LGBTQ+に関する啓発の重要性を改めて感じました。後輩に向けた授業を通して、1人でも多くの当事者が救われ、自信を持ってほしいという思いで取り組んでいます。
河村:令和7(2025)年に計3回、10代から60代という幅広い年齢層の計70人を対象に、ワークショップを開催しました。この取り組みの最終目標は、中学1年生の保健体育の授業への導入です。中学1年生である理由は二つあり、一つはアイデンティティー形成の始まりの時期であるため、もう一つは、中学生のLGBTQ+に関する学習機会を補うためです。LGBTQ+というテーマは繊細かつ複雑であるからこそ、授業という形で適切な知識として伝える必要があると考えています。ワークショップでは毎回、参加者からのフィードバックをもとに内容や進行を改善し、最終的には、学校側へ中学1年生の教育課程の企画書を提出しました。
実際に行うワークショップはどのようなものですか?
河村:まずは、性的指向やジェンダーに関する基本的な説明をします。続いて、日本の現状として、他国のLGBTQ+の差別禁止に関する法律との比較を通して、日本の「LGBT理解増進法(注2)」の制定背景や課題を取り上げます。それらを踏まえ、無意識に他人を傷つけてしまうささいな言動である「マイクロアグレッション」について、事例を用いながら説明し、マイクロアグレッションをなくすためのプロセスや、万が一、相手を傷つけてしまった際の対処法にも触れていきます。最後に、当事者との座談会を実施して、質疑応答をする機会を設けています。
(注2)正式名称は「性的指向及びジェンダーアイデンティティの多様性に関する国民の理解の増進に関する法律」
ワークショップの魅力を教えてください。
菅野:主に四つあります。一つ目は、中高生によるワークショップであることです。中高生が主催することで、参加するハードルが低くなると考えています。二つ目は、LGBTQ+をより身近に感じてもらえる工夫をしていることです。そして三つ目は、多世代が交流できる場になっていることです。最後の四つ目は、海外の教育者向けの教材を参考にしているため、多様な視点が取り入れられていて、信頼性の高い知識を提供できることです。
当事者でなくても、LGBTQ+の人たちを支える方法はある
ワークショップ以外に、どのような活動をしていますか?
寺島:LAMBDA Coalitionの公式InstagramでLGBTQ+の芸能人の紹介やLGBTQ+に関する豆知識、世界の当事者たちのインタビューなどを投稿しているほか、学校の図書館にLGBTQ+に関する書籍を展示したり、映画の鑑賞会を開催したりしています。昨年の夏には、LGBTQ+の人が経験するマイクロアグレッションをテーマにしたショートムービーを制作しました。
これからの活動についてお聞かせください。
韓:中学1年生に向けたLGBTQ+に関する授業を正式に導入するという目標を達成するために、校外でのワークショップを増やしたいです。今までにやったことのない活動にも積極的に挑戦していきたいと思っています。
区民の皆さんにメッセージをお願いします。
寺島:当事者でなくても、LGBTQ+の人たちを支える方法はたくさんあります。普段からささいな言動に気を付けたり、LGBTQ+に関するイベントに参加して交流したりすることで、周囲にいる当事者も少し気が楽になるかもしれません。誰もが気軽に相談したり、話したりできるような環境づくりをみんなで目指していきたいです。
韓:LGBTQ+について理解し、自分がどう行動すべきかを考えれば、LGBTQ+に対する批判や偏見は必ず減っていくはずだと確信しています。
菅野:当事者や自分のアイデンティティーを模索中で悩んでいる人にお伝えしたいのは、「一人じゃない」ということです。ぜひ、安心して自信を持って仲間を見つけてほしいと思います。
河村:知ることで人は助けられ、社会は変わると信じて、LGBTQ+の啓発に注力しています。私たちをはじめ、LGBTQ+に関する活動をしている若者たちへ、これからも応援をよろしくお願いします!
「渋谷のラジオ」で放送中!
LAMBDA Coalitionの皆さんへのインタビューは3月3日・10日に「渋谷の星」で放送します。
渋谷のラジオ87.6MHz(外部サイト)