
防災行動力と地域のつながりで、災害に強いまちへ。
しぶや区ニュース令和8年(2026年)9月1日号
9月1日は「防災の日」。渋谷消防署の新署長と渋谷消防団長に、日頃の活動と連携の様子、地域防災の取り組み、家庭でできる備えについて伺いました。


非常時も平時も連携を図る「防災のパートナー」
自己紹介をお願いします。
大髙:渋谷消防署長の大髙浩です。平成5(1993)年に東京消防庁に入庁し、火災の出火原因を調査する職務を長年担当した後、小平消防署長、丸の内消防署長を経て、今年4月より渋谷消防署長に着任しました。渋谷に暮らす人、訪れる人に安全・安心を提供し、災害に強いまちを目指していきたいと思っています。
二渡:渋谷消防団長の二渡永八郎です。生まれも育ちも恵比寿で、現在は恵比寿明交町会の町会長を務めています。渋谷消防団に入団して45年目、団長になって5年目になります。
消防官、消防団員を志したきっかけを教えてください。
大髙:元々は民間企業でコンピューター関係の仕事をしていましたが、人のために働きたいと思うようになり、採用選考を受けて入庁しました。人の命やまちの安全に直接関わる消防の仕事に、やりがいと責任を感じています。
二渡:消防団に入団したきっかけは、自宅付近で早朝に起きた火災です。町会の人たちが防火衣を着て火災現場に駆けつける姿を見て、地域の消防組織である消防団の存在を知り、自分も何か役に立てればという思いから入団しました。全くの未経験でしたが、消防団での活動を通じて防災の知識や技術を身に付けることができ、とても勉強になっています。近所の人から「頑張ってくださいね」「いつもありがとうございます」などと声を掛けていただけることが励みになっています。
渋谷消防団の構成について教えてください。
二渡:渋谷消防団は、それぞれの地域に拠点を置く11の分団と、分団を統括する団本部で構成されている組織で、渋谷消防署と連携して地域に密着した防災活動を行なっています。現在の団員数は409人、うち118人が女性団員です。区議会議員や区職員、自営業、会社員、主婦、学生など、幅広い職種や年齢の人が所属しており、それぞれの仕事や家庭などと両立しながら活動しています。主な活動内容は、放水訓練や各種資機材の取り扱い訓練をはじめ、火災発生時の消火活動、地震や風水害における救助救出・避難誘導活動です。また、応急手当指導員の資格を持った団員による、区民向けの救急救命講習なども行なっています。
渋谷消防署と渋谷消防団はどのように連携して活動していますか?
大髙:消防署と消防団は「防災のパートナー」です。消防団本部は消防署内にあり、火災などの災害発生時には消防署長から各分団に出動要請を行なっています。現場指揮や消火・救助活動は消防隊員が主に行いますが、初期消火や後方支援、情報収集、避難誘導、警戒巡回など災害時のあらゆる活動において、地域のことを熟知している消防団の協力が欠かせません。また、平時においても、区民に対する防火防災訓練指導、年末年始や各種イベントの際の消防特別警戒など、さまざまな活動を連携して行なっています。
楽しく学べる体験型防災訓練を区内11地区で実施
渋谷防災キャラバンについて教えてください。
大髙:渋谷防災キャラバンは、渋谷消防署と渋谷消防団も参加し、区内を巡回して行う体験型の防災訓練です。会場では、模擬消火器による初期消火訓練やミニ防火衣体験、ポンプ車などの車両展示など、さまざまなコーナーを展開しています。また、今年度からは新たな取り組みとして、消防隊員と一緒に会場内を回遊しながら防災を学べる「防災ミニツアー」も実施しました。
参加者の反応はいかがですか?
大髙:お子さま連れのご家族から学生、高齢者まで、幅広い世代の人にご参加いただき、大変好評をいただいています。クイズなどのゲーム的な要素も盛り込んでいるため、皆さんが楽しみつつも真剣に学ばれているのが印象的です。今年度は、11地区で開催が予定されています。防災に関する正しい知識を身に付け、災害時に素早く判断して実践する「防災行動力」を高めるために、ぜひ、積極的に参加していただきたいです。
二渡:どの会場でも、子どもたちが楽しそうに学んでいる姿が印象的です。誰でも気軽に参加でき、楽しく学べる点が防災行動力の向上につながっていると思います。少しでも多くの人に足を運んでいただけたらうれしいです。
日頃から備え、自助・共助を大切に、命を守る
渋谷区の防災における課題と対策について教えてください。
大髙:渋谷駅・原宿駅・恵比寿駅を中心として、大きな建物や繁華街に人の流れが集中しているため、災害発生時に混乱が生じやすいことが課題です。消防署では普段から大規模災害を想定した訓練に取り組んでいるほか、安全に建物を使用するための防火査察や火災予防指導、自衛消防訓練指導を重点的に行なっています。一方で、住宅が密集している地域では、地震による建物の倒壊や火災の延焼拡大の危険があります。これに対しては、渋谷防災キャラバンなどを通じて区民の皆さんの防災行動力を高めていくことが重要だと考えています。また、区内の小中学生で構成している渋谷消防少年団の活動を通じて、次世代の防災リーダーを育成する取り組みも行なっています。
防災行動力を高めるにはどうすればいいでしょうか?
大髙:まずは災害に関する基礎知識を持っていただきたいと思います。地震では、首都直下地震が現在から30年以内に70%の確率で発生すると予測されており、区内でも全壊・半壊建物数が4,730棟、焼失棟数は297棟、死者は83人に上るという予測があります。また、火災においては、昨年は区内の火災件数が241件と過去最高となり、出火原因はコンセントやモバイルバッテリーなどの電気器具関係が最も多くなっています。令和4(2022)年以降の救急件数は右肩上がりで、昨年は23,715件となりました。熱中症や感染症が増加する時期には、救急車が逼迫(ひっぱく)することもある状況です。
家庭でできる防災対策を教えてください。
大髙:電化製品やガス器具などを日頃から点検し、少しでも異常を感じたら使用を控えることや、家族間で避難行動についてシミュレーションしておくことなど、日頃の気付きや心掛けがとても大切です。水や食料品などの備蓄、家具類の転倒・落下・移動防止対策や感震ブレーカーの取り付けなど、備えとしてできることはたくさんあります。救急救命講習では、AEDを使った心肺蘇生法や包帯法などの応急手当ても学ぶことができますので、ぜひ、知っておいていただきたいです。また、救急車を呼ぶかどうか迷ったときには、東京消防庁のホームページやアプリの救急受診ガイド、救急相談センター(♯7119)をぜひ、ご活用ください。
今後の展望や目標について教えてください。
大髙:消防官は災害対応のプロフェッショナルとして、あらゆる災害に対応できるように、日々、訓練を積み重ねています。また、少しでも多くの人に防火防災訓練を経験していただけるように、消防団と連携しながらさまざまな取り組みを行なっていきたいです。
二渡:消防団は「自分たちの町は自分たちで守る」を信条に活動しています。今後も訓練や活動を通じて、区民の皆さんに信頼される組織であり続けたいと思います。
区民の皆さんへメッセージをお願いします。
大髙:渋谷消防署は、区民の皆さんの安全・安心を守るために、災害対応、火災予防に全力を尽くします。併せて、災害発生時には、自分の命を自分で守り、地域の人と支え合う「自助・共助」も欠かせません。区内での防火防災活動にご理解とご協力のほど、よろしくお願いいたします。災害はいつ起こるか分かりません。ぜひ、日頃から備えていただきたいと思います。
二渡:現在、渋谷消防団では団員数が減少傾向にあります。災害に備えるためにも団員の確保が非常に重要です。区内在住・在勤・在学のいずれかで、18歳以上の人であれば入団できますので、ぜひ、ご検討ください。地域の安全・安心を守るため、私たちと一緒に消防団員として活動しましょう。
(注)この記事の取材は、令和8年7月に行われました。
「渋谷のラジオ」で放送中!
大髙さん、二渡さんへのインタビューは9月1日・8日に「渋谷の星」で放送します。
消防団員を募集しています

渋谷消防団の団員として一緒に活動してみませんか。活動の一部を半日程度で体験できる「消防団トライアル(体験入団)」も開催しています。
対象
区内在住・在勤・在学の18歳以上で健康な人
(注)詳しくは、東京消防庁消防団ホームページ(外部サイト)を確認してください。
「渋谷防災キャラバン」に遊びに来ませんか

「渋谷防災キャラバン」は、地域の防災意識を高め、防災力向上を図ることを目的に開催されている体験型の防災訓練です。誰でも気軽に参加できるプログラムを用意しています。
詳しくは、令和8年度 渋谷区総合防災訓練 渋谷防災(しぶやぼうさい)キャラバンを区内11地区で開催していますのページで。
問い合わせ
防災課災害対策推進係 電話:03-3463-4475 FAX:03-5458-4923
問い合わせ
広報コミュニケーション課広報プロモーション係 電話:03-3463-1287 FAX:03-5458-4920