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区との連携を深め、健康や医療の知識を提供したい。

令和8年(2026年)3月15日号

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日本赤十字社医療センターの中島淳院長と、日本赤十字看護大学の守田美奈子学長に、地域での活動や区との連携について伺いました。

「医療だけでなく、知識の提供や災害救護などにも力を入れています。」
日本赤十字社医療センター院長 中島 淳(なかじまじゅん)さん
「さまざまな地域保健活動を通じて、看護の知識を広めていきたいです。」
日本赤十字看護大学学長 守田美奈子(もりたみなこ)さん

医療現場や災害救護で、質の高い医療を提供する

自己紹介をお願いします。

中島:日本赤十字社医療センター(以下「医療センター」)院長の中島淳です。東京大学医学部附属病院で、呼吸器外科医と副院長を務めた後、令和5(2023)年に現職に就きました。
守田:日本赤十字看護大学(以下「看護大学」)学長の守田美奈子です。看護師の資格取得後に12年間、臨床経験を重ねました。その後、大学院で学び、准教授、教授、学部長を経て、令和元(2019)年に現職に着任しました。

医療センターと看護⼤学について教えてください。

中島:医療センターは、日本赤十字社に所属する病院で、令和8(2026)年に開院140周年を迎えます。現在は645床を備え、非常勤を含む約400人の医師と1,000人を超える看護師が勤務し、高度急性期医療(注1)だけでなく、地域の救急医療を担う病院としての役割を果たしています。また、災害救護活動にも力を入れ、国内外を問わず、救護活動を行なっています。令和6(2024)年の能登半島地震では、被災地への救護班などの派遣をいち早く実施しました。
守田:看護大学は、前身となる日本赤十字社病院での看護教育の開始から約130年を経て、令和8(2026)年には開学40周年を迎える歴史ある大学です。特徴は、大きく二つあります。一つ目は、「人々の苦しみを和らげて、人間の尊厳を守る」という人道に基づいた教育理念の下、専門的な知識や技術だけでなく、人の尊厳を大切にする心を育む教育を行なっている点です。二つ目は、4年制の学部を修了すると看護師と保健師の資格を取得でき、さらに2年間の修士課程を修めることで、助産師の資格取得も可能となる点です。卒業後は、多くの学生が医療現場で経験を重ね、各分野の看護職として活躍しています。
(注1)病気やけがの症状が急激に現れる時期にある患者に対し、状態の早期安定化に向けて、24時間体制で集中的に行う医療

健康や疾病の知識を提供するため、地域連携を推進

令和7(2025)年3月に、S-SAP(シブヤ・ソーシャル・アクション・パートナー)協定を締結した背景や経緯をお聞かせください。

中島:これまで実施してきた区民向けの公開講座などに加えて、地域にさらに寄り添い、継続的な形で活動を展開できないかと考えていたところ、S-SAP協定の存在を知り、ぜひ、渋谷区と協力して地域に貢献したい、また災害救護についてもより深く連携したいと考えるようになりました。さらに、医療の提供だけでなく、さまざまな媒体を通じて健康や疾病に関する知識を広く届けたいという思いを区にお伝えしたことが、協定締結につながりました。
守田:医療センターと連携して立ち上げた「地域連携・フロンティアセンター(注2)」で、認定看護師教育や臨床現場との共同研究に加え、地域での防災訓練や渋谷区での地域保健活動、区主催の「渋谷防災キャラバン」での救急法(一次救命処置)の実演など、さまざまな活動に取り組んできました。今後、さらに地域とのつながりを深めるため、区と連携して活動を広げたいと考えたことが、協定締結のきっかけになりました。
(注2)医療の実践・教育・研究を統合しながら、広く人々の心身の健康を維持向上させていくことを目的に平成17(2005)年に設立された組織

協定締結後、どのような地域活動を実施されましたか?

守田:令和7(2025)年6月には、原宿外苑中学校で開催されたイベント「原リンピック」に参加し、妊婦体験や、AED(自動体外式除細動器)の使い方のレクチャーを行いました。また、保健所と連携し、災害看護領域の教授や大学院生と共に、災害時の対応に関するオンラインセミナーを開催したり、長く続く病を意味する「沈痾(ちんあ)」をテーマに、災害後の心のケアに関する講演を実施したりと、地域活動の幅がさらに広がったと実感しています。
中島:令和7(2025)年は、6月に広尾小学校、10月に神宮前小学校で開催された「渋谷防災キャラバン」に参加し、救急車や支援物資の展示、救護服の着用体験、11月には渋谷本町学園で性教育や健康に関する授業を行いました。そして令和8(2026)年1月にはスポーツボランティアを対象に、車いすの利用方法や注意点、救急法に関する講義を行い、災害看護の専門看護師と脳卒中リハビリ認定看護師を講師として派遣しました。また、令和6(2024)年から毎月、地域の皆さんに向けた公開講座を開催し、疾病の予防や治療法について情報発信を続けています。S-SAP協定の締結により、区に講座の申し込みの窓口を設けていただいたことで参加者が増え、改めて区との連携の重要性を実感しました。

渋⾕区との官⺠連携で、特に印象に残っているエピソードはありますか?

中島:令和6(2024)年9月に、東京都での大地震発生を想定した大規模な災害訓練が行われました。医療センターは被災地へ救護に向かう立場であると同時に、全国から派遣される日本赤十字社救護班や災害医療チームを受け入れる立場でもあります。東京都や渋谷区をはじめ、医師会、歯科医師会、薬剤師会などと連携して災害救護に当たることになりますが、実際に大地震などが起こったときは、これほどたくさんの医療関係者が救護活動に駆けつけてくれるのだと心強く思いました。
守田:区と連携して開催した地域セミナーでは、参加者数がこれまでより大きく増加し、S-SAP協定の効果を強く感じたと同時に、区民の皆さんに私たちの活動を知っていただく良い機会になったとうれしく思いました。また、S-SAP協定を結ぶ企業や大学の皆さんとお会いする機会があり、普段は関わることのない業種間で意見を交わすことができたことで、視野が広がると同時に、新たな取り組みの企画につながることもありました。

今後、S-SAP協定を通じて取り組みたい新しいサービスやプロジェクトはありますか?

中島:医療センターが持つ医療・医学に関する知識を、より多くの皆さんに届けられるよう、引き続き区とも連携して公開講座やイベント派遣を実施していきたいです。また、高齢者のみならず、若年層から壮年期まで、渋谷区にお住まいの皆さんの健康増進に関するご意見やご意向を伺い、今後の活動に生かしていきたいと考えています。
守田:看護大学には、災害救護のボランティアサークルや手話サークルなど、地域貢献への意欲が高い学生が多く在籍しています。そのような学生の活動が、地域への貢献につながるような連携の仕組みをつくっていけたらと思っています。また、医療センターが医療に関する情報提供をする一方で、病気になった際に食事や運動などの日々の暮らしをどう整えるか、苦しみをどう和らげるかといった「ケア」に関する専門知識や技術を提供できる企画を考えていきたいですね。

広尾地区は医療や福祉が集まる特別な地域

区民の皆さんに知ってほしい取り組みや強みはありますか?

中島:赤十字病院は全国に約90か所あり、赤十字の掲げる「人道・博愛」の理念の下、人の命と健康、そして尊厳を守るための質の高い医療を提供しています。その中でも、医療センターには、特に知っていただきたい特徴があります。それは、がん治療や救急医療といった高度医療、そして出産を支える周産期医療が充実しているという点です。これらの強みを踏まえ、私たちは現在、四つの目標を掲げています。一つ目は、より多くの皆さんに医療センターを知っていただくこと。二つ目は、満足していただける医療を提供する病院であること。三つ目は、急な病気やけがに対応できる救急医療を提供すること。四つ目は、区の医師会に所属する医療機関や地域の皆さんとの強い連携を保つことです。これらを通じて、皆さんに安心して医療を受けていただけるよう、日々努めています。
守田:まず、赤十字の看護大学が広尾地区にあることを知っていただきたいです。看護大学は、苦しみに寄り添うための人間性や教養を深め、確かな実践力を持つ看護職を育てる教育機関として、学部教育から修士・博士課程の大学院教育まで一貫した教育を行なっています。さらに広尾地区には、医療センターを中心に看護大学、乳児院、保育園、総合福祉センターなど、医療・福祉に関する施設が集まっています。今後は、この環境の強みを生かし、さらに地域に貢献できるような取り組みを広げていきたいと思っています。

区民の皆さんにメッセージをお願いします。

守田:これから少子高齢化が進み、2040年ごろには看護職の不足が懸念されています。そのため、今後も人材育成に努めるとともに、地域の皆さんが日々の生活や自身の健康について見つめ直すきっかけを引き続き、提供していきます。
中島:病院の役割は、病気やけが、出産などで不安を抱える人々を支え、安心していただくことだと考えています。また、広く医療の知識を提供することで、将来の病気やけがに対する心配や不安を減らしていくことも重要です。引き続き、渋谷区の皆さんが健やかに、安心して暮らし続けることができるよう、日々努めてまいります。

「渋谷のラジオ」で放送中!

中島さん、守田さんへのインタビューは3月17日・24日・31日に「渋谷の星」で放送します。
渋谷のラジオホームページ(外部サイト)

S-SAP(シブヤ・ソーシャル・アクション・パートナー)協定とは?

S-SAPロゴ

渋谷区内に拠点を置く企業や大学などと区が協働し、地域の社会的課題を共に解決していくために締結する官民連携制度です。S-SAP協定に基づいて、各企業や大学などはそれぞれが持つ技術や特色を生かして、新たな区民サービスを提供しています。
詳しくは、S-SAPのページをご覧ください。

S-SAP協定締結企業・団体・大学数

31企業・団体、9大学(令和8年3月現在)

問い合わせ

経営企画課経営企画係 電話:03-3463-1191 FAX:03-5458-4973

問い合わせ

広報コミュニケーション課広報係 電話:03-3463-1287 FAX:03-5458-4920