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誰もが気軽に楽しめる車いすラグビーの魅力。

令和8年(2026年)1月1日号

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2026年新春。車いすラグビー日本代表の島川慎一さんと池崎大輔さんを迎え、車いすラグビーの魅力と今後のパラスポーツの展望について語り合いました。

島川さん「ぜひ、車いすラグビーを観戦したり、体験したりしてみてほしいです!」
車いすラグビー日本代表・パリ2024パラリンピック競技大会金メダリスト 島川慎一(しまかわしんいち)さん

昭和50(1975)年生まれ。21歳の時、交通事故により頸髄を損傷し、車いす生活となる。24歳の時の車いすラグビー観戦をきっかけに競技開始。力強いタックルとスピードを武器に、アテネ2004大会から日本代表に選ばれ続けている日本の攻守の要。リオ2016大会・東京2020大会では銅メダルを獲得し、パリ2024大会では悲願の金メダル獲得に貢献。2005-2006シーズンからアメリカ国内リーグに挑戦し、Phoenix Heat(フェニックス ヒート)に所属。2005-2006シーズンの全米選手権で初優勝を果たし、外国人選手としては初となる年間最優秀選手賞を受賞。アメリカ国内リーグには、計6シーズン参加し、そのうち2シーズンで全米優勝を成し遂げた。

池崎さん「今年の世界選手権も頑張ります。応援をよろしくお願いします!」
車いすラグビー日本代表・パリ2024パラリンピック競技大会金メダリスト 池崎大輔(いけざきだいすけ)さん

昭和53(1978)年生まれ。6歳の時、手足の筋力が低下していく指定難病「シャルコー・マリー・トゥース病」と診断される。高校時代に車いすバスケットボールに出会い、その後クラブチームに誘われて、29歳で車いすラグビーに転身。32歳で日本代表に選出される。鍛え上げた体幹が生み出す漕ぎ出しのスピードと巧みな車いす操作を武器に、世界における日本代表の躍進に貢献。リオ2016大会・東京2020大会では銅メダルを獲得し、パリ2024大会では悲願の金メダル獲得に貢献した。

長谷部区長「車いすラグビーをはじめとするパラスポーツを今年も一緒に盛り上げましょう!」
渋谷区長 長谷部 健(はせべ けん)

車いすラグビー

パラリンピックで車いす同士のぶつかり合い(タックル)が唯一認められている競技で、迫力あるコンタクトプレーが魅力です。四肢に障がいのある選手が、1チーム4人でプレーします。選手には障がいの程度に応じて0.5〜3.5の持ち点が与えられ、4人の合計が8点以内になるようにチームが編成されます。2.0以上の選手は主にゴールを狙う攻撃を担うハイポインター、1.5以下の選手は主に守備を担当するローポインターと呼ばれます。

車いすラグビーの試合中の島川さん
(C)MegumiMasuda/JWRF
車いすラグビーの試合中の池崎さん
(C)MegumiMasuda/JWRF

長谷部:あけましておめでとうございます。
島川・池崎:あけましておめでとうございます。
長谷部:2025年はお二人にとってどのような1年でしたか?
池崎:パリ2024パラリンピック競技大会(以下「パリ2024大会」)で金メダルを獲得し、ありがたいことにその反響が2025年も続きました。競技で体を動かす時間より、講演などで“口を動かす”ことが多かった1年でしたね。ただ、その分、より多くの人に車いすラグビーの魅力を伝えることができたと思います。
島川:パリ2024大会後に渋谷センター街で行われた祝賀パレードでは、渋谷の皆さんに温かく迎えていただき、とてもうれしかったです。その気持ちを胸に2025年はトレーニングを再開し、次の目標に向けて動き出すことができました。そして、11月の「2025 ワールド車いすラグビー アジア・オセアニア チャンピオンシップ」で優勝したことで、世界選手権への出場資格を無事に獲得できました。
長谷部:渋谷区と車いすラグビー日本代表のご縁は、リオ2016パラリンピック競技大会から約10年続いています。2025年も学校訪問やパラスポーツ普及イベントにご協力をいただきました。区民の皆さんがパラスポーツの魅力をより身近に感じる機会をサポートしていただき、とても感謝しています。

車いすラグビーは、「選手の年齢層が広いこと」が特徴の一つです。チームの中で普段どのようなことを心掛けていますか?

島川:私はチーム最年長ですが、メンバーには「コートに入ったら年上も下も関係ないから、遠慮なく何でも話そう」と常に伝えています。
池崎:信頼関係があってこそ、チームは強くなると思っています。日本代表は世界トップレベルの選手が集まっていて、年齢や考え方をはじめ、競技を始めた背景も全員異なります。だからこそ、密なコミュニケーションが必要であり、それぞれの違いを認め合い、一つにまとまる力こそが、今の日本代表の強さにつながっていると感じています。

車いすラグビーのどのようなところに魅力を感じていますか?

島川:一番は激しいタックルです。車いす同士がぶつかり合って、倒すと褒められるところが、とても面白い競技だと思っています。攻めと守りの切り替えの速さや、攻めのハイポインターと守備のローポインターの連携など、魅力が尽きません。競技を始めてからずっと夢中になっています。
池崎:私も同じく、タックルです。思い切りタックルできる競技が自分により合っていると思い、車いすバスケットボールから転身しました。車いすラグビーは、障がいの程度や性別に関係なくプレーができ、それぞれのポジションに役割と魅力があります。また、激しさの中に優しさもあり、ルールが複雑で頭も使います。これだけ面白い競技はなかなかないと思います。
長谷部:ハイポインターが点を決めた時はもちろん、ローポインターが体を張って守った時も胸が熱くなります。選手の個性や魅力を知ると、応援にもより一層気持ちが入ります。私自身も、心の中では日本代表の一員になったつもりで試合を観戦しています。
池崎:そのような思いで試合を観戦していただけているなんて、本当にうれしいです!

区内では「SHIBUYA CUP」や「渋谷区長杯」といった大会のほか、区民対象の体験会「シブヤパラスポーツフェスタ」などが行われています。

島川:「SHIBUYA CUP」は若手選手育成のための国際大会で、各国の特色ある戦術やプレーを見ることができます。渋谷区長杯は子どもたちの観戦も多く、とても盛り上がるため、毎年プレーするのを楽しみにしています。
長谷部:この2つの大会はライブ配信も行われていて、分かりやすい解説付きなので、初めて見る人やルールを知らない人にもぜひ、一度観戦していただきたいですね。
池崎:個人的には海外のように、ビールを片手に気軽に観戦できるぐらい、身近になってくれたらうれしいです。また、より多くの人に観戦していただき、魅力を広めていただくためには、競技レベルはもちろん、試合の演出や選手の発信力も磨かれていくべきだと感じています。
島川:体験会では、学校訪問で車いすラグビーに興味を持ってくれた子どもたちが保護者と一緒に来てくれることも多いです。タックルを体験すると最初は驚きつつも、皆さん笑顔で楽しんでくれます。

今後も、区でパラスポーツを推進していく中で、実現したいことはありますか?

池崎:渋谷の街を舞台にした車いす体験イベントもやってみたいですね。障がいやインクルーシブなまちづくりについて考えるきっかけになれば良いなと思っています。
島川:私は屋外で車いすラグビーをやってみたいです。ストリートスポーツのように、誰でも気軽に見たり参加したりできる場を渋谷でつくれたら良いですよね。
長谷部:選手ならではのアイデアをありがとうございます!「ちがいを ちからに 変える街。」である渋谷区にとって、パラスポーツはまちづくりの大きな原動力です。世界大会が区内で行われていることも街の誇りであり、今後もさまざまな取り組みを通じて車いすラグビーを応援していきます。

区民の皆さんへのメッセージと、2026年の抱負をお聞かせください。

島川:ぜひ、区のイベントなどを通じて、車いすラグビーを観戦したり、体験したりしてみてください。私たちの激しいプレーを見て、「自分も何かに挑戦してみよう!」と思ってもらえたらうれしいです。8月の世界選手権にメンバーとして選ばれること、そして優勝することを目標に今年も頑張ります!
池崎:今年も渋谷の皆さんとパラスポーツを一緒に楽しみ、障がいについて語り合いながら、違いを受け入れる優しさや、困難に向き合う強さ、「障がいの有無にかかわらず、みんなで一緒に頑張っていこう!」という思いを伝えていきたいです。世界選手権で結果を出し、多くの人に笑顔を届けられるよう頑張りますので、応援をよろしくお願いします!
長谷部:スポーツは「応援する」だけでなく、「体験する」ことも渋谷の文化として根付きつつあります。区民の皆さんもぜひ、車いすラグビーをはじめとするパラスポーツを一緒に楽しみながら、自分自身の健康づくりにもつなげていただければと思います。本日はありがとうございました。
島川・池崎:ありがとうございました。

「渋谷のラジオ」で放送中!

島川さん、池崎さんと長谷部区長の鼎談は1月6日・13日に「渋谷の星」で放送します。
渋谷のラジオ87.6MHz(外部サイト)