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心を通わせながら、利用者の外出を支援する。

令和6年(2024年)10月1日号

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知的障がいがある人たちの外出を助ける移動支援従業者(ガイドヘルパー)の皆さんに、仕事の内容や気を付けていること、やりがいなどについて伺いました。

川瀬博詞(かわせ ひろし)さん「いつも送迎していた男の子が私のもとに走り寄ってきた時は、うれしくなりました。」
ガイドヘルパー 川瀬博詞(かわせ ひろし)さん
関 潤子(せきじゅんこ)さん「一人でもガイドヘルパーが増えてくれるとうれしいです。」
ガイドヘルパー 関 潤子(せきじゅんこ)さん
村田久美子(むらたくみこ)さん「ガイドヘルパーの仕事に興味がありましたら、気軽にお問い合わせしてくださいね。」
ガイドヘルパー 村田久美子(むらたくみこ)さん
近藤真史(こんどうまさし)さん「ガイドヘルパーが増えて、障がいのある人も生活しやすい街を実現したいです。」
NPO法人渋谷なかよしぐるーぷ 移動支援事業所「ぷらっと・なかよし」管理者 近藤真史(こんどうまさし)さん

移動支援従業者(ガイドヘルパー)

移動支援従業者(ガイドヘルパー)は、知的障がいがあり一人で外出することが困難な人のために、外出時(社会生活に欠かせない外出、散歩やレジャー施設を楽しむ余暇活動など)の移動支援に従事します。そのほか、通学や就労継続支援B型事業所(注1)への通所も支援します。従事するには、移動支援従業者養成研修を受講した後、移動支援事業所への登録が必要となります。
(注1)一般企業に雇用されることが困難である障がい者に対して、生産活動などを通じて、就労に必要な知識および能力の向上のための訓練を行う事業所。

ガイドヘルパーが利用者の肩と手を支えているイラスト

障がいのある人たちが安全に移動できるように

皆さんの自己紹介をお願いします。

川瀬:移動支援従業者(以下、ガイドヘルパー)の資格を取得してから6年になります。これまでしていた仕事が一段落して時間に余裕ができた時、町会から民生委員・児童委員に推薦され、その中の障がい福祉部会に立候補しました。そこでガイドヘルパーの養成研修があることを知り、資格を取得しました。
関:ガイドヘルパーの仕事を始めて今年で3年目になります。地域活動やボランティア活動をする中でガイドヘルパーの養成研修を知り、「私にもできる仕事かもしれない」と考え、養成研修を受講し、資格を取得しました。
村田:私も関さんと同じく、ガイドヘルパーの仕事は3年目です。精神科の通所リハビリテーションに10年ほど勤めていた中で、発達障がいのある人たちとも深く関わりたいと思うようになり、町会掲示板で知ったガイドヘルパーの養成研修を受けました。
近藤:普段は、NPO法人渋谷なかよしぐるーぷの移動支援事業所「ぷらっと・なかよし(注2)」の管理者として、請求や連絡調整などの運営業務をしていて、日々ガイドヘルパーとしても携わっています。また、渋谷区移動支援従業者養成研修の講師も務めています。
(注2)障がい者の生活をサポートするNPO法人なかよしぐるーぷ内の事業で、移動支援のほか居宅介護なども担っている。

ガイドヘルパーの役割について教えてください。

近藤:主に知的障がいのある人で、一人で出かけることが難しい人の外出を支援する仕事です。たとえば、電車の切符を買う時や外食をする時など、利用者と必要な支援を相談しながら、皆さんが安全に楽しく過ごせるように手助けをします。通学や就労継続支援B型事業所(以下、作業所)への通所のほか、買い物、役所への手続きのための移動、それから余暇活動として週末に映画館や博物館、カラオケやボウリングなどさまざまな場所に外出するサポートも担います。

移動時は常に細心の注意を払う

普段の活動内容について教えてください。

川瀬:私は現在、週に一度、作業所に通う利用者の送迎をしています。午後3時に作業所へ迎えに行き、バスに乗って自宅まで送り届けます。バスの中は狭い空間のため、周りの乗客に迷惑がかからないように気を付けたり、利用者が不安にならないように配慮したりしていますね。
関:私も週に一度、小学生の学校までの送迎と、作業所に通う利用者の送迎を行なっています。また、週末の余暇活動においても、お休みの日にご本人の希望に沿って一緒に出かけ、利用者が安全に楽しく過ごせるように支援しています。

ガイドヘルパーとして仕事をする中で、やりがいを感じたことやうれしかったことを教えてください。

川瀬:最初のうちは意思疎通が難しい場合もあるのですが、ご家族から「本人はとても喜んでいますよ」「楽しそうにしています」と教えていただいた時はうれしかったですね。会う回数が増えてくると利用者も徐々に心を開いてくれるようになり、「この仕事をやっていて良かったな」と感じます。以前、移動支援を担当していた小学生の男の子が、送迎時に私のもとに走り寄ってきた時は、信頼してくれていることが感じられてうれしくなりました。
村田:母の日と父の日には、利用者と一緒に絵を描いたり、メッセージを書いたりして、親御さんにお渡しするんです。お母さまもお父さまもご本人も、うれしそうな表情をしていて、温かい気持ちになりましたね。

ガイドヘルパーの仕事で、気を付けていることはありますか?

関:バスや電車に乗る時、駅のホームや道路沿いなどの危険な場所で、利用者が安全に移動することができるように気を付けています。また、買い物をする時には、お金の管理にも気を配っていますね。
村田:たとえば公共施設を利用する時、いつも自分の靴を置いている靴箱にほかの人の靴が置いてあると、利用者が気になって大きな声を出してしまうことがあるんです。そのような場合は、何が気になっているのか、周囲の人たちにも理解していただけるように「この靴箱が気になるんだね。でも、ここはみんなが使う場所だから、ほかの人の靴を移動することはできないんだよ」と、周りにいる人たちにも聞こえるような声量で、説明しながら話すように心掛けています。

必要な人たちに必要なサービスが届くように、担い手を増やしたい

移動支援事業所として、今後の目標を教えてください。

近藤:現在、毎月約85人が「ぷらっと・なかよし」を利用しているのに対し、ガイドヘルパーは40人程度です。利用者から、「もっと移動支援を利用したい」との声が寄せられていますが、なかなか対応できないのが現状です。必要な人たちに必要なサービスが届くように、ガイドヘルパーの担い手を増やしていくことが目標です。

ガイドヘルパーになるための条件はありますか?

近藤:東京都が定める移動支援従業者養成研修を受講し、修了証明書が交付されると、都内の移動支援事業所で勤務できるようになります。応募条件は区内在住・在勤・在学の18歳以上の人です。年齢の上限はなく、5年・6年前には80歳の人も活躍していたんですよ。

渋谷区移動支援従業者養成研修では、どのようなことをするのでしょうか?

近藤:養成研修は3日間のカリキュラムになっています。最初の2日間は、障がい者を支援する上で知っておかなければならない障害者差別解消法や障害者虐待防止法などの制度について学び、その後グループワークで事例検討やプラン作成を行います。最終日には、移動支援に同行したり、移動支援のシミュレーションを行なったりする実習があります。実習ではそのほかに、生活介護施設や作業所を見学したり、知的障がい当事者に来ていただいて話を聞いたりする機会も設定しています。

最後に、区民の皆さんに向けてメッセージをお願いします。

関:ご興味のある人は、養成研修を受講していただき、実際の移動支援を経験してほしいです。一人でもガイドヘルパーが増えてくれるとうれしく思います。
川瀬:私がガイドヘルパーの仕事をする時間は週に一度、往復で2時間半ほどです。短い時間でもできることはあります。少しでも時間に余裕がある人がいらっしゃいましたら、養成研修を受講してみてください。
村田:昨年に続いて今年も10月27日に笹塚のイベントスペース「笹塚十号のいえ」にて、利用者たちのアート作品展を開催します。すてきな作品がたくさん展示されますので、ぜひ、お越しください。それをきっかけにガイドヘルパーの仕事に興味を持つ人がいらっしゃいましたら、うれしいです。
近藤:障がいのある人たちと仲良くなるためには、一緒に過ごす時間が大切です。障がいの軽い人も重い人もいますが、じっくりと時間をかけて接することで、その人なりの関わり方が分かってくると思います。ガイドヘルパーが増えて、障がいのある人も生活しやすい街を実現したいです。

「渋谷のラジオ」で放送中!

川瀬さん、関さん、村田さん、近藤さんへのインタビューは10月1日・8日に「渋谷の星」で放送します。
渋谷のラジオ87.6MHz(外部サイト)

渋谷区移動支援従業者(ガイドヘルパー)養成研修(全3回)

日時

場所

講義:11月16日(土曜日)・17日(日曜日) 9時~17時
実習:11月23日(土曜日・祝日)または11月27日(水曜日)

総合ケアコミュニティ・せせらぎ ほか

内容

知的障がい者の外出時の移動支援(買い物、乗車の補助など)に必要な知識・実技の習得
(注)研修修了者は、東京都指定の知的障害者移動支援従業者養成研修課程修了証明書を取得することができます。

講師

社会福祉士 市川和男氏ほか

対象

区内在住・在勤・在学で18歳以上の人

費用

無料

定員

30人(抽選)

申し込み

10月27日までに澁谷区公式LINEまたはメール((1)氏名(2)生年月日(3)住所(4)電話番号(5)メールアドレス(6)実習参加希望日(7)志望理由を記入)で
渋谷区公式LINE(外部サイト)

問い合わせ

障がい者福祉課経理係 電話:03-3463-1936 FAX:03-5458-4935 メール:sec-syoufuku_keiri@shibuya.tokyo