渋谷区の観光データ活用とは― 観光DMP・EBPM・地域連携を分かりやすく解説

渋谷区が取り組む観光データ活用について、観光DMPやEBPMの考え方、データから見える観光動向、地域連携の重要性まで、「SHIBUYA CITY DASHBOARD」のデータとともに分かりやすく解説します。

更新日

2026年4月15日

なぜ今、渋谷区が「データ」に向き合うのか

渋谷区は、日本国内でも特に人気が高い観光スポットの1つで、海外からだけでなく、国内からも多くの観光客が訪れています。しかし、こうした賑わいの裏には、オーバーツーリズムや消費単価、回遊性の停滞といった課題が顕在化しています。

こうした課題を解消するには、データなどの客観的な根拠にもとづいた観光施策が求められます。このように、データやエビデンスをもとに政策を立案・実施する考え方はEBPM(Evidence-Based Policy Making)と呼ばれ、現在は政府全体で推進されています 。

この記事では、渋谷区が独自に構築した「観光DMP」の仕組みや、データから読み取れた外国人観光客の傾向などをご紹介します 。

観光地渋谷の街並み

渋谷区の「観光DMP」とは?

観光DMP とは、観光に関するさまざまなデータを収集・統合し、分析することで、地域の観光施策の立案や効果検証などに活用するためのプラットフォームです。観光DMPで扱う主なデータは、宿泊客数や交通機関の利用状況、GPS統計などを基にした人流データ、SNSの投稿傾向、キャッシュレス決済データなど、個人を特定しない形 で加工・集計された情報が挙げられます。 これらのデータを横断的に把握・分析することで、観光客の動向やニーズの把握が期待できます。

渋谷区では、「SHIBUYA CITY DASHBOARD」の中に観光DMPを構築し、観光に関する各種データの可視化や分析を行っています。本ダッシュボードは、単にデータを収集・公開するだけでなく、企業や地域住民の方々と共有しながら活用を進めることで、渋谷区民の生活と観光の調和を図り、持続可能な地域づくりにつなげていくことを目指しています。

データから見る渋谷区の観光動向

訪日外国人観光客が増加するなかで、渋谷区の観光実態をデータから読み解くと、一般的なイメージとは異なるいくつかの特徴が見えてきます。滞在時間や宿泊状況などの具体的なデータを分析すると、渋谷区が抱える課題や、今後の観光施策の方向性が浮かび上がります。

ここでは、実際のデータ(外部サイト)をもとに、渋谷区における観光の現状と傾向を見ていきます。

渋谷区の観光動向レポート
渋谷区の観光動向レポート(外部サイト)

渋谷区の滞在時間は意外に短い

外国人観光客の、渋谷区の平均滞在時間は、約5時間です。外国人観光客は、平均で約9日間日本に滞在することを考慮すると、その滞在期間のうち約2% の時間しか渋谷に滞在していないことになります。しかし、訪日する外国人観光客の6割以上が、渋谷を訪問しています。

つまり、このデータは、渋谷区を訪れる人は多いものの、滞在時間が短いことを示しています。今後、渋谷区としては回遊性を高めるなどの取り組みが必要だと考えられます。

渋谷区での宿泊は、需要過多になりつつある

渋谷区での外国人観光客の宿泊者数は、右肩上がりの傾向にあり、2019年と2023年を比較すると、宿泊率は、15.2%上昇 しています。一方で、宿泊施設の稼働率は80%後半を維持しており、宿泊需要の増加に対して宿泊施設の供給が遅れていることが読み取れます。

また、外国人観光客の支出の約3割は宿泊費で占められており、宿泊率の上昇に伴って1人あたりの消費総額も増加しています。そのため、渋谷区内の経済効果を高めるためには、渋谷区内での宿泊を増加させる取り組みが必要です。宿泊施設の拡充や宿泊数増加のための工夫が、渋谷区の観光価値を高めることにつながります。

自治体と事業者が「同じ指標」を見る重要性

ここまで、渋谷区が活用している観光DMP、「SHIBUYA CITY DASHBOARD」のデータから読み取れる渋谷区の外国人観光客の傾向や、今後取り組むべき課題などについてご紹介しました。こうしたデータは、渋谷区が収集し、保有しているだけでは価値がありません。ホテル、飲食店、小売店といった観光に関わる地域の事業者と指標を共有し、活用してもらうことで渋谷区全体の活性化につながります 。

たとえば「SHIBUYA CITY DASHBOARD」で管理されているデータは、事業者の仕入れやプロモーションのあり方を見直すための検討材料としても活用できます。自治体である渋谷区と民間の事業者が、渋谷区を活性化するためのパートナーとして連携していくことで、お互いにとっての利益につながるのです。

パソコンでデータを確認する人

課題とこれから

渋谷区の観光DMPの取り組みは始まったばかりであり、データの精度・更新頻度、渋谷区内の知見の蓄積と普及など、取り組むべき課題を1つ1つクリアしていかなければなりません。

渋谷区が目指すのは、観光DMPをどんどん活用してもらうことで「データが活きる観光地」として多くの人に認識されることです。そして、多様な人や企業を惹きつける、観光都市を目指していきます。

より詳細なデータ活用を知るために

この記事では、渋谷区が活用している観光DMP、「SHIBUYA CITY DASHBOARD」について解説してきました。データは、集めるだけでは価値を生みません。実際の施策に活用してこそ、その意味が生まれます。渋谷区では、データにもとづく施策の実践を通じて得られた知見を、企業や地域住民の方々と共有しながら、観光DMPの活用を推進し、観光産業の持続的な発展を目指します。

渋谷区の最新の観光動向や具体的な統計数値は、ぜひ「SHIBUYA CITY DASHBOARD」でご確認ください。

●最新の渋谷区のデータは「SHIBUYA CITY DASUBOARD」:渋谷区の観光動向

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