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令和7年第1回区議会定例会での発言

更新日

2025年3月12日

(令和7年2月19日(水曜日)、第1回区議会定例会本会議で述べた長谷部健区長の発言を掲載します。)

令和7年第1回定例会 区長発言

本日ここに令和7年第1回渋谷区議会定例会を招集し、令和7年度当初予算案を初め多くの議案についてご審議をお願いすることとなりました。
この機会に、当面する区政の課題について私の所信の一端を申し述べ、区議会及び区民の皆様のご理解とご協力を賜りたいと思います。
以下、具体的な施策について申し上げます。

1 初めに、スポーツ振興についてです。

今年は、国際的なスポーツ大会が区内で開催される記念の年です。本年11月、日本で初めて開催される、ろう者のオリンピック「東京2025デフリンピック」には、開会式、閉会式、デフ卓球の会場となる東京体育館に、世界各国からデフアスリートが集まります。これまで障がい者スポーツの振興やスポーツボランティアの育成に積極的に取り組んできた成果を十分に生かし、気運醸成や聴覚障がいの理解促進に力を入れていきます。
この機会に、多くの区民が様々なスポーツを生で観戦し、その熱気に触れる機会を創出し、スポーツ文化の醸成を図ります。
さらに、渋谷区スポーツ協会において、学校部活動の地域移行を推進するとともに、体制を強化し、子供から大人まであらゆる世代が性別や競技レベルを問わず、ライフステージに合わせた多様なスポーツ・文化活動に参加できる環境を構築してまいります。

2 次に、教育について3点申し上げます。

1点目は、未来の学校プロジェクトについてです。本年9月に開設する青山キャンパスでは、個人や協働での多様な学びを実現するラーニング・コモンズや、映像・音楽制作、プログラミングなどの創作活動に取り組める「未来共創空間」など、子供たちが夢中になってワクワクしながら学ぶことのできる環境を整備しています。広尾中学校・松濤中学校の子供たちと共に、魅力あるキャンパス作りを進めてまいります。
2点目は、探究「シブヤ未来科」についてです。昨年4月から毎日午後は探究の時間となり、子供たちは、自ら問いを立て、渋谷の街全体を学びのフィールドとして、地域や企業の協力を得ながら、思い切り探究に取り組んでいます。受け身の学習ではなく、自分で考え、仲間と協働して課題を解決するプロセスを通して、主体的に学ぶ力が向上していると感じています。
来年度はこうした取組などをさらに発展させるため、学校と企業などとのマッチングをサポートする探究ポータルサイトの機能拡充や、大学生・大学院生がメンターとなり子供たちを伴走支援する体制を整備し、一人一人の探究を充実させてまいります。
3点目は、区立本町幼稚園についてです。今年度、創立60周年を迎えつつ、来月末をもって閉園となりますが、この間、教職員をはじめ保護者や地域の方々、区議会の皆様には、多大なるご理解・ご支援賜りましたことを深く感謝申し上げます。本町幼稚園の多年にわたる教育実践の蓄積は、教育委員会とも連携し、本区の幼児教育の更なる発展につながるよう取り組んでまいります。

3 次に、子育て支援について、3点申し上げます。

1点目は、本年4月、本町区民複合施設内に開設する渋谷本町こども園についてです。この認定こども園は、学校法人渋谷教育学園が運営し、保育・教育の質を担保しつつ、法人の特色を活かした魅力ある園となります。一時保育、子育て相談などの子育てひろば事業も、秋までに開始を予定しています。
本町地区には、社会福祉事業団が運営している2つの認定こども園、改修後の「レインボーほんまち」と合わせて、4つの子育てひろば事業が実施されることから、身近な場所で、さらに相談しやすい環境となるものと考えています。
2点目は、子育て支援施策の充実についてです。まず、児童育成支援拠点事業では、児童虐待や不登校など子供が直面する課題に対して、個別のニーズにきめ細やかに対応した居場所を作り、児童及び保護者に必要な支援をしていきます。加えて、ちょこっと通園事業を継続するとともに、都の補助金を活用したベビーシッター利用支援事業も、10月を目途に実施してまいります。
3点目は、保育士相談窓口の設置についてです。
現在も、本区の保育士には保育課や子ども発達相談センターなどの相談できる場があります。また、私立園の保育士の相談は、基本的には各運営法人での対応に委ねてきたところです。しかし、所属する組織に相談することは、ハードルが高い面もあり、初期の段階では相談しないケースも見受けられました。
そこで、本区の保育士のみならず、私立の認可園で働く保育士が、外部機関にメールで気兼ねなく何でも相談できる窓口を設置します。回答はメールだけでなく、希望に応じて、電話、オンラインでも行い、保育士が悩みを少しでも抱え込まない体制を作ってまいります。

4 次に、福祉について2点申し上げます。

1点目は、民生委員・児童委員の活動支援についてです。
民生委員・児童委員は、日頃から地域の中で、困りごとなどの相談対応や、支援が必要な世帯の見守り、また安否確認など重要な役割を担っています。加えて、「巡回型福祉なんでも相談」や地域での居場所づくり、さらには今年度から再開された高齢者実態調査など、活動の範囲は広がりを見せています。
このように多様化する活動の実態を踏まえ、来年度から民生委員・児童委員に支給する活動費を23区トップクラスに増額し、活動のサポートを強化します。
また、新たに災害時相互応援協定を締結した自治体との交歓研修を行います。民生委員同士が日頃から交流を図ることにより、災害時の応急対策を円滑かつ効果的に実施できるよう、来年度は郡山市と茅野市への訪問を予定しています。その後も交流の機会を創出していきます。
2点目は、「はぁとぴあ原宿」における障がい福祉サービスの拡充についてです。
まず、障がいのある方の家族の就労支援やレスパイトを目的として、特別支援学校に通う児童生徒を対象に実施している日中一時支援事業ですが、夏休みなどの長期休暇期間の開始時間について、始業時間を30分前倒し、8時30分から開始できるよう整備を進めます。
また、学校卒業後の日中活動の場として、生活訓練やアート活動などを行っている生活介護事業は10時から15時まで5時間の利用時間としていますが、ご家族からのご要望を踏まえ、利用時間を1時間拡充し6時間とする方向の検討を始めました。今後も利用者ニーズに合わせ事業を進めてまいります。

5 次に、健康についてです。

昨年度より区独自に帯状疱疹ワクチンの接種費用の一部助成を行ってきましたが、この度、国が来年度から予防接種法に基づく定期接種とすることを決定したことから、定期接種の対象者である65歳以上の5歳刻みの方などには、4月から助成額を引き上げ、接種費用を全額公費で負担します。
本区では、これまでも予防医療に重点をおいて施策を進めておりますが、引き続き、予防接種により感染症を予防し、区民が安心して暮らすことができるように努めてまいります。

6 次に、環境政策について2点申し上げます。

1点目は、渋谷区ふれあい植物センターについてです。
渋谷清掃工場の地域還元施設であるふれあい植物センターは、「農と食の地域拠点」というコンセプトのもと、「栽培・収穫・消費」を実際に体験できる植物園として令和5年7月にリニューアルオープンし、これまでに来園者は13万人を超え、イベント等にも多くの方にご参加いただいています。また、現在、開園時間を3時間延長し、21時まで臨時に運営しておりますが、このことにより学校や仕事帰りなどに利用しやすく、より多くの皆様に夜の雰囲気を楽しんでいただくことができるようになり、好評であることが分かりました。
そこで、本定例会には、開園時間を延長する条例改正案を提案しています。引き続き、地域還元施設としての魅力を高め、多くの方にご利用いただけるよう尽力してまいります。
2点目は、落書き対策についてです。
令和3年から3年間の取組により、延べ12,000平方メートルの落書き消去を行いました。しかし、落書きの量が膨大なうえ消去後にまた描かれてしまうこともあり、全ての落書きを消去するには、これだけでは限界がありました。
そのため、今年度からは、落書き対策プロジェクトセカンドステージとして、今までの落書き対策に加え、新たに「らくがき消去サポーター事業」を開始し、区民、事業者、ボランティアの皆様に落書き消去のお手伝いをしていただいています。
さらに、来年度からは、落書きを消去した場所にアートを描くアロープロジェクトを拡充します。何も描かれていないところには落書きをされやすいですが、アートが施されたところには落書きをされにくくなります。「アートとローカル」の力を主軸として、地域と協働したアートを描くことで、落書き対策の取組をさらに加速してまいります。

7 次に、玉川上水旧水路緑道の再整備についてです。

昨年の夏から、笹塚緑道と大山緑道の一部区間の工事に着手し、来月、ついに完成します。現在、笹塚緑道には、緑道の、みどりとの相性を考慮して、園路には補色関係になる赤褐色でデザインされたテラゾ舗装が敷かれています。
加えて、樹木については、工事を進めたところ、当初の想定より根が広がっていることが判明したことから、根の保護範囲を大幅に広げるなど、現場状況に応じて丁寧に対応しています。
また、今定例会では、幡ヶ谷緑道の再整備工事の契約議案とともに、幡ヶ谷緑道、西原緑道、初台緑道の工事費を、当初予算として提案しています。
徐々に将来の緑道の形が見え始め、地域からも期待の声が多く寄せられています。引き続き、地域の皆様と対話を重ねながら、緑道の再整備を着実に進め、ササハタハツエリアの魅力向上と、シティプライドの醸成に取り組んでまいります。

8 次に、西参道プロジェクトについてです。

一昨年オープンした駒テラス西参道は、将棋文化とまちの日常が溶け合う施設として、将棋に関するイベントの開催や文化を発信し、地域の方々や、子供たちが放課後を過ごす場所としてにぎわいを見せています。
また、西参道の歩道は、昨年末に整備がおおむね完了し、飛び石をモチーフとした舗装が明治神宮西門までつながるとともに、歴史ある灯籠を補修し照明を設置しました。
今後は、既存のイチョウを活かしながら、首都高高架下等へさらに植栽を増やし、年間を通じて緑あふれる空間にしてまいります。そして、駒テラス西参道を起点として、道路やポニー公園等の公共空間を活用した多様な活動を生み出すことにより、西参道らしい、にぎわいや文化の交流を創造するまちの実現に向けた取組を進めてまいります。

9 次に、初台地区の公共施設整備についてです。

長年、区民に親しまれてきた初台区民施設と初台敬老館については、いずれも老朽化が進んでいることから、今年度、今後の施設計画について検討してきました。
この間、地域団体との意見交換や施設利用者、近隣の方へのアンケートなどを実施し、先月には地域意見交換会を開催し、大変多くのご意見を頂戴しております。
これら地域の声を踏まえながら、現在、新施設のコンセプトや、整備スケジュールなどを示す基本計画の素案を作成しているところです。
今定例会で素案の御報告をさせていただいた後、パブリック・コメントを実施し、基本計画として取りまとめてまいります。

10 次に、出張所の移転についてです。

恵比寿駅前出張所は、非常に多くの区民に利用されていますが、待合スペースの不足や職員の動線など様々な課題があり、利用者にご不便をおかけしている状況です。
恵比寿駅前出張所は、地域の拠点となる重要な出張所の1つであり、こうした課題を解決するため、これまで移転も視野に検討を進めてきました。
JR恵比寿駅から近いという利便性が損なわれず、現在よりも広いスペースが確保できる場所として、アトレ恵比寿内のスペースを利用できることとなりましたので、区民サービスの向上を図るため、移転を進めていきたいと考えています。
スケジュールとしては、令和7年度に設計、令和8年度に工事を行い、令和8年度中の移転を目指してまいります。
また、現出張所スペースについては、アトレ恵比寿への貸付を行うことを検討するとともに、一部を喫煙所とすることで、地域課題の解決も図りたいと考えています。

11 次に、昨今の建設工事を取り巻く状況についてです。

現在、業種を問わず国内での人出不足が課題となっており、特に建設業においては、ピーク時の1990年代と比較して、就業者数が70%程度に減少していると聞いています。
公共、民間を問わず建設需要が増大している状況において、人手不足が影響し、事業者からは「受注したくても人が揃わない」という声も聞いています。物価高騰によるコスト高の影響もあり、他の自治体では事業計画を見直す動きもみられるところですが、本区が発注する工事についても、価格や工期が折り合わず、契約締結に至らない例も生じています。
このような国内の状況は即座に解消できるものではないため、本区としてはこの事態を冷静に受けとめ、公共施設や学校の建設については、状況に合わせて適宜、計画の修正も実施し、区政運営や学校運営に支障が生じないように工夫してまいります。ご理解いただきますようお願いいたします。

12 最後に、令和7年度当初予算案の規模について申し上げます。

令和7年度一般会計予算額は、1,468億7,300万円であり、前年度比20.1%の増となっております。
これに国民健康保険事業会計などの3特別会計、512億7,294千万4千円を加えた各会計の合計額は、1,981億4.594万4千円で、前年度比14.2%の増となっております。
本定例会には、条例案18件、令和6年度一般会計補正予算案2件、令和7年度当初予算案4件、契約案件3件、人事案件5件をご提案しております。
よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

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