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令和6年第1回区議会定例会での発言

更新日

2024年2月26日

(令和6年2月20日(火曜日)、第1回区議会定例会本会議で述べた長谷部健区長の区長所信表明を掲載します。)

令和6年第1回定例会 区長所信表明

本日ここに令和6年第1回渋谷区議会定例会を招集し、令和6年度予算案を初め多くの議案についてご審議をお願いすることとなりました。
この機会に当面する区政の課題について私の所信の一端を申し述べ、区議会および区民の皆様のご理解とご協力を賜りたいと思います。
まず初めに、年始に発生した能登半島地震で亡くなられた方々の御冥福を心からお祈りするとともに、被害に見舞われた方々へお見舞いを申し上げます。
今回の地震は、最大震度7の揺れが元日の夕方という多くの方がご家庭での団らんを楽しんでいる最中に発生しました。240人以上の方が亡くなり、約1,300人の人が負傷、7万棟を超える住宅家屋が倒壊、破損するなど甚大な被害をもたらしました。
現在、本区では大きく2点の被災地支援に取り組んでいます。義援金の受付と区職員の支援業務への派遣です。
義援金については、先月4日から受付を開始し、既に多くの区民や町会をはじめとする地域団体などからご支援を頂いています。お寄せいただいた義援金は、石川県東京事務所を通じて、しっかりと被災地へ届けてまいります。
職員派遣については、先月下旬、輪島市からの依頼を受け、都庁でリモートにより行われた倒壊家屋の被害認定業務を行いました。今後も、被災自治体の要請に応じて、避難所における住民の健康管理など業務や、現地での罹災証明発行業務など、積極的に職員を派遣し、被災地の復興支援に努めてまいります。
それでは、以下、具体的な施策について申し上げます。

1 初めに、防災についてです。

現在、一昨年に見直された東京の被害想定と、昨年修正された東京都地域防災計画を受け、「渋谷区地域防災計画」の修正作業を進めているところです。
来年度は、本計画に付属する業務継続計画や受援計画、職員行動マニュアルなどを見直すほか、能登半島地震の検証も踏まえ、区民防災マニュアルの改訂版を各戸配布するなど、積極的かつ計画的な対応策をきめ細かく積み重ね、震災対策を総合的に推進してまいります。
また、震災などの被害を最小にするためには、区民自ら日頃の備えや災害時の行動などの知識を身に着けることが重要なことから、来年度も引き続き防災力向上のための総合防災訓練「渋谷防災キャラバン」を実施するほか、発災時の円滑な避難所運営のための避難所DXの導入、備蓄品の利便性向上なども進めてまいります。

 2 次に、条例の制定についてです。

「渋谷区男女平などおよび多様性を尊重する社会を推進する条例」は、制定から9年目となり、昨年10月に附属機関である「渋谷区男女平等・多様性社会推進会議」から、条例の見直しについての答申を受理しました。
答申に基づき検討した結果、(1)現行条例を改正し、基本理念、職員行動指針の策定や情報保障を規定する「包括的な人権条例」に進化させ、併せて、(2)多様性を認め合う社会の推進に関しては、渋谷区基本構想を踏まえ、本区が目指す方向性や基本理念などを示す「新条例」として定め、それぞれをより強固に推進することとしました。
また「包括的な人権条例」では、パートナーシップの定義について戸籍上の性別が同一である要件を削除することで、選択の幅を広げていきます。
こうした区の基本的な考え方について昨年11月にパブリックコメントを実施し、頂いたご意見も参考に2つの条例案として取りまとめました。本定例会でご審議いただきたく上程しています。

3 次に、福祉について3点申し上げます。

1点目は、今年度中に策定する2つの計画についてです。
まず「第9期渋谷区高齢者保健福祉計画及び介護保険事業計画」についてですが、 先日、渋谷区介護保険運営協議会から「いきいき、あんしん、ささえあいのまちづくり」を基本理念とし「地域共生社会の実現」をはじめとした5つの施策の柱に沿った答申を受理したところです。
これまでの計画を継承しつつ、高齢者の見守り、認知症対策、介護予防・フレイル予防対策、深刻化する介護人材不足への対策などを更に推し進めます。
なお、本定例会には、計画期間中の介護保険料額を改定するため、条例改正案を上程しています。高齢者人口の増加に伴い介護給付費が増加の一途を辿る中、介護給付費準備基金の活用などにより保険料額上昇を抑制し、低所得者にも配慮した保険料設定を行っています。
次に「渋谷区障がい福祉推進計画 2024~2026年度」については、パブリックコメントで頂いたご意見を踏まえ、「渋谷区自立支援協議会」において計画案を審議しており、現在最終的な調整を行っています。基本理念として「誰もが自分らしく暮らせるまち しぶや」を掲げ、障がいのある方が望む暮らしを支えることや、切れ目のない支援、支えあう地域づくりを基本目標として、様々な取組を着実に進めていく計画としています。
2点目は、緊急時相談支援等事業についてです。
来年度から、区内にお住まいの障がいのある方が、突然心身に変調を来したときや保護者が急病に見舞われたときなどの緊急時に24時間365日いつでも電話相談できる相談支援事業を新たに実施します。
また、「障がい者支援アウトリーチ事業」も開始し、適切な障がい福祉サービスにつながっていない人への積極的なアプローチにも取り組みます。
本年12月に予定している神宮前三丁目障がい者施設の開設と併せて、障がいのある方の地域での生活を支える体制を更に強化してまいります。
3点目は、敬老金贈呈事業についてです。
この間、事業を継続していくため、民生委員や高齢者の関連団体などとの意見交換に加え、議員の皆様からも様々なご提案を頂きながら、見直しに向けた検討を進めてまいりました。
本事業は長年、高齢者の見守り機能としても重要な役割を果たしてきたことから、今後も対面による実態調査を併せて実施することが重要であると判断し、民生委員の訪問による贈呈を再開します。一方、事業の持続可能性の観点から、対象者の年齢および贈呈金額を改める結論に至り、条例改正案を上程しています。
事業の見直しに合わせ、地域の見守りネットワークの強化や既存事業の拡充、新たにICT・IoTを活用したサービスの導入や集合形式でのフレイル測定会の開催などにより、高齢者の見守り施策の更なる充実に取り組み、住み慣れた地域で安心して暮らせるまちづくりを進めてまいります。

4 次に、がんに関する助成制度について2点申し上げます。

1点目は男性へのHPVワクチン接種費用の補助についてです。
本区では、がんに関する正しい知識の普及啓発やがん検診の無料化など、予防や早期発見に重点を置いたがん対策に力を入れてきました。子宮頸がん予防のためのHPVワクチン接種は既に実施しているところですが、男性でもHPVに感染するとがんが発症するリスクがあります。そこで、来年度からは男性へのHPVワクチン接種費用の全額補助を始めます。
小学6年生から高校1年生に相当する年齢を対象に、HPVワクチンを接種する機会を確保し、任意予防接種の費用を全額補助することで、疾病の予防と集団免疫の獲得を図ります。
2点目は、アピアランスケアにかかる助成についてです。
近年、医療技術の発達により、がんの生存率が向上するのに合わせて、がんの治療をしながら社会生活を送る方への支援も、行政の取り組むべき課題となっています。
がんの治療に伴う脱毛や乳房の切除などによる外見の変化は、社会生活を送るうえで障壁となる場合があります。そこで、医療用ウィッグや胸部補装具などを必要とする方に、購入費用またはレンタル費用の助成を新たに開始します。
アピアランスケアにかかる経済的な負担を抑えることで、外見の変化による心理的な負担を軽減し、がんに罹患された方が自分らしく前向きに社会生活を送れるよう支援してまいります。

5 次に、スポーツ振興についてです。

「シブヤ部活動改革プロジェクト」では、今年度から区立中学校2校において部活動の地域移行を始めています。専門的な指導の実現や、教員の負担軽減など成果も出てきました。来年度は、広尾中学校と松濤中学校をモデル校に加え、教育委員会とも連携を図り、部活動の地域移行をさらに推進していきます。
このプロジェクトを担う渋谷ユナイテッドでは、多世代・多種目が楽しめるスポーツ推進体制「総合型地域クラブ」の実現を目指しており、今後、事業の拡大に伴い、渋谷区体育協会との一層の連携を進めるため、組織の統合に向けた検討を行っています。
さらに、2025年に東京で開催される夏季デフリンピック大会に向けては、デフスポーツに関する展示会や学校での体験教室など気運醸成事業に取り組んでいきます。

6 次に、第二次渋谷区子ども読書活動推進計画についてです。

本区では、平成31年に「渋谷区子供読書活動推進計画」を策定し「しぶやおすすめの本50」の紹介や「読書コンクール」、地域ボランティアの協力による「おはなし会」の実施など、子供の読書活動の充実を図ってきました。
昨年、この計画に子供や保護者の意見を反映するため、乳幼児を持つ保護者、区立の小・中学生、本区在住の高校生を対象に、読書活動についてアンケートを実施しました。その結果、会話のできる親子閲覧スペースや、電子図書でもっと色々なジャンルの本を読んでみたいというニーズがあること、また学年が上がるに従い、本を読まなくなる傾向のあることが分かりました。
そこで、来月策定予定の第二次計画には、親子読書広場の実施、教育タブレットへの電子図書の導入、中・高校生の読書活動に向けた図書館整備、バリアフリー図書の普及・活用などを盛り込み、更なる読書活動の推進を図ってまいります。

7 次に、千駄ヶ谷区民施設の開設についてです。

千駄ヶ谷区民施設は、以前の千駄ヶ谷区民会館が竣工後51年を迎え、施設の老朽化が進んでいることから、令和3年9月末で施設を閉館し、建替え工事を進めてきました。利用者の皆様には長らくご不便をおかけしましたが、本年4月1日にオープンすることとなりました。
新しい千駄ヶ谷区民施設は、以前のコミュニティセンターとしての機能に加え、認定こども園の機能を併せ持つ複合施設となります。木材をふんだんに使った円形の特色ある建物になっており、コミュニティスペースや会議室、ホールを兼ね備えた、地域活動、文化活動、学習活動をこれまで以上に促進する施設として整備しています。
ぜひ多くの方にご利用いただき、千駄ヶ谷・原宿の新たなシンボルとなることを期待しています。 

8 次に、大山街道についてです。 

渋谷駅前の目抜き通りである宮益坂と道玄坂を擁する大山街道では、百年の計と銘打つ渋谷駅周辺の開発などに合わせ、区民や来街者に開かれたウォーカブルな街並みを創出していきたいと考えています。
宮益坂については、歩道を約1.5倍に拡幅するとともに歩車道の段差をほぼフラット化し、車道と一体的に利活用できるようにしていきます。また「緑に包まれたグラウンドキャンバス」というコンセプトのもと、既存のケヤキを大切にしながら、歩道や車道に白御影などの天然石を検討しています。既に、一部区間では先行して整備を始めていますが、来年度からはいよいよ本格的に歩道のリニューアル工事に着手していきます。
一方、道玄坂についても、将来的な歩道拡幅などを目指し、貨物の積卸しや停車のあり方の検証を目的として、片側を一車線にする交通社会実験を実施しているところです。この結果を踏まえ、道玄坂らしい賑わいある街並みの実現に向け、具体的な検討に着手していきます。
また、今定例会には沿道の再開発に伴う区道路線の認定と廃止についての議案を上程しています。再開発による建物用途の多様化や景観形成を通じて、渋谷駅周辺の魅力が高まる中、大山街道が渋谷の新たな交流や文化・情報発信の舞台となるよう、引き続き、地域と連携してまちづくりを進めてまいります。

9 次に、玉川上水旧水路緑道の再整備についてです。

この緑道再整備計画は、現状の緑豊かな資源を活かしながら、デザイン性に優れた歩きやすい園路、地域の活力が溢れる広場、子供たちが生き生きと体を動かすことができる遊び場や、人と人がつながり地域の輪が広がる農園などを整備して、地域の魅力を更に向上させようとするものです。
計画の実現に向け、いよいよ来年度から緑道の各地で整備工事が始まります。まずは、笹塚緑道・大山緑道・幡ヶ谷緑道において整備を進めていきます。
今後も、これまで通り、広報紙の各戸配布、地域への説明会、ワークショップの開催や、仮設FARMの取組などにより、区民の皆様のご理解を頂きながら、一層地域に愛される場所となるよう、緑道再整備の早期実現に向けて取り組んでまいります。

10 最後に、令和6年度予算案の規模について申し上げます。

令和6年度一般会計予算額は、1,223億1,900万円であり、前年度比8.6%の増となっております。
これに国民健康保険事業会計などの3特別会計、512億6,325万5千円を加えた各会計の合計額は、1,735億8,225万5千円で、前年度比6.9%の増となっております。
本定例会には、条例案19件、令和5年度一般会計補正予算案1件、令和6年度当初予算案4件、契約案件1件、認定案件4件、その他1件、人権擁護委員の諮問3件、報告案件1件をご提案しております。
よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

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