○渋谷区中高層建築物等の建築に係る紛争の予防と調整に関する条例
昭和54年3月26日
条例第15号
(目的)
第1条 この条例は、中高層建築物及び特定用途建築物(以下「中高層建築物等」という。)の建築に係る計画の事前公開並びに紛争のあっせん及び調停に関し必要な事項を定めることにより、良好な近隣関係を保持し、もって地域における健全な生活環境及び居住環境の維持及び向上に資することを目的とする。
(一部改正…58年23号)
(1) 中高層建築物 都市計画法(昭和43年法律第100号)第8条第1項第1号に規定する用途地域のうち、次に掲げる各地域について、それぞれ掲げる建築物をいう。
ア 第一種低層住居専用地域 軒の高さが7メートルを超える建築物又は地階を除く階数が3以上の建築物
イ 第二種低層住居専用地域 軒の高さが7メートルを超える建築物、高さが10メートルを超える建築物又は地階を除く階数が3以上の建築物
(改正…8年18号)
(2) 特定用途建築物 前条に定める目的にかんがみ、周辺の居住環境を害するおそれがあると認められる用途に供する建築物で、区規則で定めるものをいう。
(追加…58年23号)
(3) 建築主 中高層建築物等に関する工事の請負契約の注文者又は請負契約によらないで自らその工事をするものをいう。
(一部改正・1号繰下…58年23号)
(4) 近隣関係住民 次に掲げるもののうちいずれかその1に該当するものをいう。
ア 中高層建築物等の敷地境界線からその高さに等しい水平距離(特定用途建築物にあっては、その高さに等しい水平距離が30メートルに満たない場合は30メートル)の範囲内に居住する者
イ 冬至日における真太陽時の8時から16時までの間に中高層建築物等から受ける日影が2時間以上となる範囲内に居住する者
オ 中高層建築物等による電波障害の影響を著しく受けると認められる者
(一部改正・1号繰下…58年23号)
ア 中高層建築物の建築に伴って生ずる日照、通風及び採光の阻害、風害、電波障害等並びに工事中の騒音、振動等が周辺の生活環境に及ぼす影響に関する近隣関係住民と建築主(以下それぞれを「当事者」という。)との間の紛争をいう。
イ 特定用途建築物の周辺の居住環境に及ぼす影響に関する当事者間の紛争をいう。
(改正・1号繰下…58年23号)
(区長の責務)
第3条 区長は、紛争を防止するよう努めるとともに、紛争が生じたときは、迅速かつ適正に調整するよう努めなければならない。
(当事者の責務)
第4条 建築主は、紛争を未然に防止するため、中高層建築物等の建築を計画するに当たっては、周辺の生活環境及び居住環境に及ぼす影響に十分配慮するとともに、良好な近隣関係を損なわないよう努めなければならない。
(一部改正…58年23号)
2 建築主及び近隣関係住民は、紛争が生じたとき、相互の立場を尊重し、誠意をもって自主的に解決するよう努めなければならない。
(標識の設置等)
第5条 建築主は、中高層建築物等を建築しようとするときは、近隣関係住民に建築に係る計画の周知を図るため、当該建築敷地の見やすい場所に、区規則で定めるところにより標識を設置しなければならない。
(一部改正…58年23号)
2 建築主は、前項の規定により標識を設置したときは、その旨を区規則で定めるところにより、区長に届け出なければならない。
(一部改正…58年23号)
(一部改正…58年23号)
(一部改正…58年23号)
2 建築主は、前項の規定により行った説明会等の内容について、区規則に定めるところにより、区長に報告しなければならない。
(あっせん)
第7条 区長は、当事者の双方から紛争の調整の申し出があったときは、あっせんを行うものとする。
2 区長は、前項の規定にかかわらず、当事者の一方から紛争の調整の申し出があった場合において、相当の理由があると認めるときは、あっせんを行うことができる。
3 区長は、当事者間をあっせんし、双方の主張の要点を確め、紛争が解決されるよう努めなければならない。
(あっせんの打切り)
第8条 区長は、前条の紛争について、あっせんによっては紛争の解決の見込みがないと認めるときは、あっせんを打ち切ることができる。
(勧告)
第9条 区長は、前条の規定によりあっせんを打ち切った場合において、調停によることが適当と認めるときは、当事者双方に対し、調停に移行するよう勧告することができる。
(調停)
第10条 区長は、前条に規定する勧告をした場合において、当事者双方がその勧告を受諾したときは、調停を行うものとする。
2 区長は、前条第3項の規定による勧告が行われた場合において、定められた期間内に当事者の双方から受諾する旨の申し出がないときは、当該当事者間の調停は、打ち切られたものとする。
(調停委員会)
第12条 区に、渋谷区建築紛争調停委員会(以下「調停委員会」という。)を置く。
2 調停委員会は、次に掲げる事項を所掌する。
(1) 区長の諮問に応じ、紛争の予防と調整に関する重要事項について調査、審議すること。
(2) 第10条第4項に規定する紛争の調停に関すること。
3 調停委員会は、法律、建築又は環境等の分野に関し、優れた知識及び経験を有する者のうちから区長が委嘱する委員6人以内をもって組織する。
4 委員の任期は2年とし、再任されることを妨げない。ただし、補欠の委員の任期は、前任者の残任期間とする。
5 調停委員会に会長を置き、委員の互選により決める。
6 会長は、調停委員会を代表し、会務を総理する。
7 会長に事故があるときは、あらかじめ会長の指名する委員がその職務を代理する。
8 調停委員会は、区長が招集する。
9 会議は、委員の半数以上の出席がなければ開くことができない。
10 会議の議事は、出席した委員の過半数で決し、可否同数のときは、会長の決するところによる。
(代表当事者の選任)
第13条 区長は、あっせん又は調停を行うに当たって必要があると認めるときは、当事者の一方又は双方に対して1人又は数人の代表当事者の選任を求めることができる。
2 当事者は、前項の規定により代表当事者を選任し、又は変更したときには、書面をもってその旨を区長に届け出なければならない。
(工事着手の延期等の要請等)
第14条 区長は、あっせん又は調停のため必要があると認めるときは、次の各号に掲げる事項について、要請等をすることができる。
(1) 当事者の意見を聴くため、出席を求めること。
(2) 当事者に対して、関係図書の提出を求めること。
(3) 工事の着手の延期又は工事の停止を要請すること。
(公表)
第15条 区長は、前条の規定による出席若しくは関係図書の提出を求め、又は工事の延期若しくは工事の停止の要請をした場合において、その求め又は要請を受けた者がその求め又は要請に正当な理由がなく従わないときは、その旨を公表することができる。
(委任)
第16条 この条例に規定するものを除くほか、この条例の施行について必要な事項は、区規則で定める。
附則
1 この条例は、区規則で定める日から施行する。
(54年規則17号 54.6.25施行)
3 東京都中高層建築物の建築に係る紛争の予防と調整に関する条例(昭和53年東京都条例第64号)の適用を受ける中高層建築物については、この条例は適用しない。
(追加…58年23号)
附則(昭和58年条例第23号)
この条例は、公布の日から施行する。ただし、第5条及び第6条の改正規定中特定用途建築物に係る部分は、公布の日から起算して1月を経過した日から施行する。
附則(平成8年条例第18号)
この条例は、都市計画法及び建築基準法の一部を改正する法律(平成4年法律第82号。以下「改正法」という。)第1条の規定による改正前の都市計画法(昭和43年法律第100号)第8条第1項第1号に規定する用途地域に関する都市計画が定められている都市計画区域に関して、改正法第1条の規定による改正後の都市計画法第2章の規定により、当該都市計画区域について、用途地域に関する都市計画が決定され、都市計画法第20条第1項の規定による告示があった日から施行する。