令和2年第2回区議会定例会での発言

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    令和2年6月3日

(令和2年6月3日(水曜日)、第2回区議会定例会本会議で述べた長谷部健区長の発言を掲載します。)

 本日ここに、令和2年第2回渋谷区議会定例会を招集し、提出議案についてご審議をお願いすることとなりました。
 この機会に、当面する区政の課題についてご説明申し上げ、区議会及び区民の皆様のご理解とご協力を賜りたいと思います。

 昨年12月に中国武漢で発生が報告された新型コロナウイルス感染症は、瞬く間に世界を席巻し、本年3月11日には世界保健機関(WHO)が世界的流行(パンデミック)を宣言するに至りました。現在、全世界で確認されている感染者は620万人を超え、死者は37万人以上に上っています。一方、国内感染者は1万6千人を超え、死者は約900人、東京都においては、感染者が5,100人を超え、死者は306人、本区においては、 175人の感染が確認され、4人の方がお亡くなりになっています。
 お亡くなりになられた方々には、心よりご冥福をお祈り申し上げますとともに、ご遺族の方々へ、謹んでお悔やみ申し上げます。また、療養中の方々には、1日でも早いご回復をお祈り申し上げます。
 政府は、感染拡大及びそれに伴う医療崩壊を防ぐため、4月7日に「新型インフルエンザ等対策特別措置法」いわゆる「特措法」に基づく緊急事態宣言を発出し、これを受けて東京都は緊急事態措置として、不要不急の外出の自粛、店舗や施設の休業要請等を実施し、人と人との接触を8割減らすことを呼びかけてきました。
 本区では、2月4日に「渋谷区新型コロナウイルス感染症対策本部」を立ち上げ、その後、4月7日の緊急事態宣言を受け、同対策本部を「特措法」上の対策本部と位置付け、消防署、警察署、自衛隊とも情報を共有しつつ、感染症対策について協議を重ね、以来、感染拡大防止や、区民生活、地域経済への対策に注力してまいりました。区民の皆様には、手洗いや咳エチケットの励行及び密閉・密集・密接のいわゆる「3密」を避けることをお願いするとともに「帰国者・接触者電話相談センター」を開設しての相談業務や、医師会や区内医療機関とも連携して、PCR検査や患者の入院等の対応を実施してきたところです。
 さらに、この間、区が主催するイベントについては中止又は延期とし、区有施設は臨時休館、区内の幼稚園及び小中学校においても3月当初から臨時休園・休校とし、保育園についても家庭での保育が特に困難な方を除いて、4月10日から原則休園としました。区民の皆様には大変不安な思いとご不便をおかけしてきましたが、これも新型コロナウイルスの感染拡大防止のためとご理解を賜りたいと思います。
 現在、緊急事態宣言は解除されていますが、ワクチンや治療薬の実用化にしばらく時間を要すると推測される現状においては、かつてのスペイン風邪に例を見るように、第2波、第3波の到来が危惧され、未だ予断を許さないと認識しています。今月に入り、学校の分散登校や保育園の再開、区有施設等の段階的な再開に踏み出しているところですが、区民の皆様には、引き続き日常生活における3密の回避や手洗いの励行など、常に感染予防を意識し、実践する「新しい生活様式」の徹底をお願いしたいと思います。
 経済への影響は、リーマンショックとは比較にならない百年に一度の危機を迎えていると指摘されていますが、外出自粛や休業要請は、特に中小企業や個人事業主の経営を圧迫し、社会経済活動の停滞をもたらしています。本区においても、国や東京都の支援策の動向を注視しつつ、区民の皆様や事業者に対する効果的かつタイムリーな支援策について、引き続き検討してまいります。
 先の令和2年第1回臨時会でご議決いただいた補正予算に基づき、現在、特別定額給付金給付事業、子育て世帯臨時特別給付金給付事業及びPCRセンターの運営に取り組んでいるところですが、本定例会でも改めて新型コロナウイルス感染症対策に迅速かつ柔軟に対応するため、予備費の増額を補正予算案に計上しております。
 また、出勤抑制の呼びかけにより、世の中の働き方も大きく変容しつつあります。本区も、時差出勤やテレワーク等を実施するとともに、業務を一部縮小してきました。一方で、相談業務等で繁忙する保健所や、中小企業等への融資あっせん業務や特別定額給付金給付事業で多忙を極める区民部には、他部署の職員を兼務させるなど応援体制を整えて対応してきたところです。
 この先も気を緩めず、警戒や備えを怠ることなく、区議会のご協力もいただきながら、区民、事業者と共にこの難局を乗り切っていきたいと思っています。よろしくお願いいたします。

 続けて、新型コロナウイルス感染症対策に関連して、取組をいくつか申し上げます。

1  初めに、防災についての取組です。新型コロナウイルスの感染拡大が引き続き懸念される最中、首都直下地震が発生したり、大型台風やゲリラ豪雨による風水害に襲われたりした場合に避難所を開設したとき、如何に感染を防ぎ、安全な避難所運営を行うかは大きな課題です。これまでのマスクや消毒液等の衛生用品の備蓄に加え、非接触型体温計やフェイスシールドといった感染予防に必要な備蓄を拡充するとともに、避難所内での3密回避の工夫や、可能な限り在宅避難していただくといった取組を含めた感染防止対策を確立し、早急に防災対策へ反映させることを検討してまいります。
 また、医師会、歯科医師会及び薬剤師会との更なる連携強化を図り、避難所への巡回相談や、検査機関及び医療機関との協力が円滑に進むよう取り組んでまいります。

2  続いて、福祉についてです。
 初めに、区立障害福祉施設における新型コロナウイルスの集団感染についてです。
 既に報告しておりますとおり「障害者福祉センターはぁとぴあ原宿」において集団感染が発生しました。4月13日に最初の感染者を確認してから、利用者及び施設職員合わせて19人の感染が判明し、そのうち、入所者お一人が甚だ残念ながらお亡くなりになりました。
 区では、感染拡大防止のため保健所による当該施設への立入指導を数度にわたり実施するとともに、医師会にご協力をいただき、施設職員に対し感染症に関する講習を実施し、併せて、緊急時のサポート体制を構築しました。引き続き利用者及び職員の健康観察を行いながら、感染防止対策を徹底してまいります。
 一方、このような厳しい状況下において、介護及び障害福祉施設の運営を止めることなく継続していくため、各施設においては、十分な感染防止対策を施した上で、サービスの提供を行っていただいています。高齢者や障がい者の皆様、またそのご家族が、生活を維持し、安心して暮らすためには、各種サービスが途切れず提供されることが重要です。
 感染リスクを抱えながら、使命感を持って最前線でご尽力いただいている医療関係を始め介護関係に従事されている皆様に対し、この場をお借りし感謝申し上げます。
 今後も介護施設及び障害福祉施設並びにサービス提供事業所等と連携を密にとり、感染拡大防止を図りながら継続的なサービス提供を全力で支援してまいります。
 また、外出の自粛や休業が要請される中、生活にお困りの方からの相談も増加し、特に、生活困窮者への家賃支援である「住居確保給付金」への問合せが増加しています。今回、新型コロナウイルス感染症の影響に鑑み、国において従来の支給要件である失業などの外、収入が減少した方も対象とする緩和策が取られたことからも、多くの方から相談を受けています。当初、問合せが集中し、電話がつながりにくい状況でしたが、予約制の導入や郵送での申請受付などの改善を施し、現在は感染リスクを抑えながら、必要な支援が行き届くよう相談体制を強化しました。
 支給額については、当初予算額を大幅に超えることになったため、本定例会に補正予算案を計上しております。
 加えて、雇用状況の悪化により、生活保護制度の相談も増加していることから、引き続き社会情勢を十分注視しつつ、相談者に寄り添った応対に努めてまいります。

3  次に、教育における取組についてです。
 本区は、新型コロナウイルスの感染予防のため、3月2日から5月31日まで区立幼稚園・小中学校を休園・休校としました。これにより、卒園式・卒業式は必要最小限の人数で行うことができましたが、年度末の小中学校での教育活動は中止となりました。新年度が始まってからも、児童・生徒は学校生活が送れず、学びの保障などが問題となっています。
 そうした中、全ての児童・生徒に1人1台配付しているタブレット端末を活用して各学校で様々な取組が行われました。例えば、校長や担任がメッセージを児童・生徒に配信した学校や、毎日、学校での授業の時刻に合わせて1時間目、2時間目、3時間目と各教科の課題を配信し、登校時と同様の生活リズムで家庭学習に取り組んだ学校がありました。
 また、教育委員会では児童・生徒の学習に著しい遅れが生じないように、一般社団法人渋谷未来デザインの協力を得て、家庭学習動画の作成を行い、5月2日から「渋谷オンライン・スタディ」としてオンデマンド配信を行ってきました。さらに、5月後半からは、学校と家庭の双方向でのオンライン授業ができる整備を行い、各学校での取組が始まっています。
 そして、このICT教育を一層推進していくために、本年9月にはタブレット端末の更新を図りますが、その整備の一環として、より安定した接続を確保するための校内LAN工事に着手しています。更新の際には、学習の個別最適化に向けた取組や校務支援システムの改善を行うこととしています。

4  次に、保育園での対応です。
 保育園においても、何より子どもの命を守り、感染リスクを最小限にすることを優先する考えから、4月10日から5月末まで全園を臨時休園とし、エッセンシャル・ワーカーのご家庭など保育がどうしても必要な方には、拠点園での特別保育を実施しました。この間、在園する子どもたちに感染が発生しなかったことは、とても幸いでした。再開したとはいえ、当面は、登園自粛のお願いを継続することになります。気を緩めることなく、感染予防に細心の注意を払って運営してまいります。

5  次に、「おとなりサンデー」についてです。
 毎年「6月第1日曜日は、渋谷おとなりサンデーの日」を合言葉に、区内各地域で、住民の皆様による交流の場が設けられてきました。
 今年の「おとなりサンデー」は、新型コロナウイルス感染防止の観点から、オンラインやコミュニティラジオといった手段を活用する新たな取組にチャレンジします。
 具体的には、パソコンやスマートフォンを利用して参加する「オンライン井戸端会議」の開催や、コミュニティラジオ「渋谷のラジオ」で特別番組を配信して、パソコンやスマートフォンから番組に参加するなどの企画を進めています。
 このような非常事態をきっかけに、実際には会えなくても、人と人とのつながりが見える、又は、つながることができる「オンライン渋谷おとなりサンデー」として、新たな可能性を形にして発信していきます。

6  次に、「東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会」についてです。
 新型コロナウイルス感染症がパンデミックとなった影響により、史上初めて大会の開催が延期になりました。私も、とても落胆しましたが、大会を目指していたアスリートはもとより、観戦を楽しみにしていた区民の皆様も大変残念に思われたはずです。
 国際オリンピック委員会は、3月30日に新しい大会日程を発表し、オリンピックは来年の7月23日から8月8日まで、パラリンピックは8月24日から9月5日までとしました。
 本区では、これまで東京都や大会組織委員会と連携して「東京2020大会」の気運醸成事業などに先進的に取り組んできたところですが、今後も、新たな大会日程に合わせて、関係機関と一層の連携を図り、開催準備を着実に進めてまいります。
 今後の新型コロナウイルスの感染状況を注視しながら、これまでの成果でもあるパラスポーツの普及事業などを継続実施することで、区民の皆様と共にパラアスリートを応援していきたいと考えています。
 以上、新型コロナウイルス感染症に関連した取組を申し上げましたが、続いて、その他の取組について申し上げます。

7  待機児童解消と保育の質の確保は、区政の最重要課題の一つです。
 今年度は4月に「認可保育園」を3園開設し、301人の定員拡大を行いました。その結果、本年4月の待機児童数は、58人となり、4年連続で着実に減少しています。
 今後は、10月に「小規模保育施設」1園、来年4月に「認可保育園」5園を開設し、合計で409人の定員拡大を図る予定です。これにより、来年4月には、待機児童ゼロを達成したいと考えています。
 一方、今年度から5年間にわたる「第2期渋谷区子ども・子育て支援事業計画」を策定したところです。社会状況の変化に対応しつつ、実施計画等の各計画と連携しながら、子ども・子育て支援施策を総合的に推進し、切れ目のない支援による子育て環境の充実を目指していきます。

8  次に、「学校施設長寿命化計画」策定の取組です。
 学校施設の老朽化対策は、今後の社会情勢や人口構成を見据えつつ取り組む重要な課題です。教育委員会を中心に今年度末までに「学校施設長寿命化計画」を策定する予定です。計画策定の検討会の委員長を東京大学大学院教育研究科長・教育学部長「秋田喜代美教授」にお願いしました。秋田教授を始めとした委員の皆様には、地域コミュニティの視点も含めた学校のあるべき姿とともに、建替えについても、ご検討いただくこととしています。

9  次に、「ふれあい植物センター」についてです。
 「ふれあい植物センター」は、渋谷清掃工場の建設に伴う区民還元施設として、平成17年4月に開設しました。国内で最も小さな植物園といわれていますが、植物にふれあい、身近な緑化やボランティア活動に参加する場として、多くの区民の皆様に利用されてきました。
 しかし、開設から15年が経過し、主に熱帯で育つ植物を展示し、施設内は常に高温多湿の環境であるため、設備・機器の傷みや腐食が進み、改修が必要な時期を迎えています。
 一方、本区は、平成30年度に「渋谷区環境基本計画2018」を策定し、持続可能な社会の実現に向け、渋谷区で暮らし、働き、学び、訪れる人々の行動によって良好な地域環境を形成していくこととしました。その中で「ふれあい植物センター」には、みどりの情報発信、普及啓発の拠点として、区民等がみどりとふれあい、学び、体験する機会を提供していくことが求められています。
 今後は、植物とふれあうだけでなく、野菜を育て、食べることで、都市生活に食料生産という機能を加え、更には収穫を通じて、食べものを無駄にしない食育とも併せた渋谷区版の地産地消を取り入れた施設にリノベーションしていきたいと考えています。
 本定例会では、令和4年度末の竣工に向け、施設の基本計画、基本設計及び実施設計に係る経費を補正予算案に計上しております。

10  最後に、スタートアップ企業の支援についてです。
 本年4月に公表した「渋谷区産業・観光ビジョン」の中でも、スタートアップの環境整備を主要な目標の一つとして掲げています。
 本区は、本年2月に内閣府のスタートアップ・エコシステム拠点都市プログラムに応募し、これまでもコンソーシアムを立ち上げ、積極的に交流支援に取り組んできました。しかし、新型コロナウイルスの感染拡大により、現在、多数のスタートアップ企業が、その活動に大きな影響を受けています。そのため、中小企業としてのスタートアップ企業に対しても、金融機関と協力して緊急融資を実施しています。
 スタートアップ企業が有する先端技術や課題解決力を、ポストコロナ社会へ活かしていくため、本区は、スタートアップ企業が集積する街として、国や都ともしっかり連携してその役割を果たしていきます。さらに、国際的なスタートアップ・エコシステム拠点都市として、国内外への情報発信強化と様々な支援策を講じていきます。

11  以上、当面の課題について申し上げましたが、本定例会には、条例案10件、令和2年度一般会計補正予算案2件、令和2年度国民健康保険事業会計補正予算案1件、契約案件1件、報告案件6件をご提案しております。
 よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

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