平成30年第3回区議会定例会での発言

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    平成30年9月20日

(9月20日(木曜日)、第3回区議会定例会本会議で述べた長谷部健区長の発言を掲載します。)

本日ここに平成三十年第三回渋谷区議会定例会を招集し、提出議案についてご審議をお願いすることとなりました。
この機会に、当面する区政の課題についてご説明申し上げ、区議会及び区民の皆様のご理解とご協力を賜りたいと思います。

一 初めに、防災についてです。

(一)九月一日は、九十五年前の大正十二年に発生した関東大震災にちなんだ「防災の日」です。「渋谷区総合防災訓練」は、都立代々木公園を会場とし、実施日を従前の九月一日から、九月の最初の土曜日、日曜日に移し、渋谷に住まい、集う幅広い世代を対象に、防災意識を育むため実施方法や内容の拡充を図り「防災フェス」をコンセプトに加えて、今年で三回目を迎えました。

初日の午前中には、自主防災組織を始め、警察、消防、消防団、陸上自衛隊、医師会、インフラ関係企業等、関係団体が一堂に会する「防災関係機関等活動訓練」を実施し、地震発生直後から数日後までを想定した実践的な訓練と展示を実施しました。
自主防災組織の皆様には、早朝から徒歩で代々木公園まで避難行動をとっていただき、その後の活動訓練では、刻一刻と変化する状況に応じ、防災関係機関と一体となって、訓練に精励していただきました。まさに、自助、共助、公助の精神を体現されていたと思います。本当にお疲れ様でした。
防災というと、身近な重要課題として捉えられている反面、一般的にはとっつきにくいイメージもあるようです。「渋谷防災フェス」では、様々な切り口で防災を捉えて、子どもから高齢者まで、防災を正しく楽しく学び、防災体験ができるような取組を行っています。
親子で参加し、知らず知らずの内に防災知識が身に付く「体感型防災アトラクション・脱出ゲーム」や「消防士体験VR(仮想現実)」、更には、東京消防庁の最新鋭の「VR防災体験車」による「VR防災体験」を実施するなど、体験型ブースを多数設置し、多くの皆様に楽しみながら防災について学んでいただきました。
この「防災関係機関等活動訓練」及び、「渋谷防災フェス」からなる「渋谷区総合防災訓練」の形が、ようやく定着しつつあると実感しています。今後も、区民の皆様、関係機関の方々のご意見を伺いながら、より実効性の高い「渋谷区総合防災訓練」にしてまいります。

(二)本年六月二十八日から七月八日にかけて、過去に経験したことのない豪雨が、西日本を中心に襲い、いくつもの河川の氾濫や土砂崩れ、土石流の発生、床上・床下浸水、道路冠水や陥没などが発生し、犠牲者が二百人を超える平成最悪の水害となりました。ここ数年、日本各地で大規模な水害が発生しておりますが、今回の「平成三十年七月豪雨」につきましては、まさに、最近の異常気象を象徴しているものと思います。
本区におきましても、七月二十八日の台風十二号、八月八日の台風十三号の到来に備え、水防本部を設置し対応を行ったところです。特に強い台風と言われた台風十三号につきましては、近隣住民の早期避難行動に対応すべく、本区として初めて、渋谷川付近の区有施設二か所を「自主避難施設」として開設しました。
こうしたことを踏まえ、被害の予測が困難な水害へ対応するため、早急に本区の地域防災計画に、地域住民への避難勧告等の発令や避難所開設の手順などをしっかりと位置付け、区民の安全安心を図ってまいります。
 
(三)一方、震災に目を移しますと、今月六日未明には、北海道胆振地方で最大震度七の強い地震が発生し、北海道全域が停電となるなど、広域にわたりインフラに甚大な被害がもたらされました。震源に近い厚真町では、大規模な土砂崩れにより数多くの家屋倒壊や人的被害が発生しました。
また、六月十八日に発生した大阪府北部を震源とする最大震度六弱の地震では、高槻市内の小学校でプール横のブロック塀が倒壊し、女子児童が犠牲となる痛ましい事故がありました。
このことを受けて、本区では、直ちに全区有施設の緊急安全点検を実施しました。このうち、区立の小中学校、幼稚園、保育園につきましては、建築技術職員によるブロック塀等の点検を行ったところです。その結果、小中学校六校、保育園一園につきまして、特に早急な対策が必要と判断し、夏休み期間を利用して安全対策工事に着手し、順次完了させています。
なお、通学路につきましては、六月中に学校教職員が確認を行い、更に、今月に入ってブロック塀の危険性の有無及び防犯の両面から、点検を実施しています。
 災害に強いまちづくりを推進するため、リスクに対して、今後ともスピード感を持って対策を講じてまいります。
 
二 次に、多様性と地域活性化に係る取組についてです。
(一)九月七日から十七日まで、多様な未来を考える十一日間として「青山学院大学」や「EDGEof」など、渋谷・原宿・表参道エリアのイベントスペースを拠点に、多彩なイベントが開催されました。
このプロジェクトは、渋谷区が基本構想で掲げる未来像「ちがいを ちからに 変える街。渋谷区」を実現するために大切にしている、ダイバーシティ&インクルージョンが実感できるイベントとして、昨年十一月に初めて開催した「ダイブ・ダイバーシティ・サミット・シブヤ」と、公益財団法人日本財団主催事業として二〇一六年にスタートした「日本財団ソーシャル・イノベーション・フォーラム」を統合し「ソーシャル・イノベーション・ウィーク・渋谷」として開催したものです。
オープニングでは、衆議院議員の小泉進次郎さんに基調講演をしていただきました。また、九月十五日から十七日の三日間は「ダイブ・ダイバーシティ・セッション」と題し、国内外から様々な有識者を招き、多様性社会の可能性を探求する「本質」をテーマに掲げたトークセッションが展開されました。
世界に目を向けますと、オーストリアのリンツでは、メディアアートの世界的イベント「アルス・エレクトロニカ」があり、アメリカのテキサス州では音楽、映画、インタラクティブフェスティバルなどを組み合わせた大規模イベント「サウス・バイ・サウスウエスト」があります。
ダイバーシティといえば「ソーシャル・イノベーション・ウィーク・渋谷」と言われるよう、世界に認知され区民が誇れる取組となるよう、今後も多様な人々とともに、より発信力のあるイベントに育てていきたいと思います。
(二)昨年より工事を進めていた代々木八幡区民施設が、来る
十月一日に「YCC代々木八幡コミュニティセンター」として、リニューアルオープンします。
本施設は内部を全面改修し、多目的に使用できる定員百八十四名のホールやスタジオ、和室、癒しやくつろぎのスペースとしての浴室やリラクゼーションルームなど、全てのフロアで装いを新たにしました。
「YCC代々木八幡コミュニティセンター」の特徴は、地域活動の場を提供することだけにとどまらず、子どもから若者、子育てファミリー、シルバー世代まで、多様な世代が集える渋谷区らしいコンテンツやイベントを企画・提供することで、新たな人のつながりを作り地域コミュニティを育もうとする、これからの区民施設の先進事例として運営していくことにあります。
開設当初の週には、ショートフィルムの上映会を実施する予定です。その後も、代々木八幡サロン、ワークショップ、イベントなど魅力あるコンテンツを定期的に開催していきます。
多くの区民の皆様に「YCC代々木八幡コミュニティセンター」をご利用いただき、新しい感覚の区民施設を体感していただきたいと思います。
 
三 次に、環境政策についてです。
本年四月に公表した「渋谷区環境基本計画2018」では、「私が動く。渋谷が変わる。」をキャッチフレーズに、行動が社会を変え、社会の変化が意識と行動の更なる変革を生む持続可能な仕組みづくりを目指しています。
(一)今回、本計画の普及活動の一環として、一人ひとりが環境に対する意識の向上を図り、様々な行動に参加してもらえるよう、計画の趣旨を分かりやすく表現したPR動画を作成し、広く発信することにしました。そのため、来月二十七日にYCC代々木八幡コミュニティセンターにて環境シンポジウムを開催します。
当日は、PR動画の上映のほか、著名人による講演会やパネルディスカッションを実施し、区民の皆様に情報発信をすることで、行動のきっかけづくりを行います。動画につきましては、今後様々な機会を捉え、情報発信に活用していきます。
 
(二)また、「環境基本計画2018」の行動計画では、食品ロスの削減を施策として掲げています。来月は「3R(リデュース・リユース・リサイクル)推進月間」と「世界食糧デー月間」に当たり、十六日が「世界食糧デー」でもあることから、直近の十三日の土曜日に「しぶや・もったいないマーケット」を、昨年に続き、美竹の丘・しぶや等で開催したいと考えています。
区民、事業者の皆様が、日常生活や事業活動を通して、3Rや食品ロス削減を意識し、身近な行動から取り組むきっかけとなるよう、当日は、映画「もったいない」の上映や、フードドライブの受付、エコクッキングなどを催すほか、夏休み中に区内の小学生から募集した「食品ロス削減標語」の入選者の表彰も行います。
いずれにしましても、区民、事業者そして来街者並びに区が一体となって、環境の保全、創出に向けた取組を進め、基本構想に掲げる「人のつながりと意識が未来を守る街へ。」の実現を図ってまいります。
 
四 次に、教育における取組です。
今月二日、第十八回アジア競技大会が閉会しました。多くの競技・種目において、日本新記録や自己新記録が樹立され、メダルラッシュに沸いた大会でした。記録更新や出場に至る背景には、日々の積み重ねが重要であることは言うまでもありません。目標の設定やそれに向けたトレーニング、困難を克服するための努力や組織としての取組など、様々な要素が大切です。トップアスリートの挑戦する姿、躍動する姿は、私たちを感動させてくれます。
そして、いよいよ二年後の二〇二〇年には、東京二〇二〇オリンピック・パラリンピック競技大会が開催されます。この大会が本区の子どもたちにとって、おもてなしやボランティアマインドに関する気運の醸成につながるよう、取り組んでまいります。また、二〇二〇年は、小学校において新しい学習指導要領が全面実施となる年でもあります。このような好機を迎えるに当たり、引き続き、学校における教育の充実を図ってまいります。
(一)まず、オリンピック・パラリンピック教育についての取組です。本区では区独自に予算を配付し、充実した取組がなされるよう支援をしています。東京二〇二〇大会までの取組が着実に実施されるよう、各小中学校、幼稚園では、二〇二〇年までの「ロードマップ」を作成し、それに基づく取組を進めていきます。渋谷区立の小中学校や幼稚園として、大会や選手を支えるために、また、来日される方々のために、何ができるか、教育委員会と連携して進めてまいります。
 
(二)次に、部活動の充実に関する取組です。部活動の更なる充実や持続可能な部活動の在り方の視点から、教育委員会では「部活動の在り方検討委員会」を設置し検討しています。共に活動を通して培う仲間との絆、努力することの大切さ、生涯にわたる運動習慣の確立、健全な心と体の育成など、部活動の果たす役割には大変重要なものがあります。教員の負担軽減に配慮しつつ、部活動の一層の充実が図られるよう、議論を進めてまいります。
 
(三)続いて、ICT教育の充実に関する取組です。昨年九月に区立小中学生全員に、一人一台タブレット端末を貸与して一年が経ちました。この夏は、タブレット端末を持ち帰った初めての夏休みでもありました。この一年間の取組の中で、授業中での様々な活用はもちろんのこと、校外学習における情報収集や、家庭学習における活用などが進められています。今後、これまでの成果や課題を整理するとともに、本区独自のICT環境を最大限に生かし、新しい学習指導要領でも求められている子どもたちの情報活用能力などの育成に向け、継続的な支援を行ってまいります。
 
(四)また、子どもたちの安全安心の確保も非常に重要な課題であると考えます。今年の夏は、連日の記録的な猛暑が続き、教育委員会では、各校、各園に対し、熱中症事故防止の注意喚起、校外施設における熱中症対策などの取組を行いました。今後も、子どもたちの安全安心の確保に向けて、予防や事案発生時の対処など、様々な観点から着実に対応してまいります。
 
五 次に、福祉について二点述べたいと思います。
(一) まず、障害のある人の就労についてです。
本区はこれまで、「ハートバレーしぶや」の運営や、障害者就労支援施設への助成に加え、障害のある人の区役所内実習を拡充し、個々の状況に応じた多様な働き方を支援してまいりました。こうした取組を踏まえ、本年三月に策定した「渋谷区障害福祉推進計画」では「障害のある人が働きやすい環境づくりの促進」を重点施策に掲げています。
この施策を実行に移すため、新庁舎移転後は、障害のある人を新たに臨時職員として雇用します。そして、次に続く一般就労に向けたステップアップを図るため、このたび「障害のある人の超短時間雇用」を試行することにしました。
これは、障害者の法定雇用率の対象とはならない、週二十時間未満の仕事を「超短時間雇用(ショートタイムジョブ)」と位置付け、仕事を依頼したい企業や個人店舗などと、その仕事をやりたいという障害のある人をマッチングする試みです。「東京大学先端科学技術研究センター」の協力の下、企業や店舗で超短時間雇用に適している仕事を切り出し、区内の障害者就労支援施設を通して採用候補者を募集し、条件が合えば、例えば「一日一時間勤務」などの超短時間雇用が実現する仕組みです。既に、区内の番組制作会社や美容室で超短時間雇用のモデルケースがスタートしており、四名の方が雇用契約を結んで働いています。
今月十一日には、美竹の丘・しぶやで、超短時間雇用をテーマとするシンポジウムを開催し、障害のある人、保護者、企業の採用関係者など、多くの方にご参加いただきました。今後は企業や店舗への働きかけを重ね、障害のある人が、多様な職場で、個々の状況に応じた働き方のできる環境づくりを目指してまいります。
このほか、障害福祉分野では、本年四月から代々木の杜ピア・キッズで開始した児童の相談支援事業が、八月末現在で早くも三十八件の契約があり、保護者のニーズに応えて着実に利用者を増やしています。また、渋谷区障害者団体連合会を通して要望のあった、移動支援ガイドヘルパーの養成研修を本年六月から七月にかけて実施したところ、三十代から七十代まで定員を超える三十名の受講がありました。今後も「渋谷区障害福祉推進計画」に基づき、必要な施策、サービスを着実に推進してまいります。
 
(二)続いて、高齢者福祉についてです。
先日九月十七日、敬老の日に、私は、丸山区議会議長と共に区内九か所の特別養護老人ホームで開催された敬老祝賀会にお伺いし、施設のご利用者及びそのご家族と、短い時間ではありましたが、交流をさせていただきました。お元気に祝賀会を楽しんでいらっしゃる姿を拝見し、本区の発展の礎を築いて来られた皆様に、改めて心から感謝の気持ちを申し上げたところです。
また、毎年この時期に、民生委員の各戸訪問により行っております七十五歳以上の方全員を対象とした敬老金の贈呈は、区がまさにその感謝を込めて行っている事業です。併せて実施している高齢者実態調査は、お一人おひとりの生活実態を把握すると共に、安否確認をするための重要な手段であり、他の自治体にはない本区の独自事業です。今年のような猛暑により熱中症が危ぶまれる中、また、災害時に支援が必要な方々への対応という点においても、各戸訪問の意義は極めて大きいものと考えます。
加えて「(仮称)恵比寿西二丁目複合施設」の整備も順調に進んでおり、また「(仮称)高齢者ケアセンター跡地複合施設」につきましては、本定例会に契約案件として上程しております。
私は、これまでも福祉政策を本区の最重要課題のひとつと位置付けて取り組んでまいりましたが、今後、更に充実した施策を展開してまいります。
 
六 最後になりますが、新庁舎の開庁は、来年一月十五日を予定しております。仮庁舎からの移転に向けて、現在、鋭意準備を進めておりますが、円滑に新庁舎での業務を開始できるよう、万全を期すとともに、区民の皆様や来庁者の皆様に対する事前のご案内につきましては、様々な手段を用いて周知徹底を図り、混乱のないよう対応してまいります。
 
七 以上、当面の課題について申し上げましたが、本定例会には、条例案七件、平成三十年度一般会計補正予算案一件、平成三十年度国民健康保険事業会計補正予算案一件、平成二十九年度一般会計歳入歳出決算等四会計の決算審査、契約案件一件、人権擁護委員の諮問一件、報告案件六件をご提案しております。
よろしくご審議のほどお願い申し上げます。