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基本構想の策定

策定の経過

 渋谷区は、平成8年3月に、「創意あふれる生活文化都市 渋谷-自然と文化とやすらぎのまち-」を区の将来像とする渋谷区基本構想を策定しました。その後、約20年が経過し、渋谷区を取り巻く様々な社会状況の変化とともに、人口減少や少子高齢化の急速な進展などに伴う新たな課題が生じています。そこで、20年後を展望し、新たな区の未来像を描くとともに、課題の解決に向けた今後の区政の基本的方向を検討するため、平成27年11月に渋谷区基本構想等審議会を設置し、(1)渋谷区基本構想改定のための基本的方向について、(2)新たな渋谷区長期基本計画に盛り込むべき施策についての2点について諮問しました。本諮問について、平成28年7月に「渋谷区基本構想等審議会答申(素案)」が取りまとめられ、同年8月に同審議会より答申を受けました。
 この答申を受け、渋谷区の未来像を「ちがいを ちからに 変える街。渋谷区」とする新たな基本構想を、区議会の議決を得て平成28年10月に策定しました。

渋谷区基本構想等審議会

 基本構想の改定にあたり、課題の解決に向けた今後の区政の基本的方向を検討するため、平成27年11月に、「渋谷区基本構想等審議会」を設置し、平成28年8月まで調査審議が行われました。詳しくは渋谷区基本構想等審議会をご覧ください。

基本構想の役割等

 基本構想とは、渋谷区の課題を踏まえ、20年後を展望した区の未来像(ビジョン)を明らかにするものであり、今後の区政の基本理念や長期的指針を示す区と区民の憲章です。それは、渋谷区における計画的な行財政運営の基本的かつ総合的な指針としての位置づけを持ちます。
 この基本構想は、これからの渋谷区のまちづくりにおける課題を「『成熟した国際都市』の実現」とし、ひいては区民自身が誇りをもって暮らせる都市となることを目指しています。

渋谷区基本構想

目 次

1 基本構想とは何か
2 基本構想をつくりなおす背景
3 基本構想のもとになる価値観
4 渋谷区の未来像 
5 分野別基本構想
6 区政運営の基本姿勢

1 基本構想とは何か

 この基本構想とは、これからの渋谷区がどんなことを大切にし、どんな方向へ進んでゆこうとしているのか、そのおおもととなる考え方のことです。そして、20年後の渋谷区はこうでありたい、というビジョンを描くものです。

2 基本構想をつくりなおす背景

 なぜ今この基本構想をつくりなおす必要があるのか。
 今から20年前に作られた旧基本構想の時代から、社会は大きく変化してきました。日本経済は低迷を続け、格差社会が進行し、少子高齢化が急激に進んでいます。一方で、スマートフォンや携帯電話が爆発的に普及し、今やインターネットは、我々の生活に欠かせない社会のインフラになりました。そして社会は、新たな課題を生みながら、今でも加速度的に変わり続けています。
 未来を正確・精緻に予測することはとても難しいことですが、この社会の変化を踏まえて、渋谷区がどんな20年後を目指したいかをあらためて語りなおすこと、それが、今この基本構想をあらためる主旨です。
 東京オリンピック・パラリンピックを4年後に控えた2016年現在、渋谷区は、成熟した国際都市になるために急激に進化・成長する必要があります。この先も引き続き、世界を惹きつける魅力的な都市であり続けるために、渋谷にしか掲げられない基本構想としたい、と考えています。

3 基本構想のもとになる価値観

 基本構想の策定にあたって、これからの渋谷区は何を大切だと考えるのか。つまり、20年後を見据えた渋谷区の価値観が、この基本構想全体を貫くことになります。

(1)渋谷区はどこへ向かうのか

 渋谷区が目指すのは、規模こそ異なるものの、ロンドン、パリ、ニューヨークなどと並び称されるような『成熟した国際都市』です。ここでいう成熟とは、高度な国際競争力と強烈な地域性とを兼ね備えてゆくこと。そして、区民自身が誇りをもってそこで暮らせること。これらはすべて、世界から注目され愛される街の条件だと考えます。

(2)渋谷区はどうやって向かうのか

 成熟した国際都市へと進化してゆくために、渋谷区は「ダイバーシティとインクルージョン」という考え方を大切にします。
 この地上に暮らす人々のあらゆる多様性(ダイバーシティ)を受け入れるだけにとどまらず、その多様性をエネルギーへと変えてゆくこと(インクルージョン)。人種、性別、年齢、障害を超えて、渋谷区に集まるすべての人の力を、まちづくりの原動力にすること。
 つまり「街の主役は人」だというのが、この考え方の本質なのです。

(3)渋谷区には何が必要か

 どんなに技術が進歩しようとも、つながりを求める人の心と、お互いに支えあうことの必要性は普遍なものと考えます。誰もが誰かと助け合える。そうした「共助」の人間関係を不可欠なものと考えます。
 また、渋谷区にかかわる人々の人生の豊かさを、永続的に続いてゆくものにしたい。そのため、全編において「サステナビリティ」の視点を大切にします。

4 渋谷区の未来像

ちがいを ちからに 変える街。渋谷区

渋谷は世界を変える。
いや、「渋谷が」世界を変える。
本気でそう信じてみよう。

この街に存在する
ありとあらゆる人間を、仕事を、価値観を、
ドラマを、チャンスを、祝福しよう。
それらがさまざまであることを、
それゆえに生まれる熱を、愛そう。

ちがっている、ということは、かけがえない。
それは未来を動かす力になる。

それぞれの成長を、一生よろこべる街へ。
あらゆる人が、自分らしく生きられる街へ。
思わず身体を動かしたくなる街へ。
人のつながりと意識が未来を守る街へ。
愛せる場所と仲間を、誰もがもてる街へ。
あらたな文化を生みつづける街へ。
ビジネスの冒険に満ちた街へ。

街にかかわる人がひとり残らず、
自分の人生を謳歌できる。
そんな渋谷区を、あなたといっしょにつくりたい。
混ざり合って生まれる価値こそが
それを可能にするのだと、この街で証明してゆこう。

5 分野別基本構想

A 子育て・教育・生涯学習

それぞれの成長を、一生よろこべる街へ。

 あらゆる人は、「育つ人」であると同時に「育てる人」になり得ます。人生のどんなステージにおいても、です。
 人種・性別・年齢・障害の有無を問わずすべての人が一生を通じて、育つことと育てること、教わることと教えること、そのそれぞれに喜びを感じられるように。渋谷区は、ダイバーシティ&インクルージョン教育の先進都市を目指します。

■ 子どもはつまり、未来です。

 この街で子どもを産みたい、育てたい。そう思えるほどの安心と喜びを約束します。出産前から、子どもが成長した後に至るまで、子育てを切れ目なく支援する街になりたい。
 また、子どもたちのなかに眠っている多様な可能性は、社会の希望そのもの。その可能性を最大限に引き出すために、乳幼児の時期からの先進的教育を追究していきます。
 育児も教育も、この国の未来を育てることにほかならないのです。

■ この世界は、学びであふれています。

 さまざまな彩りに満ちたこの世界を、そして人間の多様性を、誰もが学び愛せるように。学校でも学校以外でも、多彩な人材を教育に巻き込む機会と仕組みをつくっていきます。できるだけさまざまな人に、教えるチャンスと教わるチャンスの両方を提供してゆくこと。これは、生涯学習をより多様で豊かにしてゆく考え方でもあります。

B 福祉

あらゆる人が、自分らしく生きられる街へ。

 どんな人をも、社会から孤立させないこと。児童、高齢者、障害者、生活困窮者、認知症の人など、誰もがこの社会にとって大切な一人ひとりだからです。
 すべての人々が支え合い、どんな人でも自分らしく生きていける共生の街をつくる。そのために、生活支援サービスをこれまで以上にととのえつつ、渋谷区は福祉のあらたな仕組みをつくっていきます。

■ 福祉は、創造力を秘めています。

 ひとつめの鍵になるのは、福祉という概念に対する人々のイメージを変えること。「こころのバリアフリー」にとどまらず、社会を進化させる福祉とは何か、未来を明るくする福祉とは何か、産業や文化をつくるヒントになる福祉とは何か。それらを渋谷区が率先して追求、実践していきます。

■ つながりをつくる、という福祉。

 ふたつめの鍵として、「共助ネットワーク」を提唱します。人種・性別・年齢などの壁を越え、人と人が助け合いやすい地域環境や仕組みを、民間企業や NPO などとも手を組みながらととのえていきたい。こうしたつながりは、あらゆる個人や家族を支える基盤として機能させていきます。

C 健康・スポーツ

思わず身体を動かしたくなる街へ。

 長生きできる街であると同時に、長生きしたくなる街になりたい。
 運動の習慣が人々の生活の一部になり、誰もが楽しみながら健康を保っていけるように。渋谷区は、渋谷区自身を「15平方キロメートルの運動場」と捉え、日常的な運動も、楽しみで行うスポーツも、すべてが暮らしに溶け込むようなまちづくりを進めていきます。

■ 暮らすことは、動くことだから。

 運動することを、特別な行為ではなく、生活習慣の一部にしたい。そのために、渋谷区独自の起伏に富んだ地形や多彩な街並、さまざまな公共空間などを、住む人・訪れる人の運動の機会として、つまりは健康の機会として整備していきます。
 また、医療機関同士の連携をもっと強める、健康面での危機管理の仕組みを充実させるなど、地域の保健・医療の基盤を確かなものにすることで、すべての人がより安心して暮らせる街にしていきます。

■ スポーツにかかわれない人は、いません。

 できるかぎり多様な種類のスポーツを受け入れ、応援する街を目指します。種目のメジャーかマイナーかを問いません。
 誰もがプレイヤーとして、あるいは観客として、なんらかの形でスポーツに参加できる機会をつくりたい。これによって渋谷区を、祝祭性と高揚感の絶えない街にしていきます。

D 防災・安全・環境・エネルギー

人のつながりと意識が未来を守る街へ。

 住む人や訪れる人に、等しく安心と安全を約束するためにも。そして快適な都市環境を、無理なく維持するためにも。渋谷区は、「しなやかでタフ」な街になりたいと考えています。柔軟で、丈夫で、そして長続きする都市です。
 このとき問われるのは、人々の意識や知見や技術の力。多様な人間で満ちていることが、都市の強度や、環境のサステナビリティに結びついてゆく。そんな街を目指すのです。

■ つながりの強さこそ、街の強さです。

 防災をいかに強化するかだけでなく、災害時に、いかに柔軟に都市を回復させるか。犯罪などの危険から、いかに一人ひとりを守るか。
 安心や安全のもとになるのは、人と人の連携です。それぞれの地域における「他人」同士が日頃からどれだけつながっているか、がものをいうのです。渋谷区は、災害や犯罪に強い都市基盤整備だけでなく、こうした日常的なつながりをととのえていきます。

■ サステナビリティを、一人ひとりの問題に。

 持続可能な環境を実現するいちばんの力は、一人ひとりの日々の暮らしを愛する気持ち。そしてそれを守りたいというモチベーションです。
 ごみについてもエネルギーについても、渋谷区にかかわるすべての人が、自分の生活と街の環境を地続きのものとして考えられるように。まずは毎日のごみを減らす、エネルギーを節約するといった身近な取り組みを盛り上げたい。さらに低炭素のまちづくりを通して、渋谷区は人々の意識をひとつにしていきたいと考えています。

E 空間とコミュニティのデザイン

愛せる場所と仲間を、誰もがもてる街へ。

 住む人、働く人、訪れる人、これから訪れるかもしれない人、いずれにとっても、かかわりたくなる「場所」と「仲間」がある街。それこそが、末永く世界に愛される街だと考えます。
 渋谷区は、区内にあるさまざまな空間を、さまざまなコミュニティの拠点として開発していきたい。渋谷区にかかわる多様な人々と手を組みながら、既存の空間にあらたな価値を見出したり、まだなかった場所をつくり出したり。目指すのは、コミュニティの多様化と成長です。

■ 渋谷区には、いくつもの渋谷がある。

 区内には、多彩な表情をもった地域が共存しています。東京の最先端を象徴する地域、ファッションをリードする地域、昔ながらの人情味あふれる地域、閑静な住宅地域など、地域にも多様性があるのです。それぞれの魅力を再発見し、最大限に引き出す空間づくりを行います。
 コミュニティ活性化のためには、移動のしやすさ、滞在のしやすさを担保する交通環境の整備もすすめていきます。

■ 渋谷区のコミュニティは、世界のコミュニティへ。

 ゆくゆくは区内のすべての地域に対して、世界中にファンができるように。そのためにはそれぞれの空間における多様なコミュニティ活動の様子が、全世界に開かれていることが大切です。渋谷区は、各地域、各コミュニティからの絶え間ない「発信」を可能にする仕組みをととのえます。

F 文化・エンタテイメント

あらたな文化を生みつづける街へ。

 渋谷という街でなければ生まれ得なかった文化潮流があります。自由でとらえどころがなく、だからこそ可能性に満ちた渋谷のこの文化的多様性そのものを、渋谷カルチャーと呼びたい。いわば「文化を生みつづけるという文化」です。
 世界中の人々がかつてなく東京に集まってくるなかで、文化の掛け算はいっそう加速するはず。渋谷区はその掛け算を誘発する、文化のスクランブル交差点としてのまちづくりをすすめます。

■ ファッションと、音楽と、その先へ。

 「ファッション」と「音楽」は、かつて渋谷区が大きな潮流を生み、また牽引してきた分野です。このDNAをあらためて進化させ、渋谷を世界で最も活気のある「ファッションの街」「音楽の街」に育てていきます。それ以外の分野においても、常にさまざまな文化的可能性を見出し、応援し、育てる街でありつづけます。

■ 渋谷区すべてを、エキシビションと考える。

 表現・創作にかかわるすべての人にとって、いつまでも刺激的な街でありつづけられるように。この街でおこなわれる文化活動の現在を、世界に向けて絶えず発信していかねばなりません。そのことで、渋谷はエンタテイメントシティとしても発展してゆくのです。伝統文化・伝統芸能などにも、これによって新たな角度から光が当たることになります。

G 産業振興

ビジネスの冒険に満ちた街へ。

 渋谷区は、大きなビジネスと小さなビジネスが、理想的に協働する街を目指します。ビジネスの種類、規模、顧客が多様であればあるほど、世界を変えるイノベーションは生まれやすくなるからです。
 どんなビジネスにも冒険のチャンスがあります。一歩目を踏み出す勇気と、何度でも挑める意欲を与えつづけたい。そんな考えのもと、あらゆる産業人を支援する体制をととのえていきます。

■ 新しいビジネスといえば渋谷、になる。

 これからあらたなビジネスを立ち上げようと思った人が、その拠点の第一候補地に挙げる場所。そんな街になるために渋谷区は、まだ誰も試みたことのないビジネスや、実験的なプロジェクトを積極的に後押ししていきます。もちろん国内だけでなく、世界中からの参入を歓迎します。
 そしてこうしたビジネスの自由を目指せばこそ、どこよりも「消費者が安心できる街」にしていきます。

■ 観光地として新鮮でありつづけること。

 中小企業や個人商店がのびのびと活動できる街でありつづけたい。また、業種や規模を問わず、渋谷独自の地域性に密着した産業、会社、商店をいっそう応援していきたい。
 そのなかから、「渋谷に来なければ体験できないこと」が次々に生まれてくる。それらをあらたな観光資源とし、観光産業じたいをも、かつてなく充実させていきます。

6 区政運営の基本姿勢

 この基本構想で描かれたビジョンを実現するために、渋谷区は「長期基本計画」をつくります。そして各施策を確かなものにしてゆくために、渋谷区は以下のことを目指します。

■ 「基礎体力」がしっかりした自治体であること。

 各施策を実現するための大前提として、安定した財政基盤を確保し、持続可能な行財政運営の構築を行います。

■ 区民や多様な人々と力を合わせること。

 この街を支えているのは区民一人ひとりの力です。区民が主体的に区政に関与できること、さらには区民以外の多様な人々や民間企業、NPOなどとも積極的に連携し、ともに街の課題に取り組むことで、より多くの声が反映されるまちづくりを進めていきます。

■ すばやく動ける集団であること。

 時代の変化とともに変わり続けていく多様なニーズ。それらに的確にこたえていくために、柔軟さと機動性を兼ね備えた組織をつくっていきます。

■ 既成概念にとらわれない職場であること。

 より創造的な職場環境をつくるために、国際的視座からも、仕事のありかたを見直していきます。最先端技術を積極的に活用したり、既成概念にとらわれないワークスタイルや、オフィスデザインを導入することも視野に入れていきます。