総務省による「住民基本台帳の一部の写しの閲覧並びに住民票の写し等及び除票の写し等の交付に関する省令の一部を改正する省令(案)」について

  • 更新日:
    令和3年9月10日

【問い合わせ】住民戸籍課住民登録係(電話:03-3463-1675)

令和3年8月20日、総務省は「住民基本台帳の一部の写しの閲覧並びに住民票の写し等及び除票の写し等の交付に関する省令の一部を改正する省令(案)に対する意見募集」を開始しました。これは、渋谷区が採用している本人確認方式eKYC(AI顔認証による本人確認)を違法とすることを目的とした改正と言わざるを得ません。
この改正は地方自治の本旨をも蔑ろにする、もはや渋谷区のみの問題に留まらないことから、さすがに看過できない状況であり、このことを広く知っていただくためにも、渋谷区の考えをここにお示ししたいと思います。

渋谷区は、令和2年4月に開始した住民票の写し等のLINE申請において、本人確認方式としてeKYCを採用しました。eKYCとは自身の顔写真をスマートフォンで撮影し、その容貌と本人確認書類の顔写真とをAIによる高精度の顔認証技術により判定するとともに、併せて申請情報とOCRで読み取った本人確認書類の文字情報との整合判定も行う、安全かつ利便性の高い本人確認方式であり、金融機関の口座開設や空港の入国審査等でも広く一般的に使われている技術です。
一方マイナンバーカードについては、区としてもこれまで全力を入れて普及に取り組んでまいりました。将来的にはすべての区民がマイナンバーカードを利用した本人確認を行える世の中が目指すべき未来であると考えているものの、現在の普及率を鑑みた際に、それがすぐに標準的な方式として提供できる状態ではないとも考えます。
このため、民間企業との連携によるイノベーションにより、手軽かつ認証強度の高いeKYCを採用する方針を決定しました。行政手続においても新たな技術を実装することで、多くの区民の利便性の向上を図るとともに、自治体のデジタル化を牽引することが渋谷区の使命だとも考えていたからです。

今回の省令改正は、簡単に言うとオンラインで住民票の申請等をする場合には、「総務省関係法令に係る情報通信技術を活用した行政の推進等に関する法律施行規則」第4条第2項ただし書の規定を適用できなくするというものです。ただし書の規定とは以下の条文の後半部分を指しています。

「前項の規定により申請等を行う者は、入力する事項についての情報に電子署名を行い、当該電子署名を行った者を確認するために必要な事項を証する電子証明書と併せてこれを送信しなければならない。ただし、行政機関等の指定する方法により当該申請等を行った者を確認するための措置を講ずる場合は、この限りでない。」

渋谷区は本条文のただし書の規定に則って、eKYCによる本人確認を行う旨を総務省に報告し、適法に処理を行ってきました。当然、これまで申請の改ざん、なりすまし等によるセキュリティ事故は1件も起きておりません。
しかし、今回総務省によって、省令改正という手段を用いて渋谷区の方法を違法状態にするという行為が行われようとしています。

本来、総務省は自治体の創意工夫や民間のイノベーションを加速させ、国民にとってより良い暮らしや利便性の向上を推進すべき立場にあります。にもかかわらず、こうした自治体の意欲や民間のイノベーションを、マイナンバーカードの普及の障害として水を差す対応は、とても行政のすべきこととは思えません。
行政がすべきことはマイナンバーカードの利用価値を高め、より多くの人が「使いたい、持っていたい」と思えるサービスを生み出すことであり、そうした利用者目線の施策の積み重ねがマイナンバーカードの普及につながるのではないでしょうか。

新型コロナウイルス感染症は全国各地で災害レベルの感染が続いており、区内でも1週間あたりの感染者数が800人を超えるなど、かつてない危機的状況を迎えています。
こうした中、行政手続のデジタル化は急務であり、様々な自治体の創意工夫、挑戦を促す環境や法整備が重要となります。真にDXを推進する気があるのであれば、新たな障壁を作って阻害しようなどと考えるのではなく、むしろ規制の緩和、民間への支援などに注力すべきなのです。
日本が本当にデジタル化に舵を切り、より良い未来を創っていくためにも、自治体の様々な挑戦を許容できる寛容な国であってほしいと切に願います。

以上

令和3年9月10日
長谷部 健