渋カツナビ2025
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思っていたところ、ささはたカフェの仲間に、冗談混じりにこう言われる。「家賃の1/10だったら、うちでも払えるんだけどね」。それを聞き、そういう人が10人いたら、場所を借りて運営ができるのではと思い、いろいろな人にこんな場所をつくりたいと相談した。そして賛同した9の団体と共に実行委員会と事務局を組織し、2023年にクラウドファンディングで改修資金を集め、翌年2月に笹塚十号のいえをオープンした。実行委員会の団体は資金とアイデアを出し、この場所を活用している。例えば福祉施設は通所者の作業や展示の場として、大学は、学生が地域実践演習を行う学びの場として、まちとの接点となっているのだ。そして、こうした活動や地域の人の日常が重なり合うことで、当初は予期しなかったつながりや広がりが日々生まれているという。笹塚十号のいえを訪れた日、どうぞと出迎えてくれたのはスタッフかと思いきや常連さんだった。お留守番さんと話していた方が、お茶を飲み終わってかばんから楽譜を取り出す。キーボードピアノの演奏がはじまり、拍手が起こった。壁に展示された絵を、協力して貼り替える横で大学生が近所の方にネイルをしている。大学の授業期間が終わった今も週1回、スマホ相談とネイルをするため通っているそうだ。彼女は「ここに来ると多世代のいろいろな価値観の人と出会えるのが楽しいんです」と話してくれた。夕方には、近所のハーモニカが得意な方を囲んで演奏会。通りがかりの人も、もれだす音楽に足を止めて聴いていた。「安心・安全の基地という考え方があります。肯定してくれる人がそばにいると思えると、新しいことにチャレンジできる。そんな場をこれからもみんなで育んでいけたら」と戸所さん。笹塚十号のいえには、地域に関するたくさんのチラシが置かれ、日々いろいろな人が出入りする。ちょっと立ち寄ってみるというアクションが、地域につながる入り口になるのだ。安心してチャレンジできる地域への入り口笹塚十号のいえ毎週火曜・木曜・土曜 11:30〜18:30東京都渋谷区笹塚2丁目41-18夕方には、ハーモニカが得意なあいばさんによる演奏会笹塚十号のいえの運営体制9

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