渋カツナビ2025
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小さな困りごとを引き受ける「まちのお手伝いマネージャー」をはじめた。十号通り商店街の事務所を開放してもらい、軒先で通りがかりの人と話したり、家の電球を替えにいったり、買いもの袋を自宅まで届けたり。日常で気軽に相談できる「もうひとりの家族・ご近所さん」を目指し、活動していた。戸所さんは、その事務所の前に置いていた一つのベンチが、常設の居場所が必要だと考えるきっかけだったと振り返る。「毎日決まった人がベンチで休憩していたり、通りがかりの人がふらっと座ったり。そこに座る人と会話をするようになり、しばらく見かけないと『最近どうしたのだろう?』と周りの人が気づかい合うようになりました。こうしたベンチがまちにたくさんあったら、もっと交流が生まれるのではと思ったのです」。そんな折、事務所の3軒隣にある老舗の八百屋が閉店することになった。十号通り商店街には、昔からの魚屋や茶屋、雑貨屋などが並び、近所の人たちの交流の場になっていたが、昨今、そうした個人商店がどんどんなくなりつつあった。「ただ通り過ぎるだけの商店街になってしまうのをどうにかしたい」と、戸所さんは、元八百屋のこの場所を地域の人が交流できる場にできたらと考えた。とはいえ、都心の商店街の家賃を一般社団法人でまかなうことはできない。常設はむずかしいと場所を借りて運営できるテーブルに座って、おしゃべりしながら手芸の作業が進む近所に住む方が制作した編み物作品を販売お留守番さんと近所のお店の方が軒先で立ち話入り口にテーブルを出し、大学生のかりんさんが地域の人にネイルを施す福祉施設に通う方が描いた絵が壁を彩る810団体集まれば、

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