になっていくのだなと取材をしていると感じます。アクションで生まれた「渋谷はるのおがわプレーパーク」を取材した時も思いました。20年も経れば、小学生だった子ももう大人です。彼らにとってプレーパークはかつて居場所だった場所なのでしょうけれど、いまも手伝いに来る子もいるんだと聞いて、ああ、ひとたび居場所だと思えた場所というのは、心の中でいつも居場所なんだろうなと、勝手に想像しています。子どもが大きくなっ ても、スタッフとしてかかわっているお母さんたちがいるのも素敵です。子どもたちの居場所を継承することでだれかの居場所であり続けていくということ。ここには子どもたちを遊ばせていた頃とは違う意味を持った関係が生じているのだと思います。世田谷区では、一般財団法人世田谷トラストまちづくりが行っている「地域共生のいえ」という取り組みがあります。これは、家の持ち主が自宅の居間や客間、空き部屋などを活用して、地域のための居場所づくりを行う制度です。現在、区内で22ヶ所の個人住宅が、子どもから高齢者まで、さまざまな人々の居場所として開放されていて、いわばまちのお茶の間のような場所になっています。行われている活動自体は認知症カフェだったり、多世代交流の場だったり、囲碁や麻雀を楽しむ場だったりとさまざまですが、共通しているのは、家の持ち主だけでなく、「集まる人たちも主体的にここを“自分の居場所”として大切にしていること」だと、地域共生まちづくり課地域共生のいえ担当者の方はおっしゃいます。集まりに行く日はおしゃれして出かけたり、健康に気をつけたり、机をDIYしたりと、能動的にかかわる人が多いのだとか。そうやって場にかかわっていけばいくほど、愛着も自負も強く感じるようになっていく……。こう見ていくと、どんなローカルアクションも、まちと人の“かかわりの場”づくりであり、その場にかかわる人たちの居場所となるポテンシャルを持っているんだと感じられるのです。東京都あきる野市にある「100日荘」は、恵比寿じもと食堂を立ち上げた末岡真理子さんが「まちのお休み処」として週2回、12~17時にオープンしているスペースです。もともと靴屋だったという建物の入り口は土間で、卓球台やボードゲーム、駄菓子などが置いてあります。だれでも入れるので、小中学生から高校生、大人までちょっと休憩したり、友だちと待ち合わせた居場所は自己回復の場かもしれない20年前に子育て中のお母さんたちのローカル福岡市大濠公園の夕方の風景。思い思いに過ごす人たちの上を、弾き語りの音と夕日が照らし出す 初台の公園。植物を植えたあとの楽しみがもうセッティングされている28
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