渋カツナビ2025
16/32

中島珠子さんがモデレーターをしている「リエ」は、若年性認知症の人とその家族のためのカフェだ。カフェといっても常設の店ではなく、月に1回ゆるく集まるだけである。若年性認知症とは、65歳未満で発症した認知症のこと。働き盛りで発症するため、本人だけでなく家族の生活にも影響が大きい。まだ子育てをしている人もいるし、本人を置いて家族が仕事に行くのも難しくなる。高齢者の認知症よりも人数が少ないためにサポートがなかなか行き届かず、また「知られたくない」という気持ちが本人にも家族にも強いこともあって、長く引きこもる人も多い。中島さんが若年性認知症の本人と家族のためのカフェを開こうと思ったきっかけは、当時40代後半の銀行勤めの女性が若年性認知症になって2年間も引きこもっているという話を聞いたこと。富ヶ谷で高齢者のための「たんぽぽカフェ」を主宰していたので、「月1回やってみようと。だけど、私より若い方だから、どうしたら仲良くできるかわからなくて……。それで、キッチンを借りて一緒に簡単なランチをつくったらどうかと思って、ご飯を炊いて天ぷらを揚げたり餃子をつくったり、お弁当を持って公園に行ったりしはじめたの」。回を重ねるごとに一人、また一人と増えていき、キッチンはだんだん手狭になっていった。なぜなら本人だけでなく家族も来るから。「ご本人もだけど、家族がつながれる場所をつくりたいと、ずっと思っていたんです。家族の人たちにとっては、思いを話せる場所が必要なんです。答えはなくてCaféマ居場所316“つながる”ことの大切さの本質は、つながりが居場所のひとつになれるということにある。認知症、特に若年性認知症で孤立する人たちにとって、同じ境遇の人たちと話ができる場所こそが大事なのだ。まちなかの“縁側”を増やしたいCaféマリエ 若年性認知症本人・家族の会

元のページ  ../index.html#16

このブックを見る