Little Nap Nap だら、自分も隣の人も店の一部でしょう」入りやすい店をつくろうとしたわけではない。メニューや備品も絞っており、開店当初は「優しくない」とクレームもあった。でも近所の人たちが、使いこなしてくれた。「不便だからこそ、そこにコミュニケーションが加わると、僕たちがなにを提案しているのか分かってくれ、信頼関係に変わっていく」スタッフは、店にくる客に「いらっしゃいませ」とは言わない。店は客にとって生活の一部だから。「『もうちょっと泥を取ってから、店に入ってこいよ』と笑って話しかけていた子どもたちが、いつの間にか大きくなって恋人を連れてきたりね。そういう関係の中、このまちに十数年います。世界で活躍するミュージシャンやクリエイターも、ここではすっぴんの日常として過ごす。それぞれの居場所になるよう僕らがエスコートしている感覚かな。余白があると、自分で遊びやマナーを見つけられる。そうして楽しんでいる大人を見た若者や子どもたちが『クールだな、やってみようかな』とSTANDから徒歩10分程度の場所に、焙煎機とROASTERS(リトルナップコーヒーロースターズ)」思ってくれたらそれで良い。言葉で説明するばかりが教育ではない。かっこいい大人の立ちふるまい、生き方から学ぶこともあるよね」濱田さんは2017年、Little 菓子を焼ける設備を持つ「を開いた。Little Nap COFFEEがあるからと、富ヶ谷に店を開いた人も多い。巣立ったスタッフの中には独立し、各地で店を出している人もいる。一つの店から地域に文化が広がっている。濱田さんに「まちにとってどんな店でありたいか」聞いてみた。すると、2011年に東日本大震災が起こった時、家に帰れない人々のため店で炊き出しをしたこと。2024年の能登地震の時、スタッフの発案で店で募金を集め、地域の仲間と共に被災地に行ったことを話してくれた。「普段は生活の一部で、なにかあったら集まれる。そういうことで良いのかなって」。地域のハブになる店の根っこを、そこに見た気がした。COFFEECOFFEE Little Nap COFFEE STAND9:00〜19:00 東京都渋谷区代々木5-65-403-3466-0074店内の様子。レコードに針を落とすことで流れる音楽にこだわっているオーナーの濱田大介(はまだ・だいすけ)さん。Little Nap COFFEE ROASTERSにて公園で自由に過ごす人たちが立ち寄れるよう、代々木公園近くにコーヒースタンドを設けた15
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