渋カツナビ2025
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そんな日々の中、「恵比寿じもと食堂」についての新聞記事を見かけた。石本さんは「こんな所でご飯を食べられたら」と思いつつ、「私の子どもたちは年齢が低すぎて迷惑をかけてしまうかも」と考えてしまう。「実際は、小さい子どもも大歓迎のこども食堂だったんですけどね。その時は、自ら足止めしちゃったんです。ママはいつもがんばってるね、今日は息抜きして良いよと言ってくれる場を、いつかつくれたらと思っていました」。ある日、広島時代から関係があったオタフクソースのシンポジウムに司会者として呼ばれた。そのテーマが、偶然にもこども食堂。感銘を受けた石本さんは、こども食堂を支援している一般財団法人お好み焼アカデミーの担当者に「私がこども食堂をやるとしたら、支援してくれますか」と話してみた一緒に過ごせている気がします。でも自分たちのそところ、「もちろん」と言葉をもらった。「やりたい気持ちはある、支援してくれる企業がある、渋谷区には場所もある。あとは私の勇気だけじゃないか。ここでやらなかったら後悔する」と、思い切って行動に移すことにした。勇気を出してママ友に「ママたちのためのこども食堂をやりたいから、手伝ってもらえませんか」とメッセージを送ったら、賛同してくれる人たちがいた。そして2020年8月に活動をはじめた。毎回、LINEグループで調理と配布会へのボランティア参加を呼びかける。現在、30人ほどがグループに入っているが、スタッフとして参加するかは自由で、ドタキャンも遅刻早退もOK。初めましての人も久しぶりの人も、一緒に料理をつくる目的と役割があるから、自然となじんでいく。「やっぱり、集まるのが楽しいんです。子育ての悩みを話したり、良い小児科や八百屋などの地域情報を交換したり。でも集うことの楽しさに加えて、自分がつくった料理がだれかの役に立つ、社会貢献ができる。それがあるから、みんな優しい気持ちでの日の夕飯は持ち帰ることにしてるんです。ボランティアはしんどかったら続かない。楽しく、無理をしないことですね」最近は、認定NPO法人フードバンク渋谷を通じて、NPO法人マナビファクトリーが運営する学習支援の場に料理を届けることもある。団体同士の連携ができたことで、本当に必要な人に届けられている充足感があると、石本さんは話してくれた。恵比寿ママ食堂月1回土曜日に景丘の家にて冷凍お弁当配布問合せ先:personality_sue_kei@yahoo.co.jp活動の拠点は「こどもと食」をテーマにした渋谷区の施設「景丘の家」。10人ほどが集まり調理が進む恵比寿ママ食堂立ち上げ人・石本景子(いしもと・けいこ)さんこの日のメニューはソースベースのハヤシライス。30人分をつくって個別に真空冷凍パックする13

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