― そして、大西さんはイベントを主催する側として、大山街道の整備、それから駅前広場の整備にどんなことを期待されますか?大西陽介:先ほども道玄坂はエンターテインメントの街だという話をさせていただきましたが、歩道の拡幅で余裕ができたら、さまざまな制度を活用して音楽やアートの路上パフォーマンスなど、エンターテインメントが建物の中だけではなく、公共空間に滲み出ている道玄坂になれたらいいなと地元の人間としては思っております。― 楽しい空間が広がるというイメージですね。続いて寄本さん、公共空間をイメージして活用したイベントと言いますと、「渋谷ファッションウイーク」が思い浮かびますが、公共空間をさまざまな形で活用されている取り組みについて教えてください。寄本健:渋谷ファッションウイークとしては、なるべくオープンに開かれた場所で多くの方に触れていただく、ということを目指しています。ですから、公共空間を上手く活用できないか、という視点で施策を組み上げています。公共空間は、もともとあるもの、作る途中で暫定的にあるもの、完成したものと3段階のステップがありますが、それぞれ今しか使えないユニークさがありますので、そういうこともイメージしながら施策を考えています。一例を挙げると、2021年にスクランブル交差点でランウェイを実施しました。通常であれば困難ですが、コロナ禍で来街者や交通量が少なくなったタイミングであったため、ランウェイができる可能性があるなということで、歩道を通る形でランウェイをさせていただきました。ランウェイ以外にも、街中でのアート展示やプロジェクションなど多くのことにチャレンジしており、開発のタイミングとうまく調整しながら公共空間を活用させていただいています。ただ、その上で大事なことは、多くの方がそれぞれの立場でさまざまな場所を適切に守っている。そういった方々と三位一体にならないとできないことなので、いつも大変感謝しながらやっています。― 公共空間ができた後、持続可能な形でまた活用していく施策などはございますか?寄本健:それはまさにここ東口地下広場です。この広場は道路ですが、さらに地下には雨水貯留槽があり、地上には広場やバスネットワークがあり、かつ、鉄道の改札と改札の間を通って渋谷スクランブルスクエアにつながっている場所です。そういった場所に特例的にカフェを出す、新しいサインシステムを作るなど、基本的な動線確保や案内などをしながら、にぎわいを作っていく仕組みを作りました。36
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