そして、街の分断解消については、アーバン・コア(P16参照)というアイデアを内藤先生が出してくださいました。ビルの真ん中にエレベーターがあると思いますが、それを外に出して公共空間を縦方向に移動させて外から見えるようにする。それが先生のアイデアで、多分世界で最初のものだと思います。結果的に、東西方向・南北方向に大変便利になりました。原宿・松濤・南平台・代官山・青山と周りに知名度の高い高級住宅地があるのに、実はこことつながっていなかったのです。渋谷駅と周辺の高級住宅地をつなぐことで、商業地を一体化すること、宮下公園の再生と駅街区とつなぐこと、また当時はオフィスがあまりなかったので、情報産業が集まるようにしました。ホテルも同様です。そして、広域圏から鉄道網でアクセスできるようにする(副都心線/みなとみらい線/埼京線/りんかい線/湘南新宿ライン/相鉄線)。そのようなことを積み重ねて、個性と多様性のある、遠くからも近くからもさまざまな層の人たちが来てくれる街になりました。私がフランスの道路局長と会話したとき、渋谷の仕事をしていると言ったら、「あの渋谷の魅力を潰すなよ」と言われました。それは雑然とした、あの雰囲気のことを言っていたのだと思います。当時は、明治通り沿いも大きなオフィスビルがなかったようなところですので、ただのビル街にしてはいけないと思いました。それから、新しい魅力と雑然さを並列するようなまちにしたいなと。そんな思いでまちづくりをしています。― 森地教授ありがとうございました。渋谷駅周辺の基盤整備では、渋谷川のリバーストリートや、JR線を横断する通路などが渋谷サクラステージの開業に合わせて開通しました。歩いて楽しいまちになることで渋谷の街の魅力がさらにアップしていきそうです。区長はどのようにお考えでしょうか?― 聞いているだけで、ワクワクしますね。また、西参道の美装化や大山街道の整備など、ウォーカブルな渋谷のまちづくりという所にも力を入れていらっしゃいますが、こちらに関してはどのように進めていらっしゃいますか?長谷部区長:この計画を楽しみにしていました。サクラステージができ、今後また新しい改札口もでき、ますます桜丘方面への利便性が向上すると思います。地域に住んでいる人にとっても、分断が解消され住みやすくなるのではと思っています。この先期待しているのは、代官山、恵比寿とつながり街が広がっていくことです。恵比寿と渋谷の間には、飲食店が徐々に増えてきています。それもユニークな、「渋谷発」みたいな人達が増えてきていますね。開発により新しい道ができて街が広がる。森地先生がおっしゃっていた、商業エリアと閑静な住宅街がうまくつながっていくことが描かれている。その後、どんな色が塗られていくのか、とても楽しみです。2027年度以降完成予定(仮称)26
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