平成30年第1回区議会定例会での発言

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    平成30年2月27日

(2月22日(木曜日)、第1回区議会定例会本会議で述べた長谷部健区長の発言を掲載します。)

本日ここに平成三十年第一回渋谷区議会定例会を招集し、平成三十年度予算案をはじめ、多くの議案についてご審議をお願いすることとなりました。
この機会に、当面する区政の課題について私の所信の一端を申し述べ、区議会及び区民の皆様のご理解とご協力を賜わりたいと思います。

一 初めに、予算編成にあたっての基本的な考え方について、申し上げます。
本区は、一昨年、新たに二十年後を見据えた「渋谷区基本構想」を区議会のご議決を得て策定し、区民が誇れる「成熟した国際都市」の実現を目指して新たな一歩を踏み出しました。
さらに昨年には、基本構想を具体的な施策に落とし込んだ「渋谷区長期基本計画2017‐2026」、「渋谷区実施計画2017」の策定も進め、基本構想実現に向けての諸計画が揃いました。平成三十年度当初予算案は、これらに基づいて編成した最初の予算案となります。
基本構想の理念「ちがいを ちからに 変える街。渋谷区」の実現に向けて、総合的・継続的に子育てを支援する「渋谷区版ネウボラ」や、笹塚、幡ヶ谷、初台地区の共有価値を高めるまちづくり「ササハタハツ・プロジェクト」、産官学民の連携によるオープンイノベーションを起こし、新たな文化の創出と渋谷の未来の創造を担う「一般社団法人・渋谷未来デザイン」の設立など、新たな取組を意欲的に盛り込むとともに、地域コミュニティの活性化を目指す「渋谷おとなりサンデー」など、これまでに着手してきた取組についても加速してまいります。
また、喫緊の課題である待機児童対策や開催まで三年を切った東京二〇二〇オリンピック・パラリンピック競技大会の機運醸成の取組などについても、手を緩めることなく進めてまいります。
さらに、平成三十年度は新庁舎がいよいよ竣工し、業務を始める年度でもあります。新たな総合窓口や案内表示など、区民の利便性の向上を目指すとともに、ICT化の推進、業務の効率化、執務環境の変革、職員意識の改革によるワークスタイル改革を実現し、ハード面だけではなくソフト面においても、利便性と効率性を兼ね備えた新庁舎を目指します。
諸施策の実施にあたっての財政的裏付けは、堅調な伸びが見込まれる特別区民税収等に求めていますが、一方で、地方消費税の帰属をめぐる清算基準の見直しや、ふるさと納税の定着等に伴う影響も懸念されるところです。
こうした歳入見通しを総合的に勘案し予算編成を慎重に進めた結果、昨年を上回る大型予算を編成することにしましたが、その伸び率は、対前年度比1.2%の微増に抑え、基本構想実現に向けた多くの提案を盛り込みつつも「持続可能な行財政運営の構築」の視点も強く意識した予算としています。

二 こうした考え方に基づいて個別分野ごとに説明します。
(一)まず、子育て・教育・生涯学習の分野についてです。

  1. 平成三十年度の子育て支援の中心的施策となるのは、「渋谷区版ネウボラ」の構築です。
    昨年の第三回定例会において、建物の設計予算をご議決いただいた神南分庁舎跡地を拠点として、妊娠期から十八歳までの子育てについて、健康推進部、子ども家庭部、教育委員会の連携のもと、一貫した支援を行う体制を構築します。昨年十二月には、私自ら担当職員とともにフィンランドに視察に行ってまいりました。フィンランドでは「妊娠したら、まずネウボラに行く」と言われ、そこでは出産前から就学前までの切れ目のない子育て支援が受けられます。現地では、ネウボラナースとの意見交換を行うとともに、従来の「ネウボラ」に加えて、小学生以上の子どもがいる家庭まで対象を拡大した「家族センター」の設置や、ショッピングセンターや図書館などと併設した利便性を重視した「都市型ネウボラ」の展開など、さらに利用しやすく満足度の高い機関とするための取組を視察しました。この視察の成果をもとに、神南分庁舎跡地における「渋谷区版ネウボラ」は、妊娠期から十八歳までの人がいる家庭を対象に、ライフステージや課題に応じて相談員が継続してチームで対応する総合相談体制を整え、子育て支援、健康相談、専門相談を一体化した施設として設置いたします。まず来年度は、建て替えを待つことなく、母乳相談を拡充するとともに産後の不安解消やうつ予防を目的として、休息が必要な産婦に助産施設等に宿泊してもらう「宿泊型産後ケア事業」を開始します。また、要支援家庭を対象とした「子どもショートステイ事業」も開始し、保護者と児童それぞれに支援をすることで、虐待の予防や子育て負担の軽減を図ります。さらに、医療の面においても、子どもを持つ全ての家族が安心できる医療体制を充実させるために、平日夜間の「小児初期救急診療」を開始します。これらの事業は、施設完成時の本格実施に向けて「渋谷区版ネウボラ」の有効なツールとして展開してまいります。
  2. 次に、区政の最重要課題の一つである待機児童解消と保育の質の確保についてです。
    本年四月には「認可保育園」を七園開設するほか、十月には「認定こども園」一園の計八園の開設を予定しており、認可定員を合計で七百二十二人増やします。これにより、私は、区長就任以来、保育施設の開設等により、千八百人を超える定員増を図ってまいりました。また、平成三十一年度における重点的な整備地域である恵比寿地域、千駄ヶ谷・神宮前地域、笹塚地域での保育施設開設に向けた取組を進めており、今後も定員拡大にスピード感を持って努めてまいります。こうした中で、本区の待機児童数は、一昨年四月の三百十五人から昨年四月の二百六十六人へと減少しておりますが、本年四月には、さらに前年比で百人程度減少できる見込みです。これからも施設整備にあたっては、引き続き保育園入園を待ち望む多くの区民の皆様の期待に応えるべく、近隣住民の方々のご理解ご協力を得られるよう努めながら、区議会とも連携して取り組んでまいります。さらに、こうした施設整備に加え、今年度から実施している「企業主導型保育所における区民枠の確保」や、待機となった児童の居宅にベビーシッターを派遣する「居宅訪問型保育事業」、「認可外保育施設の利用者への保育利用料の一部助成」のほか、新たに、保育施設の空きスペースにおいて、待機児童を一時的に受け入れる「期間限定型保育」を実施するなど、引き続き多様な手法により、増加する保育需要に適切に対応してまいります。一方、こうした待機児童対策と両立させるべき重要な課題は、良質な保育・教育の確保です。現在も公立保育園の園長経験者による新設保育園等への巡回指導を行っていますが、これに加えて平成三十年度からは、保育施設の増加に対応すべく、重大事故防止や若手保育士支援、保育の質に関する助言・指導等を行う専門巡回員を新たに配置し、指導・支援体制のさらなる強化を図るとともに、区内保育士のスキルアップを目的とした研修体制についても充実を図ってまいります。
  3. 次に、教育における取組です。
    私はかねがね、教育の機能は、子供たち一人ひとりが自らの可能性を最大限に発揮し、よりよい社会と幸福な人生の創り手となっていけるようにすることだと考えています。したがって、教育の在り方を考えるとき、社会の在り様を見通すことが大切です。社会は急速に変化しており、今の子供たちが大人になる頃には、現在とは大きく異なる社会で生きていくことが求められます。そのため、教育行政は、社会変革を見据えた積極的な取組を展開することが必要であると考えています。まず、ICT教育についてですが、昨年九月から、携帯電話回線を用いたタブレット端末を区立の小・中学生全員に一人一台貸与し、いつでもどこでも学習できるICT環境を実現させました。本年四月からは、その本格実施のフェーズに入ります。子供たちが、いつでもどこでも当たり前にタブレット端末を活用し、学校や家庭、遠足先などで情報の収集や編集をしたり、離れた地域にいる人々と交流しながら学びを深めたりといった、渋谷区独自のICT環境の特性を最大限に生かした学習が展開されるよう、継続的な支援を行っていきます。次に、「コミュニティ・スクール」の充実についてですが、教育委員会から、来年度以降、全ての区立小・中学校に学校運営協議会を設置して「コミュニティ・スクール」化する方向であるとの報告を受けています。社会変革を見据えたとき、「よりよい学校教育を通してよりよい社会を創る」という理念を学校と地域社会が共有し、協働することが大切です。学校運営協議会の設置が、それを力強く推進することになるものと私も考えますので、「コミュニティ・スクール」の充実に向け取組を進めてまいります。具体的には、学校運営協議会が、活動の充実のために計画した取組に対し、その内容に応じた補助金を交付する仕組みを創設するとともに、地域の教育資源と学校教育とのマッチングを図るコーディネーターを置いて、学校と地域社会が円滑に協働する体制を構築していきたいと考えています。

(二)次に、福祉の分野についてです。

  1. 現在、来年度から新たに始まる「第7期渋谷区高齢者保健福祉計画及び介護保険事業計画」の策定を進めています。
    昨年五月に福祉・保険・医療の各分野の専門家や被保険者の代表者などの委員から構成される「渋谷区介護保険事業計画等作成委員会」に対し、「第7期計画」の策定のための基本的方向について諮問しました。その後、作成委員会及びその作業部会である起草委員会を十回開催してご議論いただき、今月七日に答申を受けたところです。答申には、介護保険サービスの安定した運営はもちろんのこと、超高齢社会において、生涯にわたりお元気にご活躍いただくことを支援する「生涯現役サポートセンター」の設置も盛り込まれております。  多様化する高齢者のライフスタイルに合わせた施策が展開できるよう、早急に「第7期計画」を策定してまいります。
  2. 障害者福祉についても、「渋谷区障害者保健福祉計画(第6次)渋谷区障害福祉計画(第5期)・渋谷区障害児福祉計画(第1期)」の策定に向けて、計画説明会やパブリックコメントを通して区民の皆様から多くのご意見をお寄せいただきました。
    計画を具体化する施策として、平成三十年度に、相談の専門施設である「基幹相談支援センター」を新庁舎内に開設します。また、障害のある人のためのサービスについても、障害者団体連合会から重点項目としてご要望のあった移動支援のうち、通学支援の利用範囲に自宅からスクールバスの停留所までの往復を新たに加え、これまで特別支援学校小学部、中学部までとしていた対象者を、高等部の在学生まで拡充します。また、移動支援のヘルパーが不足している状況を踏まえ、新たに区主催のヘルパー養成研修を実施し、人材の確保にも努めてまいります。加えて、障害のある人が多様な働き方を選択できるよう、新庁舎移転後に、知的障害のある人を臨時職員として雇用する取組を新たに開始します。障害特性に応じて助言、指導する「ジョブコーチ」も配置し、民間企業等での就労に向けて、着実にステップアップできる体制を整えてまいります。
  3. 次に、「ハウジングファースト事業」の拡充についてです。
    本区では、ホームレス支援策として平成二十八年度から、自治体としては先駆的な取組として、区内に起居するホームレスを対象に、安心して暮らせる住まいの確保を優先し、地域生活への円滑な移行を支援する「ハウジングファースト事業」を実施しています。平成三十年度は、借上げシェルターを増やし、ホームレスの社会復帰に向けた取組をさらに拡充します。この事業では、路上生活の段階からしっかりしたアウトリーチを行い、対象者が自らの意思で社会復帰に向けた支援を選択し、シェルターでの地域生活の体験、個々の状況に合せた支援を通じてアパートへの入居につなげています。地域生活への移行後についても、地域で孤立し、路上生活に戻ることがないよう継続して支援を行っています。また、関係づくりから支援の終了までを一貫して同じ支援員が寄り添うパーソナルサポートを行うことで、現在まで多くの方が社会復帰を果たしています。本区では、今後も引き続き福祉行政の立場から、ホームレスの社会復帰に向けた支援を進めてまいります。
  4. さらに、福祉施設整備については、本年五月に開設予定の特別養護老人ホーム「つばめの里・本町東」に引き続き、特別養護老人ホームを中心とした複合施設「(仮称)高齢者ケアセンター跡地複合施設」並びに、区営住宅のほか、高齢者及び障害者施設、保育園を併設する「(仮称)恵比寿西二丁目複合施設」の建設に着手するとともに、「はぁとぴあ原宿」を増築するための設計費用を計上し、高齢者及び障害者施設の充実に取り組んでまいります。

(三)次に、健康・スポーツの分野についてです。
 現在、韓国で開催されている「平昌オリンピック冬季大会」では、「スキーフリースタイル男子モーグル」に日本代表として出場した渋谷区立広尾小学校、広尾中学校出身の原大智選手が、見事銅メダルを獲得しました。私も渋谷区民として心が躍りました。
「渋谷区から世界に羽ばたくオリンピック・メダリストの誕生」という快挙の中、東京二〇二〇オリンピック・パラリンピック大会へ向けた開催準備をより一層推進していきます。
まず、区内開催競技の最高峰のプレイを間近に観戦できる「リアル観戦事業」について、新たに陸上競技を加えるとともに、さらに多くの区民の皆様に「見て、知って、感じて」いただくために、内容を拡充してまいります。
また、多様な個性が交じり合った文化・音楽・ファッションなどを観て感じ合う「文化プログラム」は、二〇二〇年に向けた「プレ・コミュニティライブサイト」として、地域や区内大学などとも連携し、皆が笑顔になるようなプログラムにしたいと思っています。
そして、大会時に選手や来街者に対して、渋谷区ならではの応援やおもてなしを行う一環として、「区独自のボランティア制度」を立ち上げ、リアル観戦事業などで活動や研修を重ね、大会後もレガシーとして、ボランティア文化が継承・発展していけるように取り組んでいく考えです。

(四)次に、防災・安全・環境・エネルギー分野についてです。

  1. 平成三十一年には、新庁舎移転に伴い、現在ヒカリエにある災害対策本部も新庁舎に移設されます。
    新庁舎での業務開始に合わせて、従来のシステムの長所を集約した第三世代(ハイブリット型)の防災システムを構築します。これにより、「区がシステムを使いこなす」から「システムが区を支援する」へと転換します。「災害時こそ真価を発揮する」をコンセプトに、新防災システムでは、システムに不慣れな者も直感的に簡単に取り扱うことができるとともに、スマートフォンやタブレットを活用し、区と区民・来街者が双方向でつながる「使いやすさ」と「見やすさ」を可能な限り追求し、ポータルサイトやアプリ・SNSと密に連携し、「知りたいことがすぐ探せること」で、区民・来街者の安全・安心を守っていきます。
  2. 続いて、帰宅困難者対策についてです。
    外国人旅行者を含む、多くの来街者を抱える本区にあっては、帰宅困難者対策が重要です。「渋谷駅周辺地域」においては、多くの事業者によって、平成二十一年に「渋谷駅周辺帰宅困難者対策協議会」が設立され、「渋谷駅ルール」を策定し、毎年、ルールの実証のために帰宅困難者対策訓練を実施し、スキルアップを図っています。本年二月、新たに「原宿・表参道駅周辺地域」において、帰宅困難者による混乱防止のため地元商店会や事業者等の協力により、「原宿・表参道駅周辺帰宅困難者対策協議会」が設立されました。今後、「原宿・表参道地域」の「エリア防災計画」を策定し、この計画に合わせ、ワークショップや訓練を行い、自主的な対策を進めていきます。さらに、平成三十年度には、乗降客数が多い「恵比寿駅」を中心とした地域において、「(仮称)恵比寿駅周辺帰宅困難者対策協議会」の設立に向け取り組んでまいります。
  3. 次に、民泊についてです。
    東京二〇二〇オリンピック・パラリンピック大会の開催に向け、インバウンドへの対応が迫られるなか、昨年六月に制定された住宅宿泊事業法が本年六月十五日から施行され、新たに、いわゆる民泊(住宅宿泊事業)が開始される運びとなりました。住宅宿泊事業法の施行にあたり、公開形式での「民泊あり方検討会」の開催や、意見募集の実施により、区民の皆様をはじめ、関係団体を含む幅広いご意見をお聞きし、「安全安心」と「地域活性化」の両面から検討を重ねてまいりました。検討の結果、住宅宿泊事業を行うことができる区域と期間について一定の制限を設けた条例案を本定例会に提出しております。これに合わせ、健康推進部内にコールセンターを設置するほか、東京消防庁OBを非常勤職員として採用し、相談・指導体制を強化します。
  4. また、本区は、安全・安心なまちづくりの推進及び良好な生活環境と教育環境の向上を図ることを目的として、平成十八年に「渋谷区ラブホテル建築規制条例」を制定しております。
    本条例においては、ラブホテルを定義付ける構造、設備等について規定し、厳格な運用を行ってきた結果、新規のラブホテルの建築を完全に抑制してまいりました。その一方で、本条例の規制により一般ホテルを建築することも容易なことではなく、本区内の宿泊施設が近隣区に比べて著しく少ないという現状の一因になっていることも否めません。条例施行から十二年が経過する中、新たに住宅宿泊事業が開始されることとなり、これと合わせて、昨年十二月には旅館業法が大幅に規制緩和される方向で改正され、本年六月十五日から施行される予定です。これら関係法令との整合性を図るため、ラブホテル建築については、今後とも厳格に抑制を図りつつ、一般ホテルの建築については、一部規制を見直すことを目的として、この度、「渋谷区ラブホテル建築規制条例」を改正することとしました。
  5. 次に、防犯カメラの増設についてです。
    今年度までに、全小学校の通学路に九十台の防犯カメラを設置しましたが、東京二〇二〇オリンピック・パラリンピック大会を見据え、安全で安心な都市基盤の充実を図るため、平成三十年度と平成三十一年度の二か年でさらに百台増設するほか、区立公園にも二十四台のカメラの増設を行います。
  6. 次に、これからの環境政策についてです。
    本区は、これまで、区民をはじめ、事業者、区等のたゆまぬ努力により、大気環境の改善、ごみの排出量削減と再資源化、まちの美化の推進、区内の緑の維持等を図ってまいりました。しかし、本区が成熟した国際都市へと成長し、世界的な問題である気候変動問題や持続可能な社会の形成に対して、地域から貢献していくためには、ライフスタイルやビジネススタイル、都市の構造、社会の在り方を見直し、環境とまちの活力が調和した持続可能な社会への転換を進めていくことが必要です。このような考えのもと、基本構想に基づき、環境に関する国内外の社会情勢の変化や省エネルギーの技術革新等、持続可能な社会の実現に向けた様々な取組を踏まえ、「渋谷区環境基本計画」の改定に向け、現在最終の取りまとめを行っているところです。この計画では、「わたしが動く。渋谷が変わる。~行動が社会を変え、社会の変化が意識と行動のさらなる変革を生む持続可能な仕組みづくり~」を環境政策における本区の目指す姿とし、「くらし」、「みどり・生きもの」、「資源・ごみ」、「エネルギー・温暖化対策」及び「意識」の五つの分野別に施策を展開することとしております。また、その中でも重点的に事業を進めることで、計画全体の推進につなげていく施策をリーディングプロジェクトとしてそれぞれ位置付ける予定です。計画策定後は、まずは計画をより多くの区民、事業者等に知ってもらい、一人ひとりの環境に対する意識が向上し、行動に参加してもらえるよう、動画の作成やシンポジウム等を開催し、普及啓発活動に力を入れてまいります。また、この計画を迅速かつ的確に推進し、実効性のあるものとするため、環境に関する政策を総合的に推進する組織として、この四月に新設する、環境政策部を中心とし、関係所管が連携して施策を推進してまいります。今後も区民、事業者そして来街者並びに区が一体となって、良好な環境の保全、創出に向けた取組を進め、環境にも配慮した都市空間を形成し、成熟した国際都市の実現を図ってまいります。

(五)次に、空間とコミュニティのデザイン分野についてです。

  1. 初めに、「渋谷おとなりサンデー」についてです。
    地域の活力を強化するために、「渋谷区新たな地域活性化のための条例」を昨年施行し、その具体的施策の一つとして「渋谷おとなりサンデーの日」を六月の第一日曜日に定めました。「渋谷おとなりサンデー」は、隣近所の人達が食事の持寄りなど、さまざまな自発的活動を通して顔見知りになることで、防犯・防災・コミュニティの醸成などの地域課題を共有し、世代を超えた地域活性化につなげる取組です。昨年は、渋谷キャストをメイン会場にショーケースを開催し、区内各所で清掃活動や食事会、道路・公園での昔遊び、子育て相談など多様な「おとなりサンデー」が行われました。今年は、区内全域で街路灯にフラッグを掲出するなど商店会とも連携し、新たに笹塚・幡ヶ谷地区にショーケース会場を置き、区内百か所以上で様々な「おとなりサンデー」が行われることを目指します。区では、専用のホームページを設け、区ニュースや渋谷のラジオで周知を行うなど、新たな地域活性化に向けた取組を強力にバックアップしていきます。
  2. 次に、「ササハタハツ・プロジェクト」についてです。
    平成二十九年度から、笹塚・幡ヶ谷・初台の三地区の頭文字を合わせた「ササハタハツ地域」の町会等の住民、商店会等の事業者、企業やNPO等地域に関心のある人々が集まり、お互いの違いや強みを引き出しながら創造的に対話する、「まちづくりフューチャーセッション」をスタートしました。今年度は、四回の「フューチャーセッション」を開催し、毎回五十名を超える方々にご参加いただき、「ササハタハツ地域」の未来像となる共有価値ビジョンを創りあげ、その実現に向けて多くのプロジェクトチームを立ち上げました。平成三十年度は、玉川上水旧水路緑道や水道道路といった地域を横断するストリートを活用して、各プロジェクトを実験的に試行し、地域のまちづくりの交流の場となる「(仮称)まちラボ」の設置を目指します。平成二十九年度から三か年、「まちづくりフューチャーセッション」を実施することにより、「ササハタハツ地域」の新たなストリートカルチャーを形成し、公園や空きスペースといった低未利用空間のプレイスメイキングを構想し、「ササハタハツ・ブランド」を創設して地域のシティプライドを高め、住みたい、働きたい、訪れたいまちとして、地域の価値の向上を図ってまいります。

(六)次に、文化・エンタテイメントの分野についてです。
「一般社団法人 渋谷未来デザイン」は、基本構想で示した「ダイバーシティ&インクルージョン」、「ちがいを ちからに 変える街。渋谷区」の考え方を、まちづくりの分野にも取り入れるため設立する新たな団体です。
区民や渋谷に集まる企業、大学など多様な人々のアイデアや才能を結集し、オープンイノベーションを起こし、行政だけでは、なかなか解決できない社会課題について、創造的解決を図ります。例えば、道路、公園などの公共空間について、利用者にとって、さらに価値のある新しい活用の方法を生み出すなど、未来の都市の可能性と、多様な人々が実現したい夢をデザインする仕組みとして「渋谷未来デザイン」を立ち上げ、新たな文化を生み続けるまちを目指します。
「渋谷未来デザイン」の設立趣旨に賛同していただき、パートナーとなっていただける企業がすでに十社程度、また、この組織と一緒になってプロジェクトに取り組みたいという大学も出てきています。
まさに、多様性のあるまち渋谷ならではの、産官学民が連携したまちづくりの新しい取組が、四月からスタートします。

(七)次に、産業振興の分野についてです。
商工会館・消費者センターは、これまで産業と消費者行政の拠点として区民に親しまれてきました。同センターは、昭和五十五年に開館した施設ですが、建物の躯体はしっかりとしており、内部をリノベーションする手法により、多機能・多目的な利便性の高い施設に変換し、コンパクトで効率的な産業振興の拠点として整備してまいります。
基本構想に基づき、大きなビジネスと小さなビジネスが理想的に協働するまちを目指し、関連機関の集積や新たなビジネス、実験的なプロジェクトなどにも対応できる体制を整え、さらなる産業振興施策の発展につなげてまいります。

(八)最後に、区政運営、その他についてです。
平成三十年度にはいよいよ新庁舎が開設されます。これは単に建物が新しくなるというだけではなく、区民サービスの向上、職員のワークスタイル改革による生産性の向上、効率化、労働環境の改善を図るためのもので、区民窓口の改善、ICT基盤の整備、ユニバーサルオフィスを視野に入れた家具什器類の更新等、必要な投資を行います。今後は新オフィスの働き方に合わせた職員の意識改革にも取り組んでまいります。

  1. まず、情報発信機能の強化と区民サービス向上についてです。
    情報の取得手段や取捨選択がユーザー主導となっている今日、行政においても、情報リーチの高さを確保するとともに、鮮度の高い情報をより双方向性をもって発信していくことが重要です。この課題に対応するため、私は区長就任以来、「オウンドメディアの強化」に努めてまいりましたが、とりわけウェブサイトについては、モバイルファーストのデザインを採用し、検索機能も強化する等、より使いやすく分かりやすいものに刷新いたしました。さらに、来年度は、フェイスブックやインスタグラムなどSNSの拡充や民間メディアと連携したコンテンツの配信を含め、区民をはじめとする区に係わる全ての人との「情報共有のプラットフォーム」を構築してまいります。また、区民の質問や疑問に対する一時解決率を向上させるために、本年三月末を目途に、ウェブサイト上にFAQ(よくある問い合わせに対する回答)を公開するとともに、新庁舎移転後は、現在の電話交換業務をコールセンターへと刷新するための準備を開始し、一層の区民サービス向上を目指してまいります。
  2. 次に、ICT基盤の整備についてです。
    社会課題が複雑多様化し、しかも変化のスピードはますます速くなっています。これからの行政には、さまざまな地域課題に対し、迅速かつ柔軟に対応していく機動力が一層求められています。そのため、新庁舎移転を契機に、行政の機動力を支える区の情報システムやネットワークなどのICT基盤を刷新し、多種多様な課題に対し、よりタイムリーな対応を行ってまいります。加えて、窓口機能の充実をはじめ、各種手続きの簡素化などを実現し、区民の利便性の一層の向上と行政コストのさらなる低減を図ります。また、ICT基盤の整備をきっかけに、職員のワークスタイルを改革し、働きやすさと生産性を高め、「働き方改革」の「先進モデル自治体」を目指してまいります。
  3. 事業説明の最後になりますが、男女平等・多様性社会推進に関する事業についてです。
    渋谷区男女平等及び多様性を尊重する社会を推進する条例に基づき、平成二十七年十一月から開始した「渋谷区パートナーシップ証明」ですが、現在までに二十五件の交付を行い、交付された方や、社内制度を対応させた企業への調査では、本区の取組への評価の声を頂いているところです。また、協力事業者と行う「しぶやレインボー宣言POP」事業など、地域での啓発にも取り組んでいますが、一方で、他の自治体や学校等においても男女平等と多様性社会に関する取組が始まっており、本区の男女平等・ダイバーシティセンターへの視察等も、今年度はすでに百件を超えるなど、関心が高まっています。これら自治体間の情報共有、意見交換の機会をさらに有効なものとして事業に生かしながら、区民のだれもが、自分らしく生きられる街を目指して、引き続き適切に施策を推進してまいります。

三 最後に、財政規模について申し上げます。
平成三十年度一般会計歳入歳出予算額は九百三十七億六千八百万円であり、前年度比1.2%の増となっております。これは、これまで申し上げたとおり、子育て支援をはじめ、超高齢社会への対応及び福祉の諸課題への対策、災害対策の強化等、区民福祉に係る諸施策の充実や活力に満ちたまちづくりを推進するなど、「渋谷区基本構想」の実現に必要なものです。
これに国民健康保険事業会計等の三特別会計、四百四十五億九千七百二十万八千円を加えました各会計の合計額は、一千三百八十三億六千五百二十万八千円で、前年度比2.7%の減となっております。
 本定例会には、ただいま申し上げました予算案等を含め、条例案十九件、平成二十九年度補正予算案一件、平成三十年度当初予算案四件、その他議決事項三件、人権擁護委員の諮問三件をご提案しております。
 よろしくご審議のほどお願い申し上げます。