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令和5年第1回区議会定例会での発言

更新日

2023年4月12日

(令和5年2月21日(火曜日)、第1回区議会定例会本会議で述べた長谷部区長の発言を掲載します。)
令和5年第1回定例会 区長発言

私は、平成31年4月に、区民の皆様の温かいご支援を賜り、渋谷区長として2期目の区政運営を担うこととなり、早4年がたとうとしています。この4年間を振り返りますと、直近の3年間は、新型コロナウイルスという未曽有の危機への対応に最優先で取り組んでまいりました。
まず、区議会とも連携して迅速なワクチン接種の普及に努めるとともに、保健所職員を増員し、感染者対応を行いました。
学校においては、登校自粛中にも子どもたちに教育の機会を失わせることのないよう支援を行い、保育園は全区立園を臨時休園としながらも、エッセンシャルワーカーなどコロナ禍でも保育を必要とする方に対し、拠点園での特別保育を実施しました。福祉施設については、入所者やそのご家族の安全・安心を確保しつつ、サービスを滞らせることのないよう、適宜、必要な対策を取ってまいりました。
一方、コロナ禍で大きなダメージを受けた区内事業者に対しては、感染症の影響を注視しながら、様々な支援を行ってきました。昨年末には、渋谷区独自のデジタル地域通貨「ハチペイ」を導入し、地域産業をより力強く応援しているところです。
行政手続においては、人との接触機会を減らすため、手続のオンライン化を推進するとともに、デジタルの苦手な高齢者に向けてのデジタルデバイド解消事業に取り組みました。また、くみんの広場やおとなりサンデーをオンラインで実施するなど、デジタルを活用した区民交流の機会を作ってまいりました。
他方、この4年間には、渋谷区子育てネウボラや渋谷生涯活躍ネットワーク・シブカツ、渋谷ユナイテッドの立ち上げや、玉川上水旧水路緑道や西参道の再整備など、区民のウェルビーイングやシティプライドの向上につながる様々な施策を推進してきました。
例として進化させるため、附属機関である「渋谷区男女平等・多様性社会推進会議」に諮問を行い、方向性や考え方についてご審議をお願いしています。今後の答申を踏まえ、来年度中には条例案を取りまとめる予定です。
そして、現在「渋谷区男女平等及び多様性を尊重する社会を推進する条例」を新たな人権課題に対応し包括的な人権条今後も「ちがいを ちからに 変える街。渋谷区」の未来像に向けて、街と人の可能性を育みながら、区民福祉の更なる増進を図るため、誠心誠意、区政運営に尽力してまいります。
以下、具体的な施策について申し上げます。

1 初めに、教育についてです。
今年は、いよいよシブヤモデル「未来の学校」の実現に向けた取組が本格的に始まります。
既に、神南小学校、広尾中学校及び松濤中学校について新校舎基本計画の策定が進められ、仮設校舎「青山キャンパス」も着工に向け準備中です。また、代々木中学校とスポーツセンター仮設校舎の具体的な検討もスタートします。
こうしたハード面の取組とともに「未来の学校」で展開していく新しい教育プログラムの研究を精力的に進め、仮設校舎の段階から試行的に実装していきます。
デジタル時代の大きな転換期に、子どもたちの可能性を最大限に引き出し、新しい価値を生み出すことができる「未来の創り手」を育むために、渋谷の教育を新たな学びへと転換させていきます。

2 次に、スポーツ振興についてです。
これまで「シブヤ部活動改革プロジェクト」では、9種目のクラブで子どもたちのニーズに応えた活動を行ってきました。来年度からは、国においても部活動の地域移行に向けた実証事業が本格化します。本区では、代々木中学校と原宿外苑中学校の2校をモデル校として、教育委員会とも連携を図り、部活動の地域移行に取り組んでいきます。
また、あらゆる世代が生涯を通じて様々なスポーツ・文化活動を楽しめる「総合型地域クラブ」を目指し、水泳や陸上教室などの自主事業も拡充していきます。
さらに、スポーツをめぐる環境や課題の変化に対応したスポーツ振興を促進するため、「渋谷区スポーツ推進計画(第二期)」の策定に向けた検討を行ってまいります。

3 次に、福祉について2点です。
1つ目は、重層的支援体制整備事業についてです。
現在、4月からの本格実施に向けて、スローガンである「つながる、みまもる、ともにいきる 渋谷」の実現のため「重層的支援体制整備事業実施計画」を取りまとめつつ、事業スタートの準備を進めているところです。
具体的には、地域福祉コーディネーター13名を配置し、従来の制度や枠組みの中では十分に対応できない、いわゆる「制度のはざま」で困りごとを抱えている方に寄り添い、地域の中で生活し続けるための課題解決に向け伴走しながら支援する体制を整えていきます。
また、本事業の入口となる「相談支援」については、各所管の窓口全ての「断らない相談窓口」化を進めるとともに、どこに何を相談すればよいか分からない方のために「福祉なんでも相談窓口」を区役所2階と文化総合センター大和田9階に設置します。
さらに、NPOや地域団体と協働で取り組むため、日常的な連携の場を整備します。
2つ目は、神宮前三丁目障がい者施設についてです。
ハード面で工事が順調に進むとともに、ソフト面では、指定管理者や障がいのある方々の家族団体との意見交換会を定期的に実施し、ご意見を踏まえながら様々な検討を進めています。今後、利用者向けの説明会も実施し、来年12月の開設に向けて、引き続き運営準備に取り組んでまいります。

4 次に、支援が必要な子どもへの支援体制についてです。 
多様化・複雑化する子どもと家族の課題に対し、支援体制を強化するため、渋谷区子育てネウボラでは新たに「保育所等訪問支援」事業を開始します。この事業は、支援を必要とする子どもを対象に、保育園や放課後クラブ等、子どもが日中過ごしている場所に専門職が訪問し、直接、発達支援を行うものです。
子育て支援施設が事業所となり、このようなアウトリーチ型支援を行うことは、他に類を見ないものです。一人ひとりの発達に応じたオーダーメイドの支援を行うことで、送迎に伴う保護者の負担を軽減させ、就学後の切れ目ない支援をより充実することができます。
さらに、本年10月開所予定の「児童発達支援センター」で行う事業も含め、保護者のライフスタイルに合わせて選択できる幅広い支援が可能となります。

5 次に、防災・安全について3点です。
1つ目は、渋谷区安全・安心パトロール警備事業についてです。
これまでも客引き行為、路上喫煙や落書きの防止対策など、街の安全・安心を守る取組を行ってきましたが、最近は路上飲酒に起因するごみの放置や騒音、路上でのスケートボードによる迷惑行為など、区民の快適な生活を脅かす新たな課題が生じています。
そこで、広範囲な警戒が可能である青色防犯灯付きパトロール車による区内全域24時間365日のパトロールと、不法行為の抑止力につながる徒歩による渋谷駅周辺地域のパトロールを併せて行う事業を実施します。
事業の実施に当たっては、区内の警察署と連携し、各種迷惑行為の防止はもちろんのこと、児童等の登下校時の安全確保や特殊詐欺被害防止などの犯罪の抑止を図り、街の治安の向上、区民及び来街者の安全・安心の確保を強力に推進していきます。
なお、このパトロール車については、全て環境に配慮した電気自動車とし、台風や地震などの災害時には、移動式の電源としての活用も想定しています。
2つ目は、防災行政無線の更新についてです。
災害時に避難情報を音声で広く区民の皆様に届ける方法として、公園など屋外に設置している固定系防災行政無線がありますが、この機器が設置後10年以上を経過し、老朽化してきたことから、新しいデジタル方式を取り入れた、より聞こえやすい防災行政無線への更新を行います。
また、災害時に携帯電話等が使えなくなった際、災害対策本部と避難所や関係機関との通信手段となる移動系防災行政無線についても更新します。操作性に優れたスマートフォンタイプの機器と、災害時の通信に信頼性が高いMCAアドバンス無線を導入することで、災害即応体制の充実を図ります。
3つ目は、防災職員住宅の整備についてです。
本区では、夜間や閉庁時間帯に大地震等の災害が発生した際に、速やかに情報収集を行い、初動対応を行う職員の確保が喫緊の課題となっています。
既に、防災職員住宅が区内に5か所(38戸)ありますが、既存の防災職員住宅が区北部に偏っているため、来年度中には、区南部に民間住宅を借り上げた「恵比寿防災職員住宅(仮称)」を5戸確保します。さらに、令和6年度中には、区立みらい保育室跡地に新たに防災職員住宅(14戸)を整備し、本区の災害即応体制を強化してまいります。

6 次に、自転車を活用したまちづくりについてです。
自転車は、手軽で便利な乗り物として、環境負荷の低減、健康増進などに有用な交通手段である一方、自転車関連事故の多発や一部の利用者による危険運転、放置自転車などが社会的な問題にもなっていました。 
そこで、自転車の利便性増進及び交通安全の確保など、自転車活用の総合的な推進を図るため、令和2年4月に「渋谷区自転車活用推進計画」を策定し、4つの重点プロジェクト「はしる、とめる、まもる、いかし・つなぐ」を推進してきました。現在、恵比寿、代官山、笹塚、幡ヶ谷地区を重点地区とし、産官学民協働による自転車が共存する「地区まちづくり」の実現に向けた取組が動き始めています。
こうした自転車を活用したまちづくりの取組を支援するとともに、自転車利用者が守るべき事項や、事業者、区民、保護者等といった関係者の役割を明らかにし、自転車の安全で適正な利用を促進するため、本定例会に「渋谷区自転車を活用したまちづくり条例」の制定について議案を上程しました。各地区において関係者が連携したまちづくりの更なる推進と、誰もが安全で快適に自転車を利用できる社会環境の一層の充実を目指してまいります。

7 次に、玉川上水旧水路緑道の再整備についてです。
これまでササハタハツ会議や出張座談会などを開催し、多くの区民の皆様と意見交換を重ねてきました。また、広報紙の各戸配布や動画配信などにより普及に努めてまいりました。引き続きこうした取組を行うとともに、来年度には、玉川上水旧水路緑道のうち笹塚緑道や大山緑道の一部をモデル区間として先行的に整備し、これにより、生まれ変わった緑道を実際にご利用いただき実感していただけるものと考えています。今後も、緑道が魅力的な空間となるよう、区民の皆様と共に創り上げてまいります。

8 次に、渋谷区ふれあい植物センターのリニューアルについてです。
開設以来、多くの方に利用されてきた「ふれあい植物センター」は、現在、施設老朽化による改修のため、長期間にわたり休園させていただいていますが、本施設のリニューアル事業については、地域の皆様のご意見などをお聞きしながら基本計画を策定し、丁寧に進めてきました。工事は順調に進行しており、本年7月中にはリニューアルオープンする予定です。
再開後の施設は、植物の鑑賞機能に加え「農と食の地域拠点」という新たな視点の下、「栽培・収穫・消費」の自然サイクルを身近に感じる施設を目指します。水耕栽培などの屋内設備で野菜等の栽培、収穫を体験し、施設内のショップやカフェは、地産・地消をコンセプトに展開する予定です。本施設が、より魅力ある地域還元施設となるよう努めてまいります。ご期待ください。

9 次に、ケアコミュニティ・原宿の丘の建て替えについてです。
昨年の第4回定例会でご報告したとおり、神宮前地域の各団体や町会との意見交換会、利用団体へのアンケート、素案に対するパブリックコメント等を通じてお寄せ頂いた多くのご意見ご要望を踏まえ、この度、建て替え基本計画を策定しました。
計画では「原宿・神宮前地域のシティプライドを育む施設」「誰もが快適に利用できるサステナブルな施設」「より多くの人が広く利用できるインクルーシブな施設」を基本方針とし、広場やレクリエーションホールを拡充し、新たに子育て支援や青少年活動、トレーニングのための施設を設け、避難者を十分収容できるスペースを確保するなど、地域の声を広く取り入れています。
今後は、来年度から基本・実施設計、令和7年度から工事に着手し、令和11年度のオープンを目指してまいります。
なお、施設の解体に伴い、現在運営しているデイサービスは、新たに特別養護老人ホームも加えて、近隣の国有地を活用した高齢者施設へ移転することを検討しており、国との協議を進めています。また、地域包括支援センターは近隣の区有施設へ、けやき教室は文化総合センター大和田へ移転し、原宿の丘の建て替え後も、それぞれの移転先で運営を継続する予定です。

10 次に、区政のDX推進について3点申し上げます。
1つ目は、渋谷区ウェブサイトのリニューアルについてです。
現在のウェブサイトは、平成28年の公開以降、様々なコンテンツや機能を追加してきましたが、デジタル技術の進歩のスピードや社会環境の変化に着実に対応し、利用者ニーズを的確に捉えていくため、抜本的にリニューアルすることとしました。
新しいウェブサイトは、先進技術を積極的に取り入れ、最適なUX/UI(ユーザーエクスペリエンス・ユーザーインターフェース)を提供すべく構築を進めており、本年3月中に公開します。誰もが見やすく分かりやすい、利用者視点を第一にした区政情報の発信に努めてまいります。
2つ目は「デジタルコミュニケーションプラットフォーム」のポータルサイトのリリースについてです。
昨年9月の一次リリースでは、「統合プラットフォーム」を構築し、利用者本人の同意に基づいて、庁内の関連部署間で適切に情報連携を行う仕組みを構築しました。
来月予定している二次リリースでは、利用者との接点となるポータルサイトを公開し、利用者本人の興味•関心領域に合わせて、一人ひとりにパーソナライズされたサービスを提供していきます。
3つ目は、「シブヤ・スマートシティ推進機構」についてです。
この機構は、昨年11月に設立され、産官学民連携で地域課題の解決のためのスマートサービス創出や環境整備を目的としています。来年度中に法人化し、オール渋谷でデジタル技術や地域データの共同活用に取り組み、都市のスマート化を強力に推進します。都市がスマート化することで「個」の幸せと連動して「地域」の魅力が増幅していく、ウェルビーイングとシティプライドの溢れる街を目指していきます。

11 次に、「渋谷区実施計画2023」についてです。
実施計画は、基本構想の実現に向けて策定した長期基本計画における政策及び施策の方向性に基づき、区の喫緊の課題に対応するため、3年を期間とし、施策の重点計画をより具体的に明らかにするものです。
このたび策定した「渋谷区実施計画2023」は、昨年度末に計画期間の半分を経過した「渋谷区長期基本計画」の政策及び施策並びに現在の実施計画に定める計画事業の進捗状況、また、この間の新型コロナウイルス感染症の影響などによる社会経済情勢等の変化に対応するため、各事業の検証、見直しを行うとともに、令和5年度当初予算案と連動させることで計画の最適化を図りました。
今後は、本計画を着実に実施し、区民のウェルビーイングの更なる向上を実現していくとともに、区制施行100周年を見据えた「ひとづくり」「まちづくり」など、未来への投資にも積極的に力を入れ、区民が誇りをもって暮らせる都市の実現を目指してまいります。

12 最後に、令和5年度予算案の規模について申し上げます。
令和5年度一般会計歳入歳出予算額は、1,126億2,800万円であり、前年度比6.0%の増となっております。
これに国民健康保険事業会計等の3特別会計、496億9,800万2千円を加えた各会計の合計額は、1,623億2,600万2千円で、前年度比4.6%の増となっております。

本定例会には、条例案15件、令和4年度一般会計補正予算案1件、令和5年度当初予算案4件、指定管理者の指定1件、人権擁護委員の諮問3件、報告案件2件をご提案しております。
よろしくご審議のほどお願い申し上げます。








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