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令和3年第1回区議会定例会での発言

更新日

2020年2月26日

(令和3年2月24日(水曜日)、第1回区議会定例会本会議で述べた長谷部健区長の発言を掲載します。)

本日ここに、令和3年第1回渋谷区議会定例会を招集し、令和3年度予算案をはじめ、多くの議案についてご審議をお願いすることとなりました。
この機会に、当面する区政の課題について私の所信の一端を申し述べ、区議会及び区民の皆様のご理解とご協力を賜りたいと思います。
国内で初めて新型コロナウイルスの感染が確認されてから先月15日で1年が経過しました。今月に入り国内感染者数は40万人を超え、感染拡大に歯止めがかかりません。
昨年末から、首都圏を中心に感染者数は急増の様相を呈し、政府は、年明けに1月8日から2月7日までを期間として、1都3県に2度目の緊急事態宣言を発出しました。さらに、1月13日には関西圏や中京圏など7府県を追加し、午後8時までの飲食店等の時短営業、不要不急の外出・移動自粛、イベントの人数制限、テレワークによる出勤者数の7割削減等の取組を求めています。
しかし、感染者数は減少傾向に転じたものの、依然として医療体制は逼迫し危機的状況にあることから、政府は、栃木県を除き10都府県について3月7日まで緊急事態宣言を延長しました。
また、今国会において、飲食店などが営業時間の短縮命令に従わなかったり、患者が入院を拒否したりした場合に行政罰である過料を科すことができるいわゆる改正特別措置法及び改正感染症法が成立し、今月13日から施行されています。
区民の皆様には、ご不便をおかけすることになりますが、会食や不要不急の外出、特に夜8時以降の外出については、自粛していただくとともに、ソーシャルディスタンスの確保、三つの密の回避、マスクの着用、手洗いなど手指の衛生確保といった「新しい生活様式」を徹底していただくよう改めてお願い申し上げます。
本定例会に令和3年度予算案を上程するに当たっては、ワクチン接種やPCR検査をはじめ新型コロナウイルス感染症対策及びウィズコロナ時代を見据えて予算編成を行った次第です。
以下、個別の施策について申し上げます。
1 初めに、新型コロナウイルスのワクチン接種についてです。
ワクチン接種は新型コロナウイルス感染症対策の決め手として、安全で有効なワクチンを1日でも早く、より多くの方に接種できるよう、国や全国の自治体で準備が進められています。
今月14日には、アメリカ・ファイザー社のワクチンが新型コロナウイルスワクチンとしては、国内で初めて薬事承認され、現在、全国約4万人の医療従事者に対しての先行接種が行われています。来月には全国約370万人の医療従事者への優先接種が始まる予定で、区内医療機関等の従事者への接種も行われます。
また、65歳以上の高齢者の優先接種については、4月以降とされ、本区においても、国や都、渋谷区医師会、医療機関等と連携し、区民の皆様のワクチン接種に混乱が生じることのないよう、準備を着実に進めてまいります。
区内の身近な場所で、多くの方に安心して接種いただくために、公共施設等を活用し、4か所の集団接種会場を設ける方向で準備を進めるとともに、さらに、区内の病院や診療所等における個別接種、高齢者施設への出張接種等も併せて、十分な接種体制を整えていきます。
ワクチン接種に当たっては、医師や看護師等多くの医療従事者の皆様のご協力が不可欠です。また、国から供給されるワクチンの接種会場への分配・管理も大きな課題とされ、渋谷区薬剤師会等多くの関係者にご尽力をいただくこととなります。この難局にあって、使命感を持って最前線でご尽力いただく関係者の皆様に、この場をお借りし深く感謝申し上げます。
ワクチン接種の推進によって、新型コロナウイルス感染症の発症や重症化を最大限減らし、感染の流行を終息に導けるものと期待し、しっかりと準備に取り組んでまいります。
2 次に、オンライン健康相談についてです。
新型コロナウイルスの感染の不安から、外出を避け、医療機関の受診を控えているという話を耳にします。特に高齢の方、妊産婦の方など、健康について相談したいことがあっても、不安を抱えながら自宅にいらっしゃる方も少なくないと思います。
受診が必要かどうか判らない、病気や治療について知りたいなど、診療の一歩手前の段階で区民の不安を解消できるよう、来年度から、自宅にいながら気軽に相談できるオンライン健康相談を開始します。互いに顔を見ながらリアルに近い形で安心して相談することができ、医療相談だけでなく区が担っている保健分野・福祉分野等と連携した対応が可能となります。
さらに、渋谷区医師会と連携した相談体制により、相談内容に応じて区内の医療機関に適切に繋げ、相談者の「かかりつけ医」とする役割も担います。
「新しい生活様式」に沿ったこうした取組を推進することで、区民の健康増進や安全安心の確保に努めてまいります。
3 次に、「渋谷区子育てネウボラ」についてです。
いよいよ本年夏には、神南分庁舎跡地に「渋谷区子育てネウボラ」の拠点となる施設が完成します。
1階から3階までは、木のぬくもりを活かした遊具を備え、ひろばとカフェがある子育て支援スペースとして、子どもを主役に誰もが気軽に集えるコミュニティの場にします。
4階から上の階には、中央保健相談所、子ども発達相談センター、子ども家庭支援センター、教育相談窓口など、子どもと家庭に関する相談・支援に切れ目なく対応する環境を整えます。
また、「渋谷区子育てネウボラ」のホームページについては、これまでネウボラの紹介とイベント情報の掲載にとどまっていましたが、開設に合わせて、ネウボラでの日頃の活動やニュースを動画とオンラインで発信し、利用者が子どもの成長に関する様々な情報や知識を互いに共有していくことで、よりリアルで多様性に富んだサイトとしてリニューアルします。
コロナ禍において、子育て環境も大きく様変わりしています。それに伴う子育ての悩みに、LINE申請やオンライン相談などをフルに活用し、保健師をはじめとする専門職や子育てひろばの運営事業者など「渋谷区子育てネウボラ」の支援チームがしっかりと寄り添うことで、子育てを全面的に支援していきます。
4 次に、待機児童解消と保育の質の確保についてです。
本年4月には、認可保育園5園を新たに開設し、391人の定員拡大を図ります。これにより、いよいよ待機児童解消の目処が立ったところです。振り返りますと、待機児童数は、平成28年の315人がピークでしたが、この間、認可保育園37園を整備し、約3,000人の定員増を図ってきました。ご理解・ご協力を頂いた区議会、地域の皆様に改めて感謝を申し上げる次第です。
また、来年度から、日曜日・祝日の休日保育を、現在の1園から3園体制に拡大して実施します。
今後も地域ごとの状況を正確に捉えながら、的確に保育環境の整備を進めていくとともに、引き続き保育の質の向上に取り組み、産みやすく、育てやすく、預けやすいまちを目指してまいります。
5 次に、教育における取組についてです。
初めに、教育ビッグデータの活用についてです。
来年度、データ分析・可視化のダッシュボードを構築し、学習履歴をはじめとする様々な教育データを蓄積、収集、分析し、利活用を図ります。これにより、児童生徒の振り返りに繋がる学習成果を可視化でき、教職員の個々の学習状況に応じたきめ細かい指導を可能とする準備を進め、「個別最適な学び」に取り組みます。
また、学習者用デジタル教科書については、令和4年4月から全国に先駆け、区立全小中学校での導入を進めるため、来年度はモデル校4校で実証事業を開始することとしています。
次に、渋谷ワンダフル給食プロジェクトについてです。
本区では、令和元年度から栄養バランスに優れた和食を味わう取組を行ってきました。来年度は、その取組を更に発展させ、日本、そして世界の食文化を学び、将来にわたり健全な食生活を送る「食育」の場となる学校給食としていきます。
毎月2回程度、食材費に補助を上乗せした給食を提供し、併せて、服部栄養専門学校から給食の献立の提供を受ける外、食育授業や、栄養士、調理師による調理講習会の実施、そして専用のホームページも開設する予定です。
次に「シブヤ科」についてです。
「シブヤ科」は、本区の歴史や文化、また、地域の課題について、児童生徒が主体的に現状を分析し、解決策を考えていくことにより、子どもたちのシティプライドを醸成することが目的です。今年度のモデル校の取組を踏まえ、来年度は全校で「シブヤ科」をスタートさせます。
続いて、今年度策定する「学校施設長寿命化計画」の具現化に向けた取組についてです。
長寿命化計画に基づき、学校施設の老朽化対策を着実に進め、児童生徒の成長を支える場にふさわしい環境を形成していきます。そして、効果的かつ効率的な整備を図るため、区や地域にある資産の有効活用の外、民間活力を活用し、周辺環境との調和を図った施設整備や、民間事業者のノウハウ、資金の活用など多様な事業手法の可能性等についても検討していきます。
教育の最後は、区立中学校の部活動の支援についてです。
これまで、教育委員会では、区立中学校の運動部活動を支援するために、複数校による合同部活動の実施や外部指導員の積極的な導入などに取り組んできました。
しかし、各校には、いくつかの運動部がありますが、全体的に部員数が少なく、団体種目によっては、実践的な練習を行うことや単独校で大会に参加することができない状況にあります。また、専門的な指導ができる教員や引き受ける顧問が不足していると聞いています。一方、文化部活動についても、各校とも部の数が少なく、生徒の多様な要望に応えられているとは言えません。
このような状況下、生徒の運動部や文化部に対する要望に応える部活動改革を行うことは、極めて重要で、スピード感を持って対応しなければならない教育課題です。
昨年9月、文部科学省は、本格的に部活動の地域移行を進める方針を打ち出しましたが、教員の働き方改革の議論が高まる中、部活動改革を各学校に委ねることでは解決は図られません。
そこで、来年度から、新たに区長部局に新設するスポーツ部に、部活動を支援し改革していく施策について調査・研究を行う専門委員を配置し、着実に部活動改革を推進してまいります。
6 次に「渋谷区新型コロナウイルス感染症対策利子補給基金」の設置についてです。
コロナ禍により様々な業種・業界が経営に大きな打撃を受けており、経済の早急な立て直しが必要な状況です。
本区は、中小企業等の資金の工面を支援するため「緊急経営支援特別資金融資あっせん事業」を開始し、運転資金等の借り入れに係る利子負担の軽減を図っています。今後数か年にわたって支援を継続するに当たり、翌年度以降の財源の一部に、今年度交付される新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金を充てることができるようにするため、国の取扱基準に従い基金を設置し、安定的な実施体制を確立します。
7 次に、渋谷区財産価格審議会の設置と公共施設等の老朽化対策の計画についてです。
定住人口の減少などにより、将来の税収減が必至と見られる中、新たな財源創出の方策として、公有財産の活用が重要度を増しています。中でも、不動産は、財源として工夫の余地が大きいと考えており、より積極的に活用を進める体制構築の一環として「渋谷区財産価格審議会」を設置することとし、本定例会に条例案を上程しています。
一方、公共施設等の老朽化対策に要する経費は莫大であり、その縮減や年度間の平準化を図るため、国主導のもと、施設・インフラの種別ごとに「長寿命化計画」の策定を進めてきました。 本定例会では、一般建物施設と学校施設の計画についてご報告し、その他は準備が整い次第、各所管部署からご報告し、順次公表していく予定です。
8 次に「スマートシティ推進事業」についてです。
コロナ禍において、刻々と変化する社会生活環境や人々のニーズを迅速かつ的確に捉え、政策の立案・実施を進めていくには、データを活用した意思決定が重要であるということが再認識されています。また、日々の生活においても、数値を見ながら社会の動向を捉え、行動するというデータの活用が広まっています。
本区においても「ちがいを ちからに 変える街。渋谷区」の実現に向け、様々な区民生活の変化に即応していくため、来年度から政策立案におけるデータの利活用を本格的に進めていきたいと考えています。具体的には、区が保有する行政データに加え、交通データやセンサーデータ等、民間保有のデータも含め収集を進め、区の現状や課題解決の達成状況を多角的に分析し、政策の改善や新たな政策立案に繋げていきます。
さらに、区が保有する行政データの「オープン化」や「可視化」を推進し、地域社会における多様な価値観を持つステークホルダーが、継続的に区政に関わっていける環境を整えていきます。
こうした取組により、ICT活用によるデジタルトランスフォーメーションの推進と、産官学民連携での課題解決を加速させ、地域社会における暮らしの質の向上を図ってまいります。
9 次に西参道プロジェクトについてです。
当該プロジェクトは、明治神宮が昨年鎮座100年を迎えたことを契機として、明治神宮の参道の一つである西参道と、これに接する首都高速道路4号線の高架下空間をまちづくりの一環として整備する事業です。
西参道にふさわしい沿道環境の創出と渋谷区まちづくりマスタープランが示す「にぎわいや文化の交流を創出するまち」の実現、また、明治神宮と玉川上水旧水路緑道を結ぶ「みどりと水の空間軸」の形成に向けて、西参道の再整備と高架下空間に将棋をモチーフとした施設の整備を進め、地域の活性化とともに新たなコミュニティ拠点としての活用を図ります。区内には「公益社団法人日本将棋連盟」の本部があり、その所縁からこのプロジェクトの実現により、将棋文化の一層の普及振興を図っていく考えです。
今後は、今年度中に策定する「西参道高架下利活用基本計画」に基づき、順次、実施設計、整備工事に着手し、令和4年度の秋頃に、高架下施設を開設する予定です。
また、高架下空間や緑道などの沿道と調和し、参道にふさわしい景観を備えた道路空間を創出していきます。明治神宮西門付近は、幅員約20メートルの広い道路でありながら、自動車の交通量が極めて少なく、地域に親しまれているポニー公園が隣接する特徴的な道路となっています。その個性を最大限に活かしながら、樹木や舗装などの意匠に工夫を凝らし、地域の皆様をはじめ、訪れる人たちに開かれた、新たな公共空間として整備していきます。
10 次に住宅政策についてです。
今年度、「渋谷区住宅マスタープラン」を10年ぶりに改定しました。来年度から実行していく新たな住宅マスタープランは、多様な人や多世代が快適で安心できる住まいづくりを基本理念とし、新型コロナウイルス対策として求められている「新しい生活様式」にも対応する技術革新も取り込むことができる柔軟なプランとしています。
具体的な取組として、来年度は高齢者の住宅確保を支援する民間賃貸住宅入居促進事業を開始し、また、非接触型の生活を促進するためスマートフォンを活用したマンション管理や宅配ボックスの設置についての実証実験を行う予定です。
新たな住宅マスタープランに基づき、多様な人々が多世代にわたり、快適で安心して住み続けることができる住宅政策を推進してまいります。
11 次に、環境施策について3点申し上げます。
初めに、落書き対策についてです。
今年度は、東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会の開催を見据え、新国立競技場への「ラストマイル」に散見する落書きを施設や建物の所有者又は管理者の協力を得ながら、消去しています。 
一方、渋谷駅周辺をはじめ、区内には多くの落書きがあり、まちの美観を損ね、生活環境を守る上での課題となっています。これまでも、今年度導入したLINEによる落書き通報システムを活用しつつ、建物所有者等に消去を依頼してきたところですが、積極的な対応をしていただけない事例も少なからずありました。
このような現状に鑑み、来年度、通報から消去まで一括で対応する仕組みを構築し、新たに落書きを消去する事業を開始します。 
これまで頂いているLINEでの通報、また、今後頂く通報や相談も活かしつつ、区内の落書き消去を進め、世界に誇れる快適で美しいまちの実現を目指してまいります。
次に、ふれあい植物センターの改修についてです。
ふれあい植物センターの改修については、昨年第2回定例会で補正予算のご議決をいただき、9月から基本計画の策定に着手し、このほど計画がまとまったところです。
この基本計画を策定するに当たっては、まずは、清掃工場還元施設であること、また、ボランティア活動の拠点であることを踏まえ、清掃工場周辺地域の皆様や、みどりのボランティアの皆様に、改修に当たってのご意見をお聴きするとともに、インターネットによるアンケート調査を実施し、多くの方からご意見をお寄せいただきました。
基本計画では「渋谷区環境基本計画2018」に掲げる「みどりの情報発信」「普及啓発の拠点」として、区民等がみどりにふれあう機会に加え、新たなコンセプトとして、野菜等を栽培し、収穫・消費といった「農と食の地域拠点の施設」と位置づけ、渋谷スタイルの食農教育を発信し、誰もが「学び」「体験し」「人と人とがつながっていく」ことができるような施設にリニューアルすることとしました。
具体的には「最新の農業技術を活用した野菜等の栽培や販売」「野菜等を使ったワークショップや料理の提供」「農や食に関わる専門知識の学習」などの機能を取り入れていきたいと考えます。
今後は、基本設計・実施設計を進め、令和4年度には工事に着手し、令和5年度のリニューアルオープンを目指してまいります。
次に、廃プラスチックの資源化についてです。
プラスチックについては、マイクロプラスチックによる海洋汚染や焼却により発生した二酸化炭素による地球温暖化等の問題がクローズアップされています。また、資源の乏しい我が国が、ごみを出さない永続的な循環型社会に移行するには、プラスチックをごみとせず、資源としてリサイクルしていくことが必要です。
国や都においても、プラスチックの資源化の考え方が示されており、先月、国の中央環境審議会から環境大臣に対し「今後のプラスチック資源循環施策のあり方について」意見具申が行われ、家庭から排出されるプラスチック資源の回収・リサイクルの重要性が述べられました。
本区としましても、これらの問題の解決と脱炭素社会を目指すとともに、私たちの子どもたち、孫たちの世代の生活環境を維持していくために、今年度実施した資源の有効活用についての調査・研究を踏まえ、容器包装リサイクル法対象のプラスチックに限らず、プラスチック全般を資源として回収していく考えです。
令和3年度には、区民の皆様に廃プラスチックの資源化回収に向けての周知啓発を行い、令和4年度早期の実施を目指します。
12 次に、人権に関する取組についてです。
「渋谷区男女平等及び多様性を尊重する社会を推進する条例」が施行されてから6年が経とうとしています。我が国初となるパートナーシップ証明の発行を含む、画期的な男女共同参画条例のインパクトは大きく、今や70以上の自治体がパートナーシップ制度を導入し、条例や制度にも様々な工夫がなされています。
最新の視点を取り入れ、6年間の学びを反映させ、そして、基本構想のインスピレーションになった同条例前文の「人が人として尊重され、誰もが自分の能力を活かしていきいきと生きることができる差別のない社会」に向けた取組を強化し、多様な性にとどまらない「包括的な人権条例」と「多様性社会推進の理念を定義する条例」へ進化させたいと考えています。
2年前のニューヨーク視察で受けた衝撃の一つは「ダイバーシティこそが、シティプライド」と語る市民の多さでした。人権への取組は成熟した国際都市を目指す上で不可欠であり、引き続き差別や偏見のない社会の実現に向けて取り組んでまいります。
13 施策の最後として、福祉について申し上げます。
初めに、計画策定についてです。
来年度から新たにスタートする「第8期渋谷区高齢者保健福祉計画及び介護保険事業計画」については、先週15日に「渋谷区介護保険事業計画等作成委員会」から「いきいき、あんしん、ささえあいのまちづくり」を基本理念とし「地域共生社会の実現」をはじめとした五つの施策の柱に沿った取組を内容として答申を頂いたところです。新たな取組として実施するデジタルデバイド解消事業では、機器を無償貸与するだけでなく、手厚いサポート体制を構築し、高齢者が日常的にスマートフォンを活用することでデジタル社会の利便性を享受し、生活の質の向上に繋がる支援を行ってまいります。
また、本定例会には、計画期間中の介護保険料額を改定するため、条例改正案を上程しています。高齢者人口の増加に伴い介護給付費が増加の一途を辿る中、新型コロナウイルスによる高齢者の生活や経済への影響も考慮し、介護給付費準備基金の活用などにより保険料額上昇の抑制を図り、低所得段階に一層配慮した保険料設定を行っています。
次期「障がい福祉推進計画」についても、区民の皆様からの多くのご意見を踏まえ計画策定に取り組み、まもなく「自立支援協議会」から答申を受ける運びです。相談体制の充実や切れ目のない支援、互いを理解し支え合う地域づくりを基本目標に取組を進めます。
なお、来年度には、これらの計画の他に福祉分野全体の方向性を示す「渋谷区地域福祉計画」を策定する予定です。福祉施策を包括的に取りまとめることにより、必要な支援が切れ目なく届くよう更なる強化を図ってまいります。
次に、福祉施設の整備についてです。
本区は、コロナ禍においても新たな福祉基盤の整備を着実に進めてまいりました。
看護小規模多機能型居宅介護事業所や認知症高齢者グループホームなどの「恵比寿西二丁目複合施設」は3月15日に、特別養護老人ホームやデイサービス事業所などの「かんなみの杜・渋谷」は5月1日に、事業開始予定として準備を進めています。
「かんなみの杜・渋谷」の2階には、生活福祉課が移転します。隣接するハローワークや年金事務所とは、これまで以上に連携を深め、様々な事情により生活にお困りになった方に寄り添った相談と一層の支援の充実に努めてまいります。
また、令和6年12月開設予定の「神宮前三丁目障がい者施設」は、本区初の重症心身障がい児者及び医療的ケアが必要な身体障がい児者を対象とした複合施設です。運営については指定管理者制度を導入することとし、本定例会に議案を上程しています。
続いて、障がい者施策についてです。
本定例会には、各関係団体からのご意見、ご要望を踏まえ、手話言語への理解促進と共に、障がいの特性に応じた意思疎通手段の利用の促進を図るための基本理念を定めた新たな条例案を上程しています。
また、シブヤフォント事業は6年目を迎えます。障がいのある方の社会参加と日々の活動に対して理解促進を図り、民間企業での製品化やグッドデザイン賞の受賞など、世間一般への認知度が高まってきています。来年度には新法人が設立され、産官学福共同推進体制により更なる成長が期待されます。
令和3年度も引き続き「あらゆる人が、自分らしく生きられる街」の実現に向け、福祉の充実を推進してまいります。
14 最後に、令和3年度予算案の規模について申し上げます。
令和3年度一般会計歳入歳出予算額は、994億4,900万円であり、前年度比5.5%の減となっております。
これに国民健康保険事業会計等の3特別会計、 455億5,889万7千円を加えた各会計の合計額は、 1,450億789万7千円で、前年度比4.5%の減となっております。
本定例会には、条例案12件、令和2年度一般会計補正予算案1件、令和3年度当初予算案4件、指定管理者の指定案件1件、教育長の同意案件1件、人権擁護委員の諮問3件をご提案しております。
よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

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