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令和元年第4回区議会定例会での発言

更新日

2019年11月21日

(11月21日(木曜日)、第4回区議会定例会本会議で述べた長谷部健区長の発言を掲載します。)

本日ここに、令和元年第4回渋谷区議会定例会を招集し、提出議案についてご審議をお願いすることとなりました。
 この機会に、当面する区政の課題についてご説明申し上げ、区議会及び区民の皆様のご理解とご協力を賜りたいと思います。
 
1 初めに、防災についてです。
 台風15号、そしてそれに続く台風19号は、強風で多数の家屋が損壊し、広域に渡り停電が発生した千葉県をはじめ、関東、甲信、東北を中心とする各県に暴風雨や河川の氾濫による甚大な被害をもたらし、数多くの方々が犠牲となりました。
ここに改めて、犠牲になられた方々のご冥福をお祈りするとともに、被災された方々にお見舞いを申し上げます。
 さて、今回の本区における台風対応ですが、特に史上最大級と言われた台風19号への対応は、当初上陸が予想された10月13日の3日前、10月10日から、危機管理対策部と土木部が中心となり、水防連絡会を計4回開催し、自主避難施設の開設等の具体的な対応策を検討しました。
2日前の11日には、臨時庁議を計3回開催し、鉄道各社の計画運休に伴う区有施設の臨時閉館や、渋谷公会堂(LINE CUBE SHIBUYA)の開設披露式典の中止を決定。
 また、区内に広域的な災害が発生する恐れがあることから、自主避難施設3か所の他、区内の小中学校6校を避難所として開設するとともに、高齢者や障がい者等、災害時要配慮者を主な対象とした福祉避難所を、3か所開設することを決定。
 翌12日には、大雨・洪水・暴風の各警報を受け、午前10時には水防本部から災害対策本部に移行し、避難所等12施設の開設及び「警戒レベル3 避難準備・高齢者等避難開始」を発令。
 午前11時には、第1回目の災害対策本部会議を開き、区内の被害状況、避難所等の開設状況及び避難者数、渋谷川の水位、気象予報等の情報を収集・確認し、その後の災害対策の方針を検討。
 第2回災害対策本部会議は、午後2時に開き、台風19号の勢力や進路を検討し、午後3時に「警戒レベル4 避難勧告」を発令することを決定し、防災行政無線、消防団の広報車、区ホームページ、各種SNSを活用して広報を行いました。
 その後、夜半には、各警報が解除されたため、13日午前2時30分をもって避難勧告を解除。
 13日午前9時には第4回災害対策本部会議を開催し、被害拡大等の恐れがないことを確認したことから、午前9時30分に災害対策本部を廃止することを決定しました。
 今回、12か所の避難所等では延べ538人の避難者を受け入れました。幸いにして、区内における被害は、倒木や道路冠水が数か所あったものの、床下浸水、床上浸水等の重大な被害はありませんでしたが、多摩川河川敷にある渋谷区立二子玉川区民運動施設については、多摩川の氾濫により当面利用不可能な状況となりました。
 一方、今回の台風対応で水害時における避難所等の開設の時期や設置箇所、避難所の運営と職員の確保、避難勧告等の災害時の情報を、とりわけ高齢者の方々にいかに確実に届けるかなど、様々な課題が見えてきました。これらを踏まえ、貴重な教訓として今後の対策に活かしていきたいと思います。
 実際に避難所運営を担った自主防災組織や避難所参集職員、さらに、避難所を実際に利用された方々の声を活かしながらスピード感を持って対応してまいります。
 
2 次にハロウィーン対策についてです。
 私は、ここ数年、秩序を失い混乱が生じている渋谷のハロウィーンを、誰もが、モラルとマナーを守り、安全で、安心して楽しめるものとするために、本年2月から「渋谷ハロウィーン検討会」を設置し、ハロウィーン対策に関する本区の基本的な方針について整理してきました。
 第2回定例会において、渋谷駅周辺の公共の場所における飲酒禁止、事業者に対して酒類の販売自粛等を規定した「渋谷駅周辺地域の安全で安心な環境の確保に関する条例」を議決していただき、制定しました。
第3回定例会においては、ハロウィーン対策に関わる経費について補正予算案を全会一致でご議決いただき、民間警備の導入や仮設トイレの増設、商店会フラッグによる広報などを柱とし、万全を期した対策を講じることとしました。
 私自身も実際に、10月26日の土曜日や10月31日の当日を中心に渋谷駅周辺を見て回りましたが、昨年と比べると、飲酒する人をほとんど見かけることなく、路上に捨てられる缶類等のごみも大きく減っていました。
また、渋谷駅周辺のコンビニエンスストアなど41店舗中、36店舗が酒類の販売自粛に協力してくれました。
 このようなことから、条例の制定や民間警備の導入は、極めて効果的であったと考えています。
 さらに、ハロウィーン前の週末やハロウィーン当日から翌朝にかけて、延べ3,000人のボランティアの方々が清掃活動をしてくれました。
 11月1日の早朝には、私も現場で、多くのボランティアの方々が黙々とごみを拾っている光景を目の当たりにしました。ごみが片付けられ、一年で一番きれいな渋谷に戻っていることに誇りを感じる一方で、渋谷を愛する人々の心を踏みにじる行為には怒りを禁じ得ません。今回も警察が注意を繰り返したにもかかわらず、路上で、大音量の音楽や騒音をまき散らす車が多数出没しました。
 私は「渋谷ハロウィーン渋谷プライド」のスローガンを、渋谷を訪れる多くの人々と共有し、マナーとモラルを守り、秩序が保たれた上で、街の賑わいに寄与するハロウィーンにしていきたいと考えています。
 今回明らかになった課題を整理し、今後の対策の糧とするとともに「渋谷ハロウィーン 渋谷プライド」の輪を広げていきたいと思います。
 
3 次に、教育における取組についてです。
 教育大綱は、私が就任した年、平成27年10月に策定したものであり、現在、総合教育会議にて教育大綱を改訂するため検討を進めています。
 2期目に当たり「東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会を契機に、違いを認め合い、共存関係をデザインすることをレガシーとしていくこと」や「多様性を可能性に変えていくこと」などの基本的な考え方は変更しない前提で検討しています。
 一方で、児童・生徒・教員への一人一台のタブレット配付、コミュニティスクールの全校設置、「支える」スポーツの重要性への理解など、前回策定時と比較して、推進された教育施策、また一層推進していきたい施策もあることから、内容を精査しています。
 今後、教育大綱を基に、教育委員会の教育目標、施策の方向性、重点施策、さらには各学校の経営方針が定められることから、教育委員会と思いを共有しながら、改訂作業を進めていきます。
次に、ICT教育に関する取組です。去る11月8日、教育委員会では、この日を「渋谷タブレットの日」として、区内全小・中学校がタブレットを活用した授業を公開するとともに、これまでの成果や課題を全国に発信する研究発表会を行いました。当日は、各小・中学校への授業参観と研究発表を行った上原中学校を合わせ、都内の区市はもとより、全国からの参観者を含め、約1,700人の学校関係者が渋谷に集まりました。研究発表会の中で行ったパネルディスカッションでは、渋谷モデルと言われる「児童生徒一人一台のタブレット」を使用することをはじめ、システムに関することや、導入時からどのようにタブレットの活用を進めてきたのかなどを、教育行政の立場、学校現場の立場、大学教員である研究者の立場、それぞれの立場から意見交換が行われました。参観者からは「成果だけでなく、課題を多く挙げてくれたことで、自分の自治体で取り組む際の参考になった」、「授業で子供たちがタブレットを使いこなしている様子を見て、ここまでできるのかと驚いた」、「タブレットは欠かすことのできないツールであると強く感じた」といった意見が寄せられました。引き続き、学校におけるICT機器の活用が日常化するよう支援を行っていきます。
 今後、現行システムが令和2年8月で契約期間満了となることから、現在、教育委員会とともに次期システムの検討を進めています。次期システムの設計・構築については、民間の知見を広く活用することも重要であると考え、本定例会において次期システムの設計・構築に係る経費を補正予算案として上程しています。
 
4 次に「玉川上水旧水路緑道の整備」についてです。
 代々木から笹塚までの全長約2.6キロメートルに渡る「玉川上水旧水路緑道」の整備に関しては、平成28年度から検討を開始し、パブリックコメントによる意見募集を経て、平成30年7月に「玉川上水旧水路緑道基本構想」を策定しました。
 また、平成29年度からは、ササハタハツまちづくりがスタートし、地域住民や地域に関わるあらゆる人々が、魅力的なまちにしていくために、未来志向で建設的な意見交換を行うフューチャーセッションによる良好な関係性を作ることで、参加者による自発的なプロジェクトも展開され始めています。こうした経緯を踏まえながら、現在は、ササハタハツまちづくりを長期的な視点で街の活性化とコミュニティ形成に繋げ、新たなサービスや事業の創造を目指す「(仮称)まちラボ」について設置検討を進めるとともに、緑道の基本計画策定に取り組んでいるところです。
 一方、先の区長選挙で公約に掲げたとおり、この緑道をニューヨークのハイラインに勝るとも劣らない世界的な緑道公園とし、かつ、地域コミュニティの更なる増進を図る場として整備するために、今後も一層の検討を重ね、区民の皆様が誇りを持てるような、渋谷区のシンボルのひとつとなり、シティプライドの醸成に繋がるものにしていきたいと考えています。
 あわせて、地域の皆様のご意見等を伺うワークショップの開催などを通じて、ご支援・ご協力をいただきながら、円滑に事業を進めてまいりたいと思っています。
 
5 次に「都市計画道路補助第十八号線事業」についてです。
 本路線は、桜丘町から代官山町までの約740メートルが未整備区間となっています。
未整備区間のうち、渋谷駅側約270メートルは、市街地再開発事業区域で昨年度から事業着手しているところですが、残る約470メートルの再開発区域境から代官山町までについては、区が施行する区間となっています。この区間は、平成28年3月に、東京都と23区・26市・2町で策定した「東京における都市計画道路の整備方針・第四次事業化計画」において、平成28年度から令和7年度までの10年間で、優先的に整備すべき路線に位置付けられています。このたび、この区施行区間についても、本年9月12日に都知事の事業認可を取得することができました。
 本路線は、渋谷駅周辺へのアクセス性の向上、渋谷駅周辺の再開発事業と連携したまちづくりの促進、周辺道路への通過交通の流入抑制による良好な住環境の保全、歩行者や自転車の安全性・快適性の確保を実現するための重要な路線です。
 今後は、区議会のご支援・ご協力もいただきながら、円滑に事業を進めてまいりたいと思っています。
 
6 次に、区営住宅等における指定管理者の指定についてです。
 区が管理する区営住宅、区民住宅、借上げ等高齢者住宅、地域福祉人材住宅の管理運営を行わせる指定管理者の指定について、本定例会に議案を上程しています。
 指定管理者の候補者選定に当たっては、指定管理者選定委員会の審査に基づき、安定的かつ効率的な事業運営ができること、入居者の高齢化や単身世帯の増加等の課題に対し、近隣区での同種業務の指定管理実績が豊富であること、求められる適切なサービスを効率的に提供できることなどの視点に立って行われました。
 指定管理者が区営住宅等の管理運営を行うことにより、民間事業者が持つノウハウやアイデアを活用した新たなサービスが実施され、入居者の安定的な居住継続や駐車場等の共同施設などの有効活用が図られるものと考えます。さらには、コミュニティを育む住環境の整備に向けた、地域の拠点施設の形成にも寄与するものと期待しています。
 
7 次に、東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会を契機とした産業及び観光の振興についてです。
 私は、渋谷区ならではのビジネスや産業の発展、観光の振興のため「基本構想」及び「長期基本計画」の中で、産業・観光分野を柱の一つとして掲げました。このことを踏まえ、また、オリンピック・パラリンピックの開催とそのレガシーを、渋谷区の産業・観光の振興の契機としていくため「長期基本計画」を具体化し、着実に進めていく個別プランとして「(仮称)渋谷区産業観光ビジョン」を今年度中に策定する予定です。
 内容については、今後、有識者の意見を伺いながら検討を進めたいと考えていますが、渋谷区が成熟した国際都市として発展していくため、例えば「スタートアップ・エコシステム」や「ナイトタイムエコノミー」といったビジネスや観光のための新たな環境の整備など、渋谷を更に活性化させる意欲的なプランの実現に向けて、渋谷区らしい産業・観光振興の方向性を具体的に打ち出してまいります。
 
8 次に、代々木二・三丁目未利用国有地についてです。
 当該の土地は、二丁目、三丁目の両敷地を合わせると、約9,500平方メートルの広さがあり、かねてより、地域の皆様からも取得要望が寄せられているところです。また、平成27年10月には、区への土地払い下げを国に要請することを求める区議会への請願が採択されています。
 こうした経緯から国と協議を続けて来たところ、本年10月29日付けで、本区の要望を受け入れ、土地売却の交渉先とする旨の通知がありました。
 今後、土地取得手続を進めるに当たり、必要となる予算として、本定例会に債務負担行為の追加の議案を上程しました。
 土地取得後の活用プランは、これまでお伝えしてきたとおり、特別養護老人ホーム等、福祉の複合施設や認可保育園、区民住宅等を想定して国と調整を進めてきており、それぞれの具体的な内容や規模、仕様等について、今後、更に検討してまいります。
 なお、敷地には、老朽化した鉄筋コンクリート造の集合住宅が計6棟あり、新たな施設を建設するにはこれらを解体しなくてはなりません。周辺の道路が狭隘であり、解体・建設等の工事は容易ではないことが想定されることから、計画的な実施が必要です。
 大型プロジェクトの一つである本事業を円滑に進めていくため、区議会、周辺住民の皆様をはじめ、関係各方面の方々に、これまで以上の区の取組へのご理解とご協力をお願いする次第です。
 
9 最後になりますが、新たな名誉区民として、かつて卓球日本を支えたレジェンドであり、団体、ダブルス、シングルスで計7回の世界チャンピオンに輝いた松崎キミ代さん、先日のくみんの広場の実行委員長として、文字通り八面六臂のご活躍をいただいた井上順さんのお2人を名誉区民として本定例会にご提案しています。
 
10 以上、当面の課題について申し上げましたが、本定例会には、条例案7件、令和元年度一般会計補正予算案1件、同意案件2件、指定管理者の指定案件4件、報告案件4件をご提案しております。
よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

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