ちがいをちからに変える街。渋谷区

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令和元年第3回区議会定例会での発言

更新日

2019年9月10日

(9月10日(火曜日)、第3回区議会定例会本会議で述べた長谷部健区長の発言を掲載します。)

 
本日ここに令和元年第3回渋谷区議会定例会を招集し、提出議案についてご審議をお願いすることとなりました。
この機会に、当面する区政の課題についてご説明申し上げ、区議会および区民の皆様のご理解とご協力を賜りたいと思います。
 
1 今年の夏は、梅雨明けが遅く、夏らしい季節が短かったようにも感じましたが、議員各位におかれましては、それぞれ地域活動や管外視察、選挙など、充実した大変お忙しい夏を過ごされたことと思います。
私は、今年、梅雨明け前の6月末から7月初めにかけて、かねてより招待を受けていた「ニューヨーク・シティ・プライド(NYC Pride)」に、毎年ゴールデンウィークに渋谷で開催されている「東京レインボー・プライド」の主催者の皆様とご一緒に、初めて参加して来ました。
「ニューヨーク・シティ・プライド」は、世界中のLGBTパレードの始まりと言われており、今年は、そのきっかけとなった「ストーンウォールの暴動」から50周年という節目の年で、パレード参加者が15万人、来場者が300万人という史上最大の規模でした。ニューヨークの街はいつにも増して盛り上がりを見せ、街中がLGBTフレンドリーを表すレインボーに彩られていたのが印象的でした。
ニューヨーク市議会を表敬訪問した際には、2年前に本区に来訪されたリッチー・トーレス議員とも再会し、本区のダイバーシティの取組に対し、ニューヨーク市議会から感謝状を頂くというサプライズもありました。
一方、同じく表敬訪問した国連では「アジアの国々の中でも、日本と中国はLGBTの人権において、なかなか難しい国。渋谷区がLGBTの人権擁護を推進していることに感謝している。」との話を伺い、誇らしく思うと同時に複雑な気持ちにもなりました。
また、1990年に、LGBTの人とLGBTをアライする先生たちのグループの活動から始まり、今や全米最大のNGOとなった「グリセン(GLSEN)」に伺った際に、生徒や先生への支援、調査研究など、大変幅広い活動を行っていることを知り、教育分野におけるLGBTの取組については、日本でやるべきことがまだまだ多くあると痛感しました。
今回のニューヨーク視察では、LGBTだけでなく、多様性を包含してまちづくりを推進しているさまざまな団体も訪問しました。
「ハイライン」は、かつては放置され、荒れ果てていた貨物用の引込み線路でしたが、市民が声を上げたことをきっかけに、最終的に素晴らしい緑道公園に再生された、今やニューヨーク市民にも観光客にも愛されている憩いの場です。
ちょうど、笹塚・幡ヶ谷・初台の玉川上水旧水路緑道と同程度の長さでもあり、その建設の知見を、本区が進めている「ササハタハツ」の取組に活かすことで、より愛される緑道のビジョンが描けるのではないかと思いました。
また、渋谷でも年末に行っている「カウントダウンイベント」の大先輩「タイムズスクエアアライアンス」にも行って来ました。
タイムズスクエアが世界的に有名な観光スポットになるまでには、清掃や防犯に地道に取り組んだ後に、歩行者優先の道路整備を行ったという長い苦労の歴史があったそうです。今や、人々が安心して集える、観光スポットになったタイムズスクエアからは、とても学ぶところが多いと感じました。アライアンスの皆様とも、「何かコラボレーション出来たらいいですね!」と盛り上がったので、是非とも何か形にできたらと思います。
さらに、ニューヨーク市観光協会は、民間や行政におけるLGBTに係る取組のハブの役割も担っており、ダイバーシティ・アンド・インクルージョンを推進する立役者であることを知り、彼らの持つプラットホームは、産官学民による社会課題解決を目指す本区にとって、非常に参考になると感じました。
そして、今回、行く先々で、本区が掲げる基本構想「ちがいを ちからに 変える街。渋谷区」へ、強い共鳴の言葉を頂きました。それは、ニューヨークの人たちが、自分たちのシティプライドがダイバーシティにあると強く信じていることに由来する共鳴です。ダイバーシティ・アンド・インクルージョンの推進を通じて、成熟した国際都市を目指すという私たちのビジョンは間違っていなかったのだという確信を新たにしました。
加えて、お土産に持参した、シブヤフォントのタオルやYOU MAKE SHIBUYAピンズ、オリパラピンズは、取組の背景も含めて大好評でした。
これまで以上に、いろいろな方々と手を携えて、共生社会づくり、まちづくりに取り組んで行こうとの思いを強くしたニューヨーク視察となりました。
 
2 次に、ハロウィーン対策についてです。
ここ数年のハロウィーンの時期における渋谷駅周辺地域の騒然たる混乱状況を改善するために、前回の定例会において「渋谷駅周辺地域の安全で安心な環境の確保に関する条例」を上程したところ、多数の賛成を得て、同条例は可決成立しました。 
ハロウィーン対策の基本となるのが、条例の骨子である公共の場所における飲酒の制限や各種迷惑行為の禁止、また、事業者に対する酒類の販売自粛の協力要請です。
現在、条例の骨子をどのように周知徹底し、実践するか、さらに、不足しているトイレの確保、ごみ対策、道路開放を含めた交通規制のあり方などについて、地元の商店街や町会、事業者や警察関係者などとの協議を続けており、東京都や民間事業者の協力を求めながら、実効性のある対策を検討し、今年のハロウィーンにおける安全・安心の確保に最善を尽くしてまいります。
 
3 次に、スタートアップ・エコシステム拠点形成についてです。
現在、内閣府などが中心となり、「スタートアップ・エコシステム拠点形成戦略」が進行中です。これは、簡潔に申し上げますと、自治体、大学、民間企業等がコンソーシアム(協議会等)を組成し、世界の都市に負けない起業しやすい拠点都市の形成を目指すというものです。
内閣府は、このような拠点都市を今年度末には、全国で2、3箇所選定し、制度面・資金面で集中支援するとしています。
本区は国際的にも知名度があり、IT企業が集積し、スタートアップ企業の支援拠点やコワーキングスペースも数多くあるなど、スタートアップ・エコシステムの拠点都市として、最も相応しい都市であると言えます。
今後、スタートアップ・エコシステムの拠点都市を目指し、庁内に検討組織を設置し、積極的に取り組んでまいります。
 
4 「東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会」まで、いよいよ1年を切りました。大会へ向けた開催準備に当たって、試行とその検証が行われています。選手も大会出場を目指して、合宿や国際大会への出場など準備に余念がありません。
こうした中、区内でも国際大会や「東京2020大会」のテストイベントが開催されます。10月16日からは日本を含む世界ランキング上位8カ国による「車いすラグビーワールドチャレンジ2019」が東京体育館で、11月13日からは「JAPANパラバドミントン国際大会2019」が国立代々木競技場で開催されます。
両大会では、区民観戦や学校観戦を予定しています。来年の本大会を前に、世界トップレベルの選手のプレイを間近で観戦し、大きな声援を送っていただき「応援する文化」が根付くことを願っています。
 
5 次に、幼児教育・保育の無償化についてです。
本区は、これまで子育て世代の経済的な負担軽減のため、保育料の軽減並びに認証保育所の保育料の補助及び認可外保育施設の保育料の補助など、様々な施策に先駆的に取り組んでまいりました。本年10月から、幼児教育・保育の無償化が実施されますが、今後も国や東京都の施策との整合性を図りつつ、子育て世代の経済的な負担軽減に取り組んでまいります。
また、幼児教育・保育の無償化の実施に伴い、新たに手続が必要となる方もいらっしゃいますので、区ホームページなどや、利用されている各施設を通じて丁寧に周知を図ってまいります。
 
6 次に「新島青少年センター」についてです。
管外にある青少年施設として、長年区民に利用されている「新島青少年センター」は、昭和45年の開設から来年で50年を迎えます。これまで多くの青少年団体やご家族が宿泊利用し、東京都でありながらも離島ならではの自然体験ができる施設として多くの区民に愛されて来ました。
しかし、築50年を迎える当施設は、施設の老朽化や設備不足など、ご利用される方にご不便を感じさせる部分もあり、さらに、今年度末をもって土地賃貸借契約も満了を迎えます。
本区としましては、近年の利用状況から区民ニーズが十分にあること、また、これまでの新島村との交流を鑑み、土地の賃貸借契約を更新した上で、施設の建替えを含め、青少年施設としてのあり方を検討してまいります。
なお、今回の台風15号により、宿泊棟の一部に甚大な被害があり、当面の営業に大きな支障が出ています。このことには、迅速な対応策を検討してまいります。
 
7 次に、教育における取り組みです。
(1)まず、本区が進めるICT教育に関してですが、渋谷区教育委員会は、本年6月に区内企業五社と、プログラミング教育協定を結びました。今後は各社と連携を図り、次年度から小学校で全面実施となるプログラミング教育の実施に向け、それに係る授業支援やカリキュラム開発などを進めてまいります。また、11月8日の「渋谷タブレットの日」においても、プログラミング教育の授業を公開する予定です。
現在、区内の全小・中学校は「日本教育工学協会」が実施するICT教育の意図的・計画的な活用を進めている学校を認定する「学校情報化優良校」の取得に向けた取り組みを行っています。既に8校の小・中学校が認定を受けていますが、今後、全校での認定を目指し、本区が地域として「学校情報化先進地域」の指定を受けることを目標としています。

(2)次に、オリンピック・パラリンピック教育の充実に関する取り組みです。来年の本大会では、区立幼稚園の五歳児、区立小・中学校の全児童・生徒がいずれかの競技を観戦する計画を立てており、今月末には、実際に観戦する日程等が決定します。本大会は、海外から多くの来街者が訪れることから、多様性の理解や、おもてなしを考える機会でもあります。 
今後は、実際に観戦する競技や参加国について調べたり、まとめたりするなどして、理解を更に深めていくとともに、区民部と教育委員会が連携し、各小・中学校で、横断幕の作成などのシティ・ドレッシングの取り組みを行います。
また、昨年度から始めた「Cheer up(チア・アップ)表彰」にも取り組み、応援することを通して大会や選手を支えていくことにも繋げてまいります。
さらに、リアル観戦事業などの機会を活用して「ボランティア精神」の醸成を図り、オリンピック・パラリンピック教育を一層推進してまいります。
 
8 次に、渋谷公会堂についてです。
来る10月13日に渋谷公会堂は「LINE CUBE SHIBUYA」として新たに開設する運びとなりました。当日は、午前中に開設記念式典を、午後には区内文化団体などによる開設記念イベントを予定しております。
また、開設後は、10 月16日から27日までの間で8日間、指定管理者による「こけら落とし公演」が行われるほか、翌月の11月4日には、こどもテーブル事業への寄付を目的とした区主催のチャリティーイベントも予定しております。
今後も、本区の文化・芸術の発信拠点として、区民のみならず多くの皆様から愛されるホールとなるよう、指定管理者とともにしっかりと運営してまいりたいと考えております。
 
9 最後に、福祉についてです。
(1)まず「渋谷生涯活躍ネットワーク・シブカツ」についてです。
「シブカツ」は、プレシニア世代からアクティブシニア世代の区民一人ひとりの人生を、豊かで充実したものにすることを目的に、7月1日に、渋谷ヒカリエ八階に開設しました。
シブカツの支援の柱は「学ぶ」「はたらく」「つなぐ」の3つです。「学ぶ」の支援では、新たな学びの場である「渋谷ハチコウ大学」の開校に向けて入学生を募集したところ、400人を超える皆様から入学の申し込みがありました。シニア世代の学びに対する関心の高さが伺えます。
現段階ではS-SAP協定を締結している八つの大学と20社の企業との連携により、30以上の講座がラインアップされており、今後も、ハチコウ大学入学生の興味や要望に応えられるように、多様な講座を企画してまいります。
「はたらく」では、新たな働き方として、プロボノやクラウドワーキングを紹介するため、関係NPO団体等と協議を続けており、「つなぐ」では、専用のウェブサイトを開設して、社会活動の情報を提供するとともに、区主催のイベントなどの情報を一元化して区民の皆様にお伝えしています。
今後は「渋谷ハチコウ大学」の講座を充実させるとともに、区民が生涯を通じて元気に活躍できるように「はたらく」「つなぐ」の支援についても併せて推進してまいります。

(2)続いて、障がい者福祉についてです。
今年は、例年より約2か月早く、9月3日から昨日の9日まで、渋谷ヒカリエを中心に「超福祉展」が開催され、4月の区長選挙で私が掲げた「可能性をはぐくむ街、渋谷区へ。」を体現する取組が紹介されました。
その一つが、11月にオープンする「渋谷スクランブルスクエア」内のスーべニアショップにおける渋谷みやげの販売です。
ここでは、日本、東京、渋谷のカルチャーとライフスタイルを体感できる多種多様な商品が展開され、そこに「シブヤフォント」を使ったタオル、Tシャツ、手ぬぐい、ポストカードなどが加わります。
同じく本区独自の取り組みである「超短時間雇用(ショートタイムジョブ)」も、今年の超福祉展で注目を集めました。区内では昨年7月から、既にフラワーショップ、番組制作会社、商店街、公衆浴場などで超短時間雇用が実現しており、区役所内のコンビニエンスストアや飲食店でも、障がいのある人が超短時間雇用で働いています。また、本年4月からは、障がいの異なる6名の方々が、区の臨時職員として、超短時間雇用で資料の丁合、郵便物の発送、パソコン入力などに従事しています。
こうした法定雇用率の対象とならない週20時間未満の働き方については、国の研究会で議論が進んでおり、東京都も就労支援条例の制定を検討しています。本区としましては、これらの動向も注視しながら、障がいのある人が多様な働き方のできる先駆的な街として、超短時間雇用の拡大と制度化を目指してまいります。
また、はぁとぴあ原宿の隣接地に建設予定の「(仮称)神宮前三丁目障がい者施設」については、重症心身障がいのある方や、医療的ケアの必要な方も安心してサービスを利用できる施設として、本年4月から6月にかけて、公募型プロポーザルにより事業運営提案を受け付け、7月に提案採用事業者を決定しました。「恵比寿西二丁目複合施設(仮称)」に続く新たな障がい者施設として、令和5年度の完成を目指しています。
 
10 以上、当面の課題について申し上げましたが、本定例会には、条例案11件、令和元年度一般会計補正予算案1件、令和元年度国民健康保険事業会計補正予算案1件、平成30年度一般会計歳入歳出決算等四会計の決算審査、契約案件2件、人事案件1件、報告案件6件をご提案しております。
よろしくご審議のほどお願い申し上げます。