ちがいをちからに変える街。渋谷区

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平成29年第3回区議会定例会での発言

更新日

2017年9月28日

(9月28日(木曜日)、第3回区議会定例会本会議で述べた長谷部健区長の発言を掲載します。)

本日ここに平成29年第三回渋谷区議会定例会を招集し、提出議案についてご審議をお願いすることとなりました。 
 この機会に、当面する区政の課題についてご説明申し上げ、区議会及び区民の皆様のご理解とご協力を賜りたいと思います。

一 はじめに、地域の活性化についてです。 
(一)今月は多くの地域でお祭りが催され、いつにも増して子ども達の明るく元気な声を聞くことができました。 
 振り返れば、渋谷区では、四季折々の風物に添(そ)った地域のお祭りや各種イベントが、年間を通じて様々に開催されています。とりわけ、10月から11月にかけては、「くみんの広場」をはじめ、多種多様なイベントが開催されています。 
 そこで、この秋の季節を渋谷区の「観光ベストシーズン」と捉(とら)え、渋谷区観光協会が中心となって、広く国内外へ渋谷の魅力をPRしていくため、今年は、「超渋谷展」と「ダイブ・ダイバーシティ・サミット・シブヤ」という二つの催しを行います。 
 「超渋谷展」は、音楽祭、芸術祭、超福祉展など、既存のイベントをコンテンツとしながら、それぞれのイベントが持つ個性を尊重し、参加者や来街者、イベント同士が、つながり、混ざり合うことで、新たな渋谷カルチャーを生み出していけるよう、一つの大きな括(くく)りとして実施するものです。 
 また、「ダイブ・ダイバーシティ・サミット」は、区の基本構想の中心である「多様性」の本質的な意味と向き合い、「ちがいを ちからに 変える街。渋谷区」の未来像を思い描くきっかけとする、カンファレンス形式の催しです。 
 区民はもちろん、国内外から渋谷区を訪れる方々に、多彩な「エンターテイメント」の体験と「シティビジョン」に触れていただき、「また、渋谷区を訪れたい。」と思っていただけるようにしたいと思います。 
(二)他方、スポーツに目を向けると、東京2020(にいぜろにいぜろ)オリンピック・パラリンピック競技大会まで三年を切り、東京都及び大会組織委員会では、10月28日から11月29日までを「オリンピック・パラリンピック1000日前キャンペーン期間」として、全国的なPRを計画しています。 
 本区もこの期間に合わせ、区内競技会場で実施される競技を間近に観戦・体験できる「リアル観戦事業」として、10月28日に「渋谷区長杯 第一回渋谷区ウィルチェアーラグビー大会」を、11月12日に「パラ卓球イベント」を開催します。また、11月3日には、ヒカリエで「パラリンピック文化プログラム」を実施するほか、期間中に区内の団体や企業などの協力も得て、パラリンアートと中学生による作品展示やオリパラの広報活動など、オリパラの気運醸成に効果的なイベントを企画しています。 
 今後も、東京2020大会をさらに盛り上げていくために、各方面とも連携し、おもてなし講座の充実・実践など、区民の取組が心のレガシーとなり、それが地域の活性化にもつながることを期待しています。

二 次に、教育についてです。 
(一)グローバル化の進展や東京2020大会を見据え、今、母語(ぼご)である日本語や日本文化を大切にしながら、国際共通語である英語によるコミュニケーションにより、世界に伍(ご)することができる真の意味での「グローバル人材」の育成が求められています。 
 そのため、教育委員会では、10月5日・6日、猿楽小学校体育館を会場とするイングリッシュ・デイキャンプを実施するとともに、S-SAPを結ぶ大学や企業などと連携を図り、「しぶやイングリッシュマスタープラン」として、本区独自の英語教育の全体的な計画をまとめていると報告を受けています。 
 国は、平成32年度から、小学校英語を教科化しますが、本区では、来年度からの先行実施を視野に検討を進めてまいります。 
(二)ICT教育については、予定通り、9月1日には区立全小中学校にプロジェクターを設置し、全教員と児童・生徒にはタブレット端末が配付され、デジタル教科書や資料などを電子黒板に投影した授業が進められています。児童・生徒のより確かな学力向上を図るとともに、教員の校務が軽減され、効率的に学校事務が進むよう、今後も教員研修や支援体制を充実させ、万全の体制で取り組んでまいります。 
 なお、渋谷区は、文部科学省の「次世代学校支援モデル構築事業」及び総務省の「スマートスクール・プラットホーム実証事業」に選定されるなど、全国でも先進的な取組として注目されており、早くも他の自治体から視察の申込みも受けています。モデル地区としての役割だけでなく、今後も着実に成果を発揮するよう推進していきます。 
(三)また、特別な才能を持つ子ども達、いわゆる「ギフテッド」に対する教育については、東京大学先端科学技術研究センターと連携し、9月1日にヒカリエにおいて、キックオフイベントを実施しました。約120人もの来場があり、保護者や関係者の皆さんの関心と期待の高さを再認識したところです。 
 前例のない取組ですが、参加希望者の数やニーズに合わせ、プログラムを展開し、トライ&エラーの精神で様々な工夫を重ねて進めていく考えです。

三 次に、福祉施設の整備についてです。 
(一)まず、防災公園と一体的に、保育施設、地域包括支援センターのほか、単身高齢者向け住宅、障害者向け住宅、一般世帯向け住宅の整備を進めている幡ヶ谷二丁目複合施設についてです。 
 本施設は、来年1月竣工予定であり、本定例会提出の区営住宅条例改正案のご議決をいただいた後、来年4月の開設に合わせ、合計38戸の入居者募集手続を進めてまいります。 
(二)次に、都営恵比寿西アパートについてです。 
 都営恵比寿西アパートについては、東京都の「建替時都営住宅区移管事業」を利用した建替計画を進めており、本定例会には、負担付譲与受入れの議案を提出しているところです。 
 区民ニーズの高い諸課題に対応するため、本件土地を最大限活用することとし、区営住宅のほか、保育園、認知症高齢者グループホーム、区内初となる看護小規模多機能型居宅介護、さらには、障害者グループホーム、生活介護施設など、地域福祉の中核を担う複合施設として整備を進めてまいります。 
(三)最後に、高齢者ケアセンターについてです。 
 本施設については、老朽化や未利用容積率の活用も踏まえ、今後も増加する特別養護老人ホーム入所希望者への対応や介護予防事業の更なる充実など、超高齢社会の進行に伴う諸課題に対応するため、特別養護老人ホームを中心とした複合施設に建替えることとし、今月20日に、基本計画の説明会を開催したところです。 
 延床面積が現在の建物の約二倍確保できることから、特別養護老人ホーム84床のほか、デイサービス、介護予防事業・多目的ホール、地域包括支援センターを整備するとともに、福祉事務所の一部を移設する予定です。本計画については、現利用者や地域の皆さんに丁寧なご説明をさせていただき、ご理解を賜りながら進めてまいりたいと思います。 
 引き続き、本区は、地域のニーズを的確に把握しながら、手厚い福祉の充実に努め、高齢者や障害者をはじめ、あらゆる人々が互いに支え合い、住み慣れた地域で安心して住み続けられる環境の整備を図ってまいります。

四 次に、「渋谷区版ネウボラ」についてです。 
(一)本区では、地域で支える子育て支援として、「渋谷区版ネウボラ」の検討を進めてきました。この度、子どもを持つ全ての家庭を包括的に支援する拠点施設の整備について、構想がまとまったことから、その設計費用を補正予算として計上しました。場所は、新庁舎との連携にも便利な神南分庁舎跡地とし、平成33年度の開設を目指します。 
 本施設は、渋谷に集う人が、出会い、語り、つながり、地域を挙げて子どもを育てる場にしたいと考えています。ここを中心に、保健所、子ども家庭部、教育委員会等が一体となって、生まれる前から18歳になるまでの全ての子どもとその家族への総合的で切れ目ない支援を実現していくことになりますが、施設の完成を待つのではなく、新庁舎への移転後の仮庁舎を活用し、各所管が連携して、実質的な「渋谷区版ネウボラ」を先行して実施してまいります。 
(二)なお、「渋谷区版ネウボラ」をより充実したものとするため、本年12月に、子育て支援の先進国であり、ネウボラ発祥の地であるフィンランドを、私も担当職員とともに視察してまいります。現地ではネウボラ関係施設の視察とともに、児童・生徒派遣研修でお世話になっているキルッコヌンミ自治体や小中一貫校を訪問し、交流を深めてまいります。 
 あわせて、本区では、ICT教育の推進や新庁舎でのICT活用を進めていることから、近隣のICT先進国であるエストニアを訪れ、ICTを活用した教育の取組や行政機関のサービスなどについて視察し、今後の区政へ反映させていきたいと考えています。

五 最後に、都市の持続可能性の観点から、二点述べたいと思います。 
(一)一点目は、コミュニティサイクル事業についてです。 
 自転車は、通勤や通学、買い物や子どもの送迎など、日常の身近な移動手段として、多くの人々に利用されているだけでなく、環境への負荷が少なく、車に代わる都市のモビールツールとして、期待や可能性は、大きなものとなっています。そこで、環境にやさしいまちづくりを支えるこれからの公共交通機関として、電動アシスト自転車を気軽に借りて返却できるシステムとして、コミュニティサイクル事業を導入します。 
 隣接する港区、新宿区をはじめ、先行導入六区と相互乗入れをすることで広域利用が可能となり、利便性の高い交通手段をシェアすることで、路上駐車や交通障害の減少、さらには2020年以降を見据えた観光振興の推進にも、大きな効果が期待できます。 
 この10月から運用を開始し、現時点でサイクルポート17か所、約160台を予定していますが、今後の協議により、準備ができ次第、増設してまいります。 
(二)二点目は、3R(スリーアール)(リデュース・リユース・リサイクル)の推進とフードロスについてです。 
 本区では、昨年度策定した長期基本計画で、「分別の徹底と3Rの促進」を重点施策に掲げ、「もったいない」を基本とするライフスタイルの推進を目指しています。 
 10月は、「3R推進月間」、「世界食料デー月間」であり、日頃から3Rやフードロス削減を意識し、身近な行動から取り組むきっかけとして、10月14日に、「しぶや・もったいないマーケット」を環境意識の高い事業者・団体等と協働し、仮庁舎前やケアコミュニティ・美竹の丘等で開催します。 
 再利用できる木製家具の持込み受付や、余剰食材を活用する「フードドライブ」の受付を行うほか、通常は廃棄され流通しない「規格外食材」を、安価に提供・販売することで、食材活用の意識を高めることを企画しています。また、フードロスをテーマとした映画も上映する予定です。 
 区民、事業者、区が協働して、環境負荷の低減と廃棄物の削減に向けた取組を進め、環境に配慮した都市空間を構築していきます。

六 以上、当面の課題について申し上げましたが、本定例会には、条例案一件、平成29年度一般会計補正予算案二件、平成28年度一般会計歳入歳出決算等四会計の決算審査、その他議決事項一件、人事案件一件、報告案件七件をご提案しております。 
 よろしくご審議のほどお願い申し上げます。